今晩金曜ロードSHOW!で放映『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』。作中では食べ物のシーンがいっぱい出てきますが、食べているものはどうも現実世界と違う様子。シンジくん、それ何食べてるの?
写真は、『破』のあのシーンのNERV本部、の加湿器。

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加持さんのことが好きで少しおませで最後に「気持ち悪い」って言っちゃう惣流・アスカ・ラングレー。
孤独だったのに次第に打ち解けてシンジやミサトさんに接触を持つようになる式波・アスカ・ラングレー。
どっちのアスカが好き? 
どっちもいいよね!
そんなアスカが大活躍する『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』が今晩放映されます。

見所はお風呂から飛び出すアスカと、寝ているアスカのパンツと、エプロンにブラジャーなアスカと、丸見えテスト用プラグスーツのアスカです。
……映画上映当時、見終わった後あんまりのことに吐きました。
予告編があって本当によかった。死ぬかと思った。
そんなモヤモヤも明日から公開される『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』で晴らされることを祈るばかりです。
ポカポカしたいです。

さて、作中でシンジくんが一気に社交的になり、綾波を守るために戦うことになる『破』。ここがある意味最大の、TV版との違いです。
彼がコミュニケーションを取る手段として使ったのがお弁当でした。
食事は『破』のテーマの一つになっています。
放映前に、キャラ達が何を食べているかチェックしてみましょう。

●日本海洋生態系保存研究機構でのシンジのお弁当●
のりおにぎり、混ぜご飯おにぎり、おいなりさん、唐揚げ、卵焼き、かまぼこ、リンゴ、プチトマト、味噌汁(豆腐とワカメ)
シンジがみんなのために作ってきたお弁当です。研究所の「滅菌済」シール付き。
「失われた海洋生物の永久保存と赤く染まった海をもとに戻すというまさに神のごとき大実験計画を担う禁断の聖地!」とケンスケが言っていたように、現在この世界の海は全て真っ赤に染まっていて、生き物は何一つ残っていない状態になっています。
もちろん、原因はセカンドインパクト。
TV版ではアスカが海を泳ぐガギエルという使徒と戦っているシーンがあるため、海が無くなったのは大きな変更点の一つ。
(ちなみにTV版第八話の、2号機とガギエル戦の原画は全て紛失しています。)
面白いのは、水槽の魚や海洋生物を見て「これがセカンドインパクト前の生き物なんですか」とシンジが言っていること。
つまり、新劇場版の世界では海の魚はいません。

またシンジの弁当を食べたケンスケのセリフでこんなものも。
「あの9割人造肉が、調理次第でこうも美味しくなるとはまさに驚愕だよ」
ファンの物議を醸し出したセリフです。ってことは1割は肉なんですね。

シンジいわく「ミサトはレトルト」なので、何を食べているかいまいちよくわかりません。NERVの支給品を見ると、どうも化学的な食べ物も多い様子。
アスカは「生き物は生き物食べて生きてるのよ!」とも言っています。これが野菜を指すのか肉を指すのか微妙ですが、少なくともごくごく一部で魚や肉の養殖は行われているようです。
シンジが海を知らなかったことに対し、加持さんが「海の生物が腐ったにおいだ、生きていた証なのさ。あの何もない赤い水とは違う、本当の海の姿なんだよ」と言っているシーンも要チェック。
人間の食べる絶対量に供給は追いついておらず、普通の子供達は「海」に代表される自然の本当の姿をほとんど見ていません。

レイは今回も肉を食べません。
旧TV版と同じです。にんにくラーメンチャーシュー抜き、は有名。
ローソンではこれをネタにしたカップラーメン「にんにくラーメンチャーシュー抜き」が本当に発売されました。
それ、にんにくラーメンじゃないか! 買ったけど。

味噌汁は『破』で何回も出てきますが、魚がない=ダシがとれない、と考えると、化学調味料の可能性は大きそうです。

●宇宙食●
Green tea 150ml hot water(60℃)
ゲンドウと冬月が宇宙に行った時にふわふわ浮いている緑茶パックです。
宇宙食らしく、ちゅうちゅうと吸うタイプの模様。しかし60℃のパックって熱いですね。
このシーンの前に、レイがシンジの味噌汁を「おいしい」と言うカットが入るので、無機的な緑茶との比較が目立ちます。

●トウジの昼食●
牛乳、焼きそばパン、ハンバーガー
貼られているシールの成分表を見ると、使用しているのはポークハム、マヨネーズなど。
卵を使った食品は頻繁に出てくるので、このへんの供給は足りているようです。
ハンバーガーもポークハムってのはちょっと面白いところ。

●シンジの作るお弁当●
タコさんウインナー、卵焼き、ブロッコリー、プチトマト、スパゲッティ、フライ(?)、ごはん、おとなのふりかけ
「おとなのふりかけ」ってのがいいですね。
ウィンナーが、ケンスケの言うところの「9割人造肉」かと思われます。食感が同じで味がおいしくない、というところの様子なので、まさに味付け次第。
シンジの料理はアスカや加持さんを含む全員に絶賛されていますが、それだけ料理が大変な時代の様子。
レイやアスカの料理シーンは微笑ましいものですが、実際、おいしくするのは至難の業っぽいですよ。
旧TV版では委員長こと洞木ヒカリがお弁当を作るシーンがありますが、今回は無し。『破』ではアスカと一緒にお弁当を食べているシーンがあるので、お弁当作り自体はこの世界でも日常的で大切なようです。
シンジがレイに渡すお弁当の箸箱に描かれたキャラは、安野モヨコのマンガ『オチビサン』のキャラだったりしますので、チェックしてみてください。

