細野氏の指摘は果たして正しいのか(2012年12月撮影)

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民主党細野豪志・前幹事長がフェイスブック(FB)で安倍晋三首相に対し、首相が細野氏との論争にまつわる過去の発言をこっそり削除している、と指摘した。

消したということは、発言が不適切だったということだ――と細野氏は鼻息を荒くするが、どうやらこの話、単なる勘違いらしい。

田中均・元外務審議官めぐる論争を消した?

「先ほどある方からの指摘を受けて確認したところ、6月に安倍総理と私の間で、最高権力者のあり方を巡って行われた論争で、総理のFBの投稿が見られなくなっています」

2013年8月20日、細野氏はFBで得意満面にこう発言した。

細野氏が言う「論争」とは安倍首相が6月12日にFBで、毎日新聞紙上で安倍外交を批判した田中均・元外務審議官に対して「彼に外交を語る資格はありません」と断じた端を発するものだ。当時民主党幹事長だった細野氏はFBを通じ「最高権力者が持つ強大な権力を考えたときに、あのような発信は自制すべき」と論争を挑み、首相も「『民主党は息を吐く様に嘘をつく』との批評が聞こえて来そうです」とやり返すなど大いに話題を呼んだ。

その論争にまつわる投稿を、安倍首相が消しているというのだ。「おそらく、不適切な投稿と判断され対応されたのでしょう。歓迎したいと思います」と細野氏は胸を張る。

首相のFBページを見てみよう。トップページからスクロールしていくと――確かに、6月にあるはずの安倍首相の発言、また細野氏への反論が見当たらない。まさか本当に、安倍首相は発言を撤回したのだろうか。

実はフェイスブックの単なる仕様

だがこれは、勇み足のようだ。

実はFBではある程度古い投稿は、自動的に「間引き」され、ダイジェスト化された状態で各人のトップページに掲載される仕様になっている。投稿自体が消えるわけではなく、「すべての記事」などの設定を選べば表示される仕組みだが、これが初心者には投稿が「消えた」ように思われがちだ。Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトを見ても、同様の質問が複数確認できる。

ちなみに安倍首相の投稿のうち「間引き」対象になる7月上旬以前の発言は、全体の2割ほどしかトップページには掲載されていない。「消えた」中には、G8サミットでの米オバマ大統領とのツーショットや、参院選開幕時の意気込みなど、首相が自ら消すとは考えられない投稿も少なくない。「論争」をめぐる投稿も、あくまでその1つらしい。

当然、これは細野氏のFBでも同じだ。記者の環境では、細野氏が首相に「一次情報を確認してから発言されるようお勧めいたします」「総理ご自身が的外れな回答をされています」と吼えた発言(6月17日)が、細野氏のトップページから「見られない」状態となっている。

攻撃の嵐にいささか苦しい言い訳

こうした事情が明らかになってみると、細野氏FBには300近いコメントが寄せられた。大半が、「FBの仕組みをしらないのかw」などと細野氏を攻撃するものだ。細野氏もさすがにたまりかねたのか翌21日午前、

「非表示となった正確な原因はわかりませんので、『対応していただいた』と期待を込めて書かせていただきました。もし、特に対応されたわけではないということがわかった場合は、私の勘違いであったということで投稿自体を削除させていただきます」

と釈明を余儀なくされた。

ちなみに今や毎日のようにツイッター・FBを更新している細野氏だが、元々は大の「機械音痴」とのことで、過去には「botアカウント」を本人と間違えてあいさつする、故・三宅久之氏の「なりすまし」に気づかずやりとりするなどの騒動を起こしている。