2013年の「欧州文化遺産の日」は9月14日と15日の2日間

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フランスでは、誰でも大統領官邸や首相府を訪れることができる。毎年9月に行われる「欧州文化遺産の日」は、普段立入りが禁止されている文化遺産が一般開放される恒例イベントだ。大統領官邸などの他に上・下院議会、外務省といった関係者以外はなかなか見学できる機会の少ない場所も開かれる。

1984年にフランスで始まった同イベントは今年で30年を迎え、今では他の欧州各国にまで拡大した。貴重な文化遺産を一般開放し、国民にそれら遺産を考えるきっかけを与えるフランス流文化政策とは、どのようなものなのか。

始まりは1984年、ミッテラン大統領の元で文化相を務めたジャック・ラングによって歴史的文化財の門戸を開放する日が創設された。このイベントは好評を博し、翌年スペインで催された欧州建築物遺産担当大臣会議においてジャック・ラング文化相は同イベントを国際的にも提唱した。その後、実施する国は徐々に増えていき、1991年より「欧州文化遺産の日」が欧州評議会により始められた。

このような経緯で始まった同イベントだが、「文化遺産」と小難しいことを考えなくても実際参加してみると、とにかく楽しい！大統領官邸の見学では「ここで就任記念の写真を撮ったのか」と思いながら、自分も同じ構図で写真を撮ったり、いつもニュースで見かける官邸内の様子を実際に見学できる。

普段は怖そうな衛兵が笑顔で色々と説明してくれるし、いつもは立入りが制限されている場所へ行けることで国に親しみを持つことができる。訪れたことで文化財をより大切にしようという気持ちも自然にわく。

多くのフランス人が楽しみにしているイベントなので、大統領官邸など人気の高いスポットは、早朝から並んで入場まで、早くて半日待ちなんてことも。同イベントに賛同する一般企業もあり、列に並ぶ人たちに飲物を提供してくれる場合もある。官民挙げての文化イベントなのだ。

フランスの文化政策は、この「欧州文化遺産の日」だけではない。じつは、もっと頻繁に行われるイベントもある。フランスでは多くの美術館・博物館で18歳未満は入場無料。EU在住者の場合だと26歳未満は無料になる。さらに毎月第一日曜日はルーブルやオルセーなどパリの国公立の一部美術館が無料開放される。お金をかけずとも国民が、身近に文化財と触れられる機会が作られている。
(加藤亨延)