中国の習近平国家主席は、「五・四運動」の記念日にあたる4日に北京大学を訪れ、著名な哲学者である湯一介氏と面会した。(写真は「CNSPHOTO」提供、2014年3月撮影)

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 中国の習近平国家主席は、「五・四運動」の記念日にあたる4日に北京大学を訪れ、著名な哲学者である湯一介氏と面会した。米華字メディアの看中国は6日、湯氏が1989年の天安門事件につながる民主化運動に参加した人物であることを紹介するとともに、それを知りながら面会した習主席の思惑について考察した記事を掲載した。

 習主席は湯氏と親しげに握手を交わすとともに、湯氏の研究室で「中華伝統文化の継承、発展、創造において大きな貢献を果たした」とたたえた。記事は、中国政府系メディアがいずれもこのニュースを報じたとする一方で、89年の民主化運動に参加した人物であることについては「意図的に触れなかった」と伝えた。

 そのうえで、89年2月13日に知識人や文化人33人が民主運動家・魏京生氏らの釈放を求めて全人代常務委員会、共産党中央委員会に提出した公開状のなかに、湯氏の署名もあったことを紹介した。

 記事は、湯氏が度々民主化運動を支持してきたことを習主席が知らないはずもなく、それにもかかわらず大っぴらに面会した習主席の行動は「明らかに故意のもの」であるとする国外メディアの解説を紹介。89年の天安門事件の際、中国当局による武力弾圧でわが子を亡くした親の会「天安門の母」の中心人物・丁子霖氏ではなく湯氏と面会したことを挙げ、「国内外における天安門事件への圧力を軽減する一方で、なおも健在の『元老』たちにも配慮したもの」とした。

 また、湯氏との面会は「自分は天安門事件とは関係がない」ことを外にアピールする目的もあったと分析した。(編集担当:今関忠馬)(写真は「CNSPHOTO」提供、2014年3月撮影)