うつみ宮土理さん

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■気持ちを伝えれば自分に返ってくる

キンキン(愛川欽也さん)とケンカをしたり、仲違いしたことはないわね。うちはとにかくよくしゃべる。私もテンポよくしゃべるし、キンキンはいつも切り返しが面白い。例えば私が韓国語で「ヨボセヨ(もしもし)?」って言うと、「ヨボヨボ?」って返ってくるの。いつも笑っていて、つまんないと思った瞬間がないの。

こういうふうにするとお互い気持ちがいいんだな、ってことを夫婦で暗黙のうちにつくり上げていくと、だんだん居心地がよくなってくる。相手の機嫌がいいってことは、私にとっても楽しいことだから。もしケンカをしてしまったら、後で気まずい空気を取り払うエネルギーのほうが無駄じゃない?

それにうちは「ありがとう」をとってもよく言う夫婦ね。そしてよく書く。私が仕事から帰ると、「かみさん今日もおつかれさま」とか「礼状を書いておいてくれてありがとう」とか、キンキンがチラシの裏に赤いサインペンで書いたメモが必ず置いてありますよ。

男の人は口で言うのは恥ずかしいとか、言わなくてもわかっているって思うかもしれないけど、言えないんだったら書く! 結婚3年目くらいで、夫婦関係に飽きてきた頃がチャンス。言葉なんてタダなんだから、言われてうれしい言葉をうんとかけてあげなさいよ。内容だって、「今日はお弁当を作ってくれてありがとう」「靴を磨いてくれたおかげで足が軽かった」「アイロンの折り目がきれいでうれしかった」とか、いっぱいあるじゃない!

あと、褒めることも大事。「手がきれい」とか「髪もきれいだね」とか。キンキンも「韓国語の勉強して偉いね」「笑顔がいいね」って、いっぱい褒めてくれますよ。

こうやって気持ちを伝えるのは相手じゃなくて自分のため。妻から倍になって返ってくるし、それをまた倍返しにしていくの。

私が韓国に語学留学していたとき、キンキンの浮気騒動があったの。相手の女性は私もよく知っている人だし、そんなのあるわけがない。だから「いい年したキンキンに女性の噂が出るのはかっこいい!」って言ったの。

妻が留学中の浮気なんて格好の週刊誌ネタ。でも、そんなのに踊らされてイライラしているくらいなら、「早く宿題終わらせたい!」って思いましたよ。キンキンからも「この度は異国にいる奥様へ、多大なるご迷惑をおかけしたことを申し訳なく思っております」ってFAXが届いて笑っちゃった。

私たちにはいつも手紙の交換をしていて積み重ねがあるから、どんな顔で書いたのかを想像するだけでおかしくて許せちゃう。それに、若い女性と一緒にいることで、彼から色気が出るんだったら安いもん。

昔、キンキンが歌番組の司会をしていたときに、牧村三枝子さんや小林幸子さんが「キンキンさんがお尻を触ってきたのよ」なんてわざとおもしろがって私に告げ口するの。だから私、「ビタミン剤みたいなもんだし、若返るからいっぱい触らせてあげて〜」なんて言ってましたよ。

でも、夫にはちゃんと稼いでほしいわよね。最低でも月に35万円とか。それで家族を養って、仕事を頑張ってくれるだけでいいじゃない。もし突然仕事がなくなったとしても、これまで夫がしてくれたこととか、優しい言葉や態度が財産になる。一時的に収入がなくなったって、夫に気力があって努力している姿があれば、妻も2人で何とかやっていこうって気になりますよ。

それに、魅力のある夫婦って奥さんと一緒につくるもの。片方に魅力があって、片方に魅力がないなんてことはありえない。よく似た者夫婦っていうように、2人でつくり上げていくものだから。「うちの嫁はつまらない」って言うけれど、あなたがつまらないってことじゃない?

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タレント・司会・作家 うつみ宮土理 
2006年にグッドエイジャー賞受賞。著書に『うつみ宮土理の新カチンカチン体操』(サンマーク出版)がある。

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(タレント・司会・作家 うつみ宮土理 構成=吉川明子 撮影=藤谷勝志(studio flower))