強さの象徴? コンプレックス? ヒゲを生やす 「男の心理」

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ヒゲを生やしている男性は、なぜそれを生やしたいと考えるのでしょうか? 「剃るのが面倒くさい」「オシャレ感を出すため」など、さまざまな理由がありそうですが、ヒゲを生やすその意味について、詳しく考えてみた人は少ないかもしれません。そこで今回は、ヒゲに隠れた潜在意識についてリサーチ! 「なぜヒゲを生やしたくなるのか」をテーマに、臨床心理士 神戸臨床心理オフィス代表の内田智章先生にお話を聞いてみました。

他者へのアピール&コンプレックス解消
まず、内田先生に「ヒゲを生やしている男性は、そもそもなぜ生やしたいと思うのか?」と聞いてみると、「ヒゲは、男性としての原始的・本能的な『強さの象徴』のひとつと言われていますが、第一には、『自分は他者とは違うのだ』という優越や独自性を他者にアピールする気持ちを表しているのだと考えられます」とのこと。

また、「人間として『自分に自信がない』というようなコンプレックスを打ち消そうとする表現手段であったり、自分独自の存在を自己確認しようとする行為であったりすることも」と内田先生。すでに自分の生き方などに自信を持っている人の場合は、「自由に生きている」という意味での自負心や遊び心を表現していると考えられるそうです。

さらに、内田先生は性差の観点から分析。「女性が『優位に選ばれる者』であることを望み、美しさを追求するように、男性は『選択できる者』になるべく、男らしさや強さを求めます。それが具体的表出手段として外側に出る場合、女性では化粧を、男性では筋肉質な体形への変化を、となる。そして、ごく簡便な方法としてヒゲを生やすことになるのです」と、解説してくれました。

無精ヒゲにチョビヒゲ......、ヒゲのカタチに隠れた潜在意識とは?
続いて、ヒゲの生やし方別に性格を分析。カタチや長さに隠れた潜在意識について聞いてみました。すると、「無精ヒゲは『野性味・アウトロー』を意識している表れだと思われます。また、あごヒゲは『男らしさ・強さ・権威』を表現しようとする象徴的な形。口周り広範囲の長いヒゲは、口元のささいな動きを読まれないような『防衛的な意識』、または『繊細な気持ち』の表れ。良い取り方をすれば、長いヒゲの方たちは他者に対して優しい人だとも考えられます」と説明。さらに、もみあげからあごの方にのびたヒゲについては、「『個性』を見せつけたい人。チョビヒゲ・八の字ヒゲは『知性・理性』を表現したい人だと読み取れます」と語ってくれました。この分析から見ると、サンタクロースはイメージ通り、他者に優しい、繊細な男性のようです!

自分のヒゲを触る人の心理
ちなみに、こういったヒゲを頻繁に自分で触る人がいますが、彼らにはどんな心理が働いているのでしょう。内田先生曰く、「自分自身の存在を確認する行為だと思います。または自己満悦に浸る行為であったり、不安減少のための行為であったりするとも言えます。後者は無意識的に触ることにより、心の不安定さが低減され、落ち着くのではないでしょうか」とのこと。

最後に、これらヒゲのある人とは反対に、「ヒゲのない人」の性格についても聞いてみると、内田先生は「自分自身の状態を認め、受け入れている人。周囲に配慮できる、ルール内で行動できる分をわきまえた、堅実な思考の人が多いと思います」とのこと。「とっぴな表現手段を用いずに、内面で勝負していくタイプなのではないでしょうか」と、話してくれました。

見た目で心理を表現するか、ヒゲは生やさず内面で勝負するか......、上述の先生の分析を参考にして、ヒゲを生やすか否か、考えてみてはいかがでしょうか?

文●平井ライラ(エフスタイル)

取材協力/内田智章先生
臨床心理士。神戸臨床心理オフィス代表。オールアバウトガイド「臨床心理士、カウンセリングなど」。よりよい効果を狙い、日々工夫を重ね、催眠・イメージ療法、認知行動療法ほか、各種心理療法を織り交ぜたカウンセリングを行っている。自らのオフィス及び大学等でのセッション・講座の活動のほか、最近では映画 「シャニダールの墓」(石井岳龍監督、2013年度モントリオー ル世界映画祭正式招待作品)における臨床心理カウンセリング指導や、コミック「私がダメ母だったわけ」 (武嶌波著 2014年刊 コミックエッセイの森)にも登場している。スカイプによるカウンセリングは日本全国に対応。
神戸臨床心理オフィス ウェブサイト:http://kokoro-kobe.com/