テキスト系妄想メディア「ワラパッパ (WARAPAPPA )」より

ダーリンハニー吉川コラム「1番ショートが夢だった」その53



今年の3月15日&16日。あの日は文字通りお祭り騒ぎだった。
地上にあった東横線の渋谷駅が地下へと移動し、その長い歴史に幕を閉じたのだ。


とにかくすごい1日だった

ありがとうと叫ぶ人、黙って感慨に耽る人、写真を撮りまくる人、ひたすら酔っぱらっている人…。あんな渋谷駅を見たのは最初で最後だ。僕は最終電車を見送り、その後、夜中の2時からトークライブをした。何を話したかはほとんど記憶になく、時間が押したことだけを覚えている。


屋根の上にも乗せていただいた


あれから4ヶ月が経った。


地上が地下になり、春は夏になったが、東横線はいたって冷静に代官山までの急勾配を上ったり下りたりしている。まるで「前からこっちを走ってましたよ」とでも言わんばかりだ。ここらへんが鉄道のすごさである。毎日人を運ばなくてはいけない。感傷に浸っている暇はない。


引きずる男

僕はまだ引きずっていた。

というのも、渋谷駅はまだ地上にあるのだ。
駅としての使命は終えたが、実際に存在するのである。

地上の渋谷駅は、現在真っ暗。工事関係の方がちらほらいる程度で、乗客はもちろんいない。大量の電車が発着し、その度に人がどばっと乗り降りをしていた光景が嘘のようだ。


でもまだある

渋谷駅周辺はこれからめざましく発展を遂げる予定で、使っていないホームは当然壊されることになる。二十年後の渋谷は現在の面影がないくらいに変わっているだろう。

ただ、今が一番泣ける状態なのも確かだ。

お祭りは終わったが、神輿がまだあるのでいくらでも感傷に浸れるのだ。


入り口はふさがれてしまった


架線も取り払われた


橋はまだある


今にも走り出しそう

ちょっと前まで走っていたので、残像がまだ新鮮に残っている。

終わる直前はまだ走っていたので、正直あまり実感が湧かなかった。「なくなるのか」と思うと寂しかったが、実車を見ると嘘に思えた。

ただ、今は本当に走っていない。

実際にすごく静かだ。


踏切もならない

駅や橋げたを見上げると、じーんとしてくる。

そしてその現実に打ちのめされそうになる。その無音が異様に思える。

思わず僕は手を広げて叫びそうになる。

「東横線はいったいどこへ行ってしまったんだ!」


だから地下に潜ったんだって

というか副都心線に直通して新宿や池袋、埼玉方面へと行けるようになったんだって。東横線はどこにも行っていないばかりか、もっと先へと行けるようになったんだって。そろそろあなたも慣れてほしい。

僕は感傷モードをやめ、ヒカリエ号についているアレを探しに行った。


モードチェンジ

まさにあの日の工事のように、僕はぱっと頭を切り替えた。
過去もいいが、現在の喜びにも光を当てようではないか。

「ヒカリエ号のアレ」

とは、手すりのどこか1本に「ハートマーク」が刻まれているのだ。10両編成の1車両のどこか1本に。

何度かヒカリエ号には乗っていたが、いずれも混んでいて探すことが出来なかった。今日はアレを探しに行こう。

さっそく東急お客様センターに電話をすると、やさしく運行番号を教えてくれた。時刻表を照らし合わせたら、昼間の空いてそうなときに走っていることがわかった。

今度こそ見つけてやろうと思う。


きた!


ひとまずかぶりつき

ヒカリエ号は比較的空いていた。これなら心置きなく移動が出来る。
余裕のかぶり付きで中目黒を出た。


なかなか見つからない


ない

車内は空いていて探しやすいものの、いっこうに見つからない。

もしかして偽情報か?夢で見たのか?

一本一本探す探す探す…。

ハートハートハート…。

すると!


あった!


ハートだよ♡

200本以上ある手すりの中から、やっと見つけることが出来た。

本当にさりげなくて憎い演出である。

一説によるとこれを探せば幸せになれるとか、恋人ができると言うが、僕にとっての効果は、ちょっとしたおセンチな気分を一瞬でも忘れられたことだ。

ありがとう、ヒカリエ号!


ありがとう!




ぜひみなさまもヒカリエ号に乗った際は手すりに注目してみてください。

見つけたときにはかなりテンションがあがります。

できれば空いているときに探すことをオススメします。

(♡の場所を書くと探す喜びを奪ってしまうので、何号車かは内緒♡)



この記事の元ブログ: 渋谷駅、その後