ヤフーがマイクロソフトとの提携を解消し、自社の検索技術を復活か
ヤフーがBingサーチを捨て、自社の検索技術を復活させると報じられている。だがそれには開発者の協力が必要だ。
ヤフーは、検索サービスにおけるマイクロソフトとの提携を解消したいと考えているようだ。そして自社の技術で検索サービス市場での地位を取り戻そうとしている。
Re/codeのカラ・スウィシャーによれば、ヤフーCEOのマリッサ・メイヤーは二種類のプロジェクトを押し進めている。「速球(Fast Break)」と「カーブ(Curveball)」と呼ばれるこれらのプロジェクトによって、同社は再び収益性の高い検索広告マーケットにおいて有力企業になりたいと考えているようだ。
だが、単に検索を自社の技術に置き換えるだけで、同社の縮小を続けるマーケットシェアを食い止めることはできるのだろうか。
開発者を求めて
ヤフーはマイクロソフトと長期提携の契約を行っているため、その解消には法的な問題が伴う。さらに、グーグルと長年競争を続ける間に失われた優秀な人材を再度確保し、検索チームを再編する必要もある。
2012年にヤフーの経営権を握って以来、同社の技術力強化に努めてきたメイヤーであれば、おそらくこうした課題を解決できるはずだ。ただ、本当の苦難はその先にある。グーグルのサービスにすっかり慣れ親しんでしまった消費者を、どうやってヤフーに呼び戻すかが問題なのである。
ヤフーは2009年に自社の検索インフラをマイクロソフトに譲り、それ以来マイクロソフトは検索広告をBingとヤフーの両検索で販売している。
情報筋がスウィシャーに語った内容によれば、ヤフーが進めている二つのプロジェクトが完了した暁には、モバイルに特化した完全な検索エンジンが出来上がるのだという。
確かにデスクトップでのWeb検索はグーグルの独占状態であり、消費者もわざわざヤフーに切り替える理由はない。
もしヤフーがモバイル開発者へのアピール力を持った検索サービスを構築できれば、チャンスが生まれるかもしれない。モバイル開発者たちは経済的な動機から、ヤフーの新しいモバイル検索サービスの普及を推進してくれるだろうからだ。
今年1月に開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、メイヤーは「インテリジェント・ホームスクリーン」を提供するスタートアップ企業Aviateの買収を発表した。Aviateはアンドロイド用のアプリで、ユーザーの利用状況に応じてホームスクリーンに表示するアプリを切り替えるという機能を持つ。
例えばユーザーが毎朝6時に起きて天気予報をチェックする習慣がある場合、Aviateはそれを学習して起床時にヤフー 天気を表示してくれる。
Aviateの技術はヤフーが提供するニュース、スポーツ、株式などの情報サービスと相性が良いが、他の開発者にとっても自身が開発したアプリの利用を促進してもらえる効果があるかもしれない。
最適なアプリを最適な瞬間に
開発者のさらなる関心を集めるため、ヤフーは検索時、ユーザーがインストールしている他のアプリからも情報を引っ張れるようにする可能性がある。それでも検索結果が見つからない場合は、新しいアプリをインストールするようユーザーに促すのだ。(このようなアプリ広告は、フェイスブックがモバイルで成功を収めた原動力の一部だ)
メイヤーは昨年の9月に、ヤフーは今後モバイルサービスに力を入れると話していた。最近の買収やプロジェクトから推するに、その方針に変更はないようだ。
ヤフーには既に、モバイル強化にも活用できそうな資産がいくつかある。その一つが「Boss」だ。Bossは検索APIで、開発者はヤフーの検索技術をベースにしたアプリやサービスの開発が可能となる。しかし今のところBossはあまり世間の関心を集めていないようだ。
ヤフーは今後厳しい競争を強いられることになるだろう。グーグルは最近アプリ内検索の使い勝手を向上させ、検索したらアプリ内の該当箇所にリンクしてくれるようAndroidを改良した。もちろんヤフーのアプリ検索でも同じことができるのだが、ヤフーはグーグルの得意な分野で勝負しなければならないのだ。また、フェイスブックも自社のモバイル用グラフ検索エンジンを改良しており、ユーザーがフェイスブックと関連性のあるアプリをどのように使っているかについて、理解を深めている。
しかしメイヤーはグーグルの成長期に同社の検索チームを率いていた人物であり、強固なライバルと渡り合うことには慣れている。動かなければ何も変わらない。縮小するマーケットシェアと足枷になるマイクロソフトをそのままにしておくわけにはいかないのである。
Selena Larson
[原文]