あなたの個人情報を引き出すフェイスブックの最新手口

フェイスブックはユーザーの個人情報をもっと引き出すために、友達まで利用し始めた。

フェイスブックは、ユーザーがもっと多くの情報をシェアしてくれることを常に望んでいる。同社の新たな手口は、ユーザーの友達を利用して本来開示するつもりのなかった個人情報を引き出そうとするものだ。

フェイスブックのプロフィールで自分の電話番号や住所、個人のメールアドレスを開示していないユーザーには、それらを知りたがっている友達からの通知が届くようになるだろう。
2010年にフェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグは、「人々は情報をシェアすることに抵抗を感じなくなり、よりオープンになってきている」と話していた。

さらに彼は、「我々システムの果たすべき役割は、時代の需要に応えて随時革新的なアップデートを行うことだ」と述べた。

しかし同社の最新の更新は、ユーザーの需要に答えるというよりはユーザーの行動を操作するものとも読み取れる。

とにかく何でもシェア

これまでであれば、ユーザが各自のプロフィール欄で個人情報をシェアしなかった場合には、ただ単にそれが掲載されないというだけであった。今回情報のシェアを促す動きが新たに始まったことについて、フェイスブックはReadWriteに対しこの機能は昨年から少しずつ公開されていたもので、最近になって導入を加速させているのだと認めた。

「この機能は、ユーザーのプロフィールに記載されていない情報をユーザーの友達が簡単に問い合わせられるようにしたものです」と、フェイスブックのスポークスマンはReadWriteに宛てたメールのなかで説明してくれた。「例えば友達は、ユーザーの勤務先やメールアドレスを尋ねることができます」

この問い合わせを受けた場合、ユーザーは聞かれた情報をその友達にシェアするか、またはプロフィールに追加してみんなが見られるようにするかの選択肢が与えられる。

フェイスブックでは設定を変更することで、個人情報の公開範囲を一般、友達、非公開の中から選択することができる。しかし手順があまりにも複雑なので、一般的なユーザーはこのような細かい設定をほとんど行っていないのが現状だ。

ReadWrite編集長のオーウェン・トーマスが今回の新機能を最初に目にしたのは、友達のメールアドレスを探していた時だった。彼は、友達のプロフィール画面に「メールアドレスを問い合わせる」と書かれたリンクがあることに気付いたのだ。

興味を持った編集部メンバーは、まず私のプロフィール画面を調べてみた。私がかなり注意深く個人情報の公開設定を行っており、開示内容をなるべく最小限に抑えているからだ。思った通り、そこには同じように「セレナの住所を問い合わせる」と書かれたリンクが設けられていた。

個人情報をできるだけたくさん開示させようというフェイスブックの今回の手口は実にうまいやり方だ。これまでにも学校や勤務先のシェアを促す試みはなされていたが、フェイスブックから直にリクエストが来るような人間味の感じられないアプロ―チでは、あまり効果が得られなかった。

試しにトーマスが私の住所を問い合わせてみたところ、私は住所の入力を求められると同時にそれを彼だけにシェアするか、それとも友達全員にシェアするかの選択を迫られた。編集長に住所を知られるのは別に構わないが、それほど親しくない知人も含まれている411人もの「友達」全員に知られるのは抵抗がある。しかし公開にはたった一度のクリックしか求められないので、うっかり間違えて全員にシェアしてしまう可能性も十分に考えられるのだ。そうなったら元に戻すために、面倒なプライバシー設定をまた一からやり直さなければならない。

ひっそりと行われた変更

今回の変更は巧妙である。フェイスブックは、必要な情報を友達に尋ねる手段を簡単にしただけだと主張することが可能だからだ。確かにユーザーは、友達のメールアドレスを聞くためにわざわざFacebookメッセージを送ることがよくある。

フェイスブックは今、Snapchatのような新参のソーシャル企業との競争を強いられている。これらの競合企業は個人を特定するのにユーザーの携帯電話に登録されているアドレス帳を利用しており、この信憑性の高い友達リストはフェイスブックの優位性を脅かしているのだ。

我々の知る限り、今回の機能追加によるプライバシー・ポリシーやユーザ設定の変更は行われていない(昨年同社はとうとうユーザー名による検索を可能にして多くのユーザを不安に陥れた)。しかしユーザーの行動を左右するような内容であるだけに、予期せぬリスクが潜んでいるかもしれない。

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友達が私の電話番号や住所を問い合わせられるようになったことなど、実際にそのリクエストが届くまで私は一切知らなかった。フェイスブックからは事前に何の通知も送られてこなかったのだ。

これがなぜ問題なのか説明しよう。端的に言えば、フェイスブックはユーザの友達を利用して個人情報を引き出しているのである。

友達からの問い合わせを防ぐ方法などない。フェイスブックのスポークスマンによれば、個人情報を問い合わせることができるのはユーザーの友達だけであり、さらにその理由も記載することが求められるという。

確かにこの新機能のおかげで、連絡先を聞いてくる友達からのメッセージにいちいち返事をする手間は省けるだろう。また、自分の電話番号やメールアドレスをフェイスブック上の友達と効率的にシェアする方法が分からなかったユーザーにも歓迎されるかもしれない。

だが、フェイスブックはこの機能の導入を事前に通知すべきだった。さらに、この機能を適用しないという選択肢もユーザーに与えるべきであった。このままでは、我々の個人情報はすべてフェイスブックの手元に渡ってしまうことだろう。

Selena Larson
[原文]