アベノミクスによる経済効果で高級外車などの高額品市場が活気付いている。高級腕時計にも大きな追い風が吹いているようだ。特に、円安によって輸入腕時計の値段が上昇し、中古腕時計の買い取り市場が賑わっている。(写真はネクストトゥエンティワン代表取締役の大月浩司郎氏、サーチナ撮影)

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 アベノミクスによる経済効果で高級外車などの高額品市場が活気付いている。高級腕時計にも大きな追い風が吹いているようだ。特に、円安によって輸入腕時計の値段が上昇し、中古腕時計の買い取り市場が賑わっている。東京・中野のブロードウェイで高級腕時計の販売を行う「Jack Road」を運営しているネクストトゥエンティワン代表取締役の大月浩司郎氏に、腕時計市場の現状について聞いた。

――いわゆる「アベノミクス効果」によって高額品が活発に動いているという話を聞きますが、高級腕時計はいかがですか?

 昨年末から今年にかけて株価も大きく値上がりしたことによって、高額品が好調だというニュースを見ますが、それは、百貨店などの話ではないでしょうか。当社では、引き続き順調に推移しているというのが正直な感想です。また、為替の関係で、中国、台湾、シンガポール、タイ等、海外からのお客様に多く来店いただき、連日賑わっています。

 そのほか、当社では新品、中古品、アンティーク商材も取り扱い、腕時計の買い取りも行っています。急速に円安が進んだ関係で、海外ブランド腕時計の買い取り価格が上がっています。高級腕時計には全世界共通の価値がありますので、円安になった分だけ、値上がりしているのです。そのことに気が付いたお客さまから、腕時計の買い取り価格の問い合わせが増え、買い取りの相談に来店されるお客さまも増えています。

――「Jack Road」で取り扱っている腕時計の価格は?

 高額品では3300万円超の腕時計を取り扱っています。一般的に人気のあるスイスの一流メーカーの腕時計は、数十万円から数百万円という価格帯の商品が主軸になります。

――腕時計の価格が数千万円にもなってしまう理由は?

 超高級な腕時計は、部品の一つひとつを、微細なパーツにいたるまで手作りし、1年をかけて組み立てるという作業を経て出来上がっているものがあります。それほどの手間をかける時計は、数も限られていますので、ほしくても手に入らないという希少性にもつながって、それだけ値段も高くなります。

 また、腕時計は、身につけることによって、ステイタスにもなり、おしゃれにもなります。ブランドの価値は、世界共通で、その価値が何十年にわたっても変わらないというところも、魅力になっていると思います。

 もちろん、高級腕時計メーカーは、世界的に有名なメーカーだけでも200以上もありますので、中には奇抜なデザインを特徴にしているものや、そのメーカーならではの付加価値を重視しているものなど、それぞれに個性があります。どれが良いかということは、人それぞれですから、たとえ数百万円の値段がしても、それだけの価値を感じられるものを、大切に使っていただきたいと思います。

――そのような高級腕時計を、地方からでも「Jack Road」をわざわざ訪ねてきて、購入する人が少なくないということですが、その理由は?

 グループの創業は昭和13年(1938年)ですから、既に75年前のことになります。カメラ店として創業し、新品も中古も扱い、カメラの下取りも行うという事業を展開してきました。カメラ店は多店舗展開して、トータルでの売上を伸ばすという事業戦略もありますが、当社では、店舗を増やすことによって、カメラの品揃えが十分でなくなることを恐れました。高額なカメラでも、とりどりに品が揃っていて、同じ品番でも複数の在庫がある状態が望ましいと考えたのです。

 創業来、東京・中野で店を開いていますので、中野のフジヤカメラ店に行けば、どんなカメラも揃っているという安心感を持っていただいて、長らくひいきにしてくださるお客さまに恵まれました。通信販売で全国のお客さまに商品を届けるという方法も、早くから取り入れて好評を得ています。

 このカメラで成功したノウハウを、高級腕時計に応用し、25年前に「Jack Road」をスタートしています。並行輸入品を数多く取り揃え、品揃えを豊富にして、店員の商品知識を高めました。早くから、時計の買い取りを始め、買い取り価格や中古での販売価格などについての相場観がしっかりしているということも、お客さまから喜んでいただいているところです。

 どこの店よりも安く販売し、どこよりも高く買い取るというよりも、お客さまの納得のいく価格で取引をさせていただき、商品の説明や、お客さまへの対応において、常にご満足いただけるようなサービスに努めています。そうして25年間にわたる歴史を重ねてきたことも、お客さまへの信頼につながっていると思います。

 腕時計を長く使い続け、その価値を保ち続けるためには、3−5年に1度、分解清掃するというオーバーホールが必要です。そのようなオーバーホールについても、キチンと対応していくためには、時代に流されることのない、地道な経営が必要です。当社は、多くの高級腕時計を在庫として持っていますが、実質的に無借金で経営しています。

 さらに、腕時計については、インターネット通販に早い段階から取り組み、ネットでの商品の見せ方や、問い合わせ対応など、ネット通販に関する独自のノウハウを持っていることも強みといえると思います。

――中野ブロードウェイは、「オタクの聖地」と呼ばれる場所でもあるのですが、その中にあって「Jack Road」の店舗は、異色の存在ですね。今後の計画は?

 末永く、いつも変わらないサービスを提供することをモットーにしていきたいと思っています。現在は、「買い取り価格5%アップキャンペーン」を展開していますが、これは、お客さまに、この機会に一度、ご自身の時計の価値を再確認してみませんかという呼びかけのつもりです。現物を持ってきていただければ、その場で、買い取り可能価格をお答えしています。

 一度、中野の店舗に来店していただければわかりますが、正規代理店などとは違って、入りやすい気さくな店構えになっていると思います。取り扱っている商品は、正規代理店と変わらないメーカー保証付きの商品です。気軽に訪ねていただいて、心ゆくまで商品を選んでいただきたいと思います。「Jack Road」の店員は、ベテランが多く、時計に関する知識は豊富です。従業員が長く勤めていることも、サービスの水準を維持・向上させていくために、大切な要素と思っています。

 いきなり数百万円の高級腕時計を買うというのは抵抗も大きいと思うのですが、最初は、数十万円の時計から始めて、徐々に高額な時計に買い換えていくということを楽しみにされているお客さまは少なくありません。親子三代にわたって使い続けているという時計のメンテナンスを引き受けることもあります。良い物は、時計ならではの愛着がわいてくるものです。身に着けて高い満足感が味わえるというような、時計との末永い付き合い方を当店はサポートしていきたいと思っています。(編集担当:徳永浩)