日本酒のトレンドがロンドンで作られる理由とは
欧州の日本酒トレンドは、まずロンドンで作られるという。現地の日本食輸入卸会社によれば、ロンドンにはモダンなレストランや流行に敏感な消費者が多く、日本酒を提供する店が多岐に渡っているからだそうだ。同社の欧州内での日本酒取扱い量も英国、ドイツ、フランスの順で、英国が最も多い。
加えて最近では、国内でも一部特約店でしか扱っていないような地酒の取扱いも増えてきた。国内の日本酒ファンが求めて買いに行くような蔵の酒を置いている店もある。このような銘柄の多様化は、2008年からインターナショナル・ワイン・チャレンジに「SAKE部門」ができたことと関係している。
「SAKE部門」は全国の若手酒造関係者で組織される日本酒造青年協議会の尽力で創設された。ここでの指標は、欧州の業者が日本酒を買い付ける参考になっている。どの銘柄を選んで良いか分かりづらかった欧州のバイヤーに、インターナショナル・ワイン・チャレンジが一つの基準を与えられるきっかけになったのだ。
欧州で売れる日本酒は、ワイン文化をベースに辛口のものよりは香りが高くフルーティーな吟醸酒。欧州で評価が高い銘柄を見ても、この特徴に沿ったものが多い。
欧州は消費量で米国やアジアより小さいものの、世界のトレンドにとって影響力の強い場所の一つ。欧州の人々にとって日本酒を手にする機会は増えているが、まだワインやウィスキーのように定番のアルコールとは言えない。欧州でのさらなる認知が、日本酒の将来にとってカギになることは間違いない。
（加藤亨延）
