貧乏な時に皆が食べてる貧乏飯

この飽食の時代、「ご飯食べれない人なんているの?」なんて早速聞こえてきそうですが、お金を使いすぎた給料までの期間や様々な事情で、未だ『貧乏飯』にお世話になる人がまだまだ存在します。

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お恥ずかしながら私も、学生時代や社会人最初の頃など、給料日までの期間に何度もお世話になり、そして冷蔵庫にある僅かな調味料や食材を駆使して『貧乏レシピ』を考案したものです。

ふと先日その頃の事を思い出し、「自分以外の人はどんな貧乏飯を食べているのか?」と気になり調査したところ、いるわいるわ。
「流石にこれは(汗)」と思う貧乏飯から、「これは有りかも!」と思う貧乏飯まで。

今回の記事では、筆者が調査した『貧乏飯』の中で面白かったものや、実際に食べた事があるものを中心にご紹介します。

※本記事での貧乏飯の定義……炭水化物と調味料、そして冷蔵庫に最後残っていそうな食材のみで構成される食事。そしてできる限り調理を必要としないもの。

 

▼丼物

−− 柿ピー丼
白飯に柿ピーナッツを混ぜ醤油を少したらしたもの。好みでピーナッツを抜く場合もある。
更にバターやマーガリンを加えたアレンジ版もある。

−− 西九条丼
「SOPHIA」のボーカル松岡充が考案した貧乏飯界で最も有名なレシピ。
白飯に塩・胡椒・味の素を適量加え、サラダオイルを小さじ1杯程度入れ混ぜたもの。

−− うなぎの蒲焼タレだけ丼
白飯にうなぎの蒲焼のタレだけを混ぜたもの。うなぎは入っていないものの、食した時不思議とうなぎの香ばしさが口に広がる。

−− バター麺つゆ丼
白飯に適量のバターと麺つゆを加え混ぜたもの。
これをフライパンで炒めるとチャーハンにもなる。

−− コチュジャン丼
白飯にコチュジャンを混ぜたもの。

−− ミルク丼
白飯に牛乳をかけまぜたもの。ご飯の熱で牛乳があたたまると気持ち悪い味になり完食に至れない場合もあることから、混ぜ合わせた瞬間から短時間で食さねばならない。あまりに慌ててかき込むと、むせて鼻から牛乳という事もあるので慎重かつ迅速に食さなければならないという、高い食事スキルが求められる一品。

ちなみに筆者はこれを食べたことがある。短時間でかき込むという事ができず、途中牛乳が温まってしまい最後涙目になりながら完食した。食べながら後半はほとんど、吐き気との戦いで、途中「うっ」っときたのをこらえた瞬間、やはり鼻から牛乳をやってしまい、更に涙目になった。
ただ、アレンジ版としてきな粉や砂糖を適量加えるというものもある。これらを加えることで、デザート感覚にもなり、温まった牛乳の気持ち悪さと回避することができる。もし挑戦される場合はまずこうしたアレンジ版からお試しいただきたい。

−− きなこ丼
白飯にきなこをまぶしたもの。きなこに砂糖を入れるか入れないかは好み。
きなこの砂糖を抜いて、醤油を少し加えるアレンジ版もある。

−− 焼肉のタレ丼
白飯にお好みの焼肉のタレだけを混ぜたもの。肉や野菜はないものの、焼肉を食べた気分が味わえる。

−− 刻みネギと鰹節混ぜ丼
白飯の上に刻みネギと鰹節をまぶし、醤油を少し加えたもの。
醤油ではなくポン酢をかけるアレンジ版もある。

−− マヨネーズ丼
白飯の上にマヨネーズを好みでのせ、醤油を少し加えたもの。食べている途中で脂っこさに胸焼けがしてくる場合があるが、その場合には、一味唐辛子や七味唐辛子を少々加えると味にアクセントが出て最後まで完食できる。ない場合には胡椒類でも可。

−− 豆腐丼
白飯に豆腐をのせ、醤油を少し加えて混ぜたもの。使う豆腐は木綿より絹ごしの方が混ぜやすく食べやすい。
これに生卵1個を加え、刻みネギを少しまぶしたリッチ版もある。

−− うまい棒丼
白飯の上にうまい棒1本分を砕いてまぶし、醤油を少し加えたもの。
更にバターやマーガリンを加えるアレンジ版もある。

−− 水道水丼(所によっては「井戸水丼」とも呼ぶ)
白飯の上に水道水を好みで適量かけたもの。好みで醤油や塩を少し加えることもある。
貧乏飯界では究極の丼とされる一品。

−− 油揚げ丼
油抜きをしないまま、油揚げを軽くフライパンや魚焼きグリルで焦げ目がつくまで炙り、刻んだものを白飯の上に乗せ、醤油を適量かけ混ぜたもの。
油揚げをごま油で両面焦げ目がつくまで焼いたものを混ぜるアレンジ版などもある。

−− パン粉丼
パン粉をフライパンで焦げ目がつくまで軽くあぶり、それを白飯の上にまぶしたもの。好みで塩か醤油を適量まぶす。
更に、少量の砂糖を加えるとパン粉の甘味が引き出され風味が深まる。

−− 妄想丼
料理番組や料理雑誌を見ながら白飯を食べる。おかずが、さもそこにあるかのように思い込まなければならないため、かなりの集中力と精神力が必要となる。
貧乏飯界では最高難度の丼とされ、誰でもが食せる訳ではない幻の一品。

▼パン物

−− 海苔の佃煮パン
食パンの表面に海苔の佃煮を塗って軽く焼いたもの。ちょっと焦げ目が付く程度が香ばしく美味しい。海苔の佃煮は桃屋のものができれば望ましい。

−− 納豆パン
食パンの表面に既に混ぜた状態の納豆をのせて軽く焼いたもの。納豆にちょっと焦げ目が付く程度が香ばしく美味しい。のせる納豆にマヨネーズを混ぜるアレンジ版もある。

−− 浸けパン
何ものせずに焼いた食パンを、4分の1程度にちぎり、その時に供に用意した飲み物に浸しながら食べる。
スタンダードな浸し用ドリンクはコーヒー牛乳(砂糖多め)、牛乳など。

−− 沢庵パン
食パンの表面に、刻んだ沢庵とマヨネーズを絡めたものを塗って軽く焼いたもの。
ちょっと焦げ目が付く程度が望ましい。

 

今回は炭水化物類でも、パスタ系は紹介していません。色々と調べてみましたが、パスタ系の貧乏飯の場合、何か混ぜるだけで意外と料理として成立しているものが多く、個人的には貧乏臭が薄れて感じました。

そして、最後になりますが、私が実際に食した事のあるものは、「柿ピー丼」「バター麺つゆ丼」「ミルク丼」「納豆パン」「浸けパン」になります。
本文にも触れていますが、ミルク丼は本当にやばかったです。二度と食べたいとは思いません。
当時究極の判断で、まずいとわかりつつもご飯とミルクを合わせてみましたが、本当に鼻から牛乳が出るほどのまずさでした。
それ以外については、どれも一応試してみましたが、まぁまぁ食せる範囲。
妄想丼や水道水丼については、私も最初ネタではないかと思いましたが、調べてみるとこれら意外と食べている人が多い様。
どちらも真似しようとは思いませんが、究極の事態が起こった際には真似してみるかもしれません−−。

(文・写真:宮崎美和子)
※写真のミルク丼は編集部でいただきました。