今月注目!経済の言葉「PM2.5」
アベノミクス相場全開! 日経平均は1万2000円‼ただ、円安と金融&不動産株は小休止。株価出遅れ銘柄や「TPPで農業」など新テーマを探しては買いまくる展開に移ってきた。そこで、まだ手アカのついていない、激レア株をご用意っ!


肺ガンなど、重篤な呼吸器系疾患を引き起こすとされ、国際問題に発展している「PM2.5」。大気中には土ぼこり、花粉、黄砂などいろいろな粒子が飛んでいますが、その中でも直径2.5マイクロメートル(1000分の2.5ミリ)以下の細かい粒子のことをPM2.5と呼びます。

工場や車などから出る排ガスの“すす”が主成分で、非常に小さいため人体の奥まで入り込み、悪さをします。発生源の中国では呼吸器系の症状を訴える人たちが急増し、PM2.5の濃霧で50メートル先が見えない地域もあるとか。これにより高速道路が閉鎖されたり、航空便の発着の遅延が相次いだり、高速鉄道が故障する事態にまで発展……と驚きますが、高度成長期の日本にもあった話。夏ごろまでには落ち着くとみられるこの大気汚染ですが、中国の成長を止めることは不可能であり、日本でも行なったディーゼルエンジンの基準強化や燃料品質強化などなど、環境規制を敷いたところで実行に移せるのは数年先……。環境汚染との闘いは始まったばかりだといいます。

そこで活躍するのが日本企業♪ 先日、日中で技術協力の会合が開かれましたが、過去に深刻な環境汚染を経験した日本の技術は世界最高水準。技術の輸出という意味では、石炭火力発電向けの脱硫・脱硝装置で三菱重工業、川崎重工業、IHI、日立造船などが世界シェアを誇り、大気中の有害物質を測る分析装置では堀場製作所なども。

また、尖閣問題で日本製品の不買運動の絶えない中国でも売れに売れているのが、空気清浄機やエアコン。パナソニック、シャープ、ダイキン工業は合計で中国シェア4割を持ち、各社ともフル生産状態だそう♪ そして、大気汚染といえば日本の高機能マスク関連! PM2.5に限らず、花粉や黄砂、インフルエンザ、ノロウイルスなど、マスクはすでに必需品。関連銘柄といえばダイワボウホールディングス、シキボウ、ユニ・チャームなど。一時、日本人はマスクばかりしていておかしい! と世界から笑われたことがありますが、見返せる日もそう遠くなさそうですね。

若林史江(わかばやし・ふみえ)
株式アドバイザー、徳山大学経済学部特任講師

この連載では経済を背景に移り変わる金融用語を、できるだけわかりやすく紹介していきます♪



この記事は「WEBネットマネー2013年5月号」に掲載されたものです。