●レイとゲンドウの食事●
ゲンドウ:ステーキ、ポテト、パン
レイ:錠剤、『NERV ONLY』とかかれたゼリー飲料
レイのこれは食べ物といえるのか……。栄養だけ取れればイイ、の極みです。
ゼリー飲料は、オペレーターの一人伊吹マヤが通勤する時にも摂取されています。
ゲンドウはステーキらしきものを食べていますが、実質何を食べているのかは不明です。ただ、彼の地位を考えるとそれ相応に良い物……例えば「10割自然肉」を食べている、という贅沢の可能性も。
二人の食事があまりにも、この作品としては両極端に描かれているシュールなシーン。じっくり見てみてください。

●加持さんのスイカ畑
食事シーンではないですが、加持さんはTV版同様スイカ作りが趣味です。
守られた都市内部では、水田の存在もあります。湖も青い。
隔離された一部地域では、畑や田んぼによる野菜や稲の生産は今も行われています。

●駄菓子屋のアイス●
ガリガリ君ソーダ味のような色と形のアイス。他にもカップ入りアイスも売っています。
このへんは90年台放映当時の雰囲気のままです。
当たり付きって今あんまりないんですよね。ホームランバーとか、ブラックモンブランとかくらいでしょうか。
トウジのアイスはハズレ。ここは要チェック。
TV版ではあたりでした。
それが何を意味するかは見てのお楽しみ。

●ミサトと加持さんの行った飲み屋
海ぶどう、島らっきょ、ラフテー、ミーバイマース煮、ゆし豆腐、宮古焼そば、パパイヤチャンプルー、ぐるくん刺身
沖縄料理ですね。
ラフテーとは豚の角煮。
ミーバイとは沖縄でとれる魚ハタのこと。ぐるくんも同じく魚のタカサゴのこと。沖縄の方言です。
ゆし豆腐はにがりをいれて固まりはじめたところの、型に入れない豆腐。
海ぶどうは南西諸島でとれる海藻。お酢につけて、ぷちぷちかんで食べると、うまい!
……あれ?
この世界の海は、真っ赤に染まっていて魚はおろかほとんどの生物が生存できていません。
ということは、この魚も「9割人造肉」どころか、10割人造肉の可能性は大です。
それだけの技術があれば、海ぶどう風の何か、を作るのは簡単かも。


食べるシーンが多い『破』。それが後半になると別の意味で食べるシーンに変わるのも注目してみてください。
生き物は生き物を食べる、のセリフが重みを増してきます。
作中では語られていませんが、自然食品じゃない部分は何を元にしているのか、特に肉の正体はなんなのか、考えるだけでも面白いところです。
一部の本では「プラスチックからアミノ酸を取り出しているのではないか」説なんかも出ています。そういうのもあるのか!

この『破』は、掘れば掘るほど気になるネタが満載すぎる、往年のエヴァファンの10年の鬱憤を破壊する作品でした。
小ネタも本当に多いんだこれが。
例えば月に行ったゲンドウと冬月の宇宙服が、『王立宇宙軍オネアミスの翼』とそっくりだったり。
もー探していったらキリがないくらい細かい部分が凝った作品です。とりあえず使徒の順番の違いをチェックするだけでもかなり面白いです。
全く知らん、という人でも楽しくなっちゃうくらいよく動く、エンタテイメントになっています。

明日から『Q』が公開されますが、その前に新劇場版関係の本や、研究書を読んでみると楽しみも増えます。
いくつかご紹介。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 全記録全集
公式の記録集。設定とインタビュー、フィルムストーリーががっちり載っている、『破』の集大成的な一冊です。
値段は高いですが、資料的価値は抜群。『Q』を見るときの参考にもなるはず。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 アニメーション原画集 上巻
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 アニメーション原画集
『破』の原画ががっちり載った二冊。とにかくよく動くアニメなので、原画好きなら見ていて楽しいです。
ただし解説やイラストはほぼないのでご注意を。

エヴァンゲリオン用語・語源事典
エヴァの解説はほとんどないです。もとになっている言葉の意味をわかりやすくまとめた一冊。
元の意味だけ知識として知りたい人にオススメの一冊。なんせ500円と安い。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版 完全補完文書
新劇場版の解説というよりも、ガイナックス・カラーの作品制作にいたるまでの流れや、作中に出てくる音楽の解説など、かなり変化球なネタが多いのがとてもユニーク。

ヱヴァンゲリヲン研究序説Question
エヴァTV版時期に謎本の先駆けを出していた著者グループの、新劇場版を楽しもう本。推測多めのコラムチックな一冊で、資料ではなく「こういうのも面白いね」として読むと楽しめる本です。

ヱヴァンゲリヲン都市伝説
まさに都市伝説。このシーンはこうじゃないか?という仮説のまとめ本。トンデモな説も含めて楽しめるのですが、旧エヴァの解説はないので、TV版・旧劇場版・新劇場版を知っている人向け。

さてと。
『Q』が楽しみですね!
(たまごまご)