打線は引き続き好調だが、日本自慢の投手陣がやや錆びついているようだ。
N-J

大隣は先頭のシモンズに一発を喰らったが、以後は安定した投球。日本は2回に阿部の一発を皮切りに4四死球4長短打を畳み掛けて8点を奪った。不振を極めている長野が3打点タイムリー。最後は阿部が1イニング2本目の本塁打。
二線級投手とは言え、前回のオランダ戦の打棒は健在と思われた。明るい空気が流れた。

しかし、キューバに苦労をして打ち勝ったオランダは、なかなかあきらめないチームだった。大隣のあとの投手たちに徐々にアジャストしはじめた。


山本監督は投手陣の虫干しをする意図で、自慢の救援投手を次々と繰り出したが、森福、山口、涌井が合わせて6安打5失点。多くは速球にタイミングを合わされていた。登板間隔があいて、実戦の勘が鈍っていたのかもしれないが、ここまで簡単に打たれたのはショックである。
やや弛緩していた試合はにわかに緊迫度を増した。

漫然とバットを振っていた打線は8回に粘りを取り戻し、安打、四球でつないで長野がこの日二本目のタイムリー、打線が再び息を吹き返した。

最終回は牧田和久。この投手だけは、と思ったが、オランダ打線は振りが鋭い。1死から連打を浴びて1、2塁。ここでアンドリュー・ジョーンズ。ペナントレースの予行演習である。ここは二ゴロに打ち取る。内角にホップする球が有効だった。最後はカート・スミスを三振に切って取った。

東京ラウンドのMVPは井端。当然ではあろう。

率直に言って、今の日本の打線はフロックだと思う。かりそめの勢いがついているだけだ。ラウンドが変わったら、また沈黙する可能性もあろう。
今までは、ブラジル、中国、台湾、キューバ、オランダとMLB選手があまりいないチームと戦ってきた。チームとしての侍ジャパンは熟成されたとは思うが、戦術的には今までの戦いは参考にならないのではないか。

アメリカ、イタリア、ベネズエラ、プエルトリコ、この中からどこが上がってくるにしても、MLB選手主体のチームと戦うことになる。

むしろ、これからMLB選手がいないことがボトルネックになるかもしれない。アウェイの厳しさが、待ち受けている。