園子温監督がネクストステージへ、原発を題材にした作品に挑む
「これは見えない戦争だ!」
『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『恋の罪』など、これまで現実の事件を題材にした作品で数々のタブーに挑み続けてきた園子温監督の最新作『希望の国』が10月20日より公開される。
本作の舞台となるのは、20XX年の長島県大原町。小野泰彦は、妻・智恵子と息子・陽一、その妻・いずみと酪農を営んでいる。隣に住む鈴木家は、恋人・ヨーコと遊び呆ける息子・ミツルとその両親がおり、どちらの家族も仲良く暮らしていた。彼らが住む大原町の隣に位置する大葉町は、原子力発電所のある“原発の町”として知られていた。ある日、大震災が発生。それに続き原発事故も発生し、彼らの生活が一変する。鈴木家は警戒区域に指定され、小野家は道路一つ隔てただけで区域外とされた。そんな中、いずみの妊娠が発覚。最初は、一時的に逃れた町へ避難し、安全だと言っていた洋一だったが、次第に放射能への恐怖を募らせていく。
主人公の小野泰彦を演じるのは夏八木勲。その他、大谷直子、村上淳、園子温監督作品の常連でもある神楽坂恵、でんでんらが出演する。また監督の呼び掛けに応えて、セリフや出番が少ない役柄ながら、伊勢谷友介、吹越満、大鶴義丹、田中哲司らが登場するシーンは見逃せない。
染谷将太と二階堂ふみが第68回ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人賞を受賞したことも記憶に新しい前作『ヒミズ』では、“3.11以降”の世界が描かれている。本作でもまたを同じ題材にした作品に仕上がっている。園監督は「次は真正面から“3.11以降”の映画を撮ろうと思った。前作では津波と原発事故のショックを受けて作ったが、時間を置くとそれは別問題。今回は原発に関する映画が撮りたかった」と本作を手掛けることになった経緯を語った。これまで“性”や“暴力”を題材にした衝撃作を生み出してきた園監督が、本作で原発事故に翻弄される“どこにでもいる家族”を描き、メディアが報じながらも伝えきれなかった人間の心に迫る。
実際に被災地で取材を重ね、少しずつシナリオを書き始めていったという園監督。「空想して勝手に書いた嘘は薄っぺらいだけ。セリフもシーンも取材した通りに書こうと思った」と、自分が目にした事実をもとに描く本作は、フィクションでありながらも今の日本が抱えている問題を鋭く切り取っている。
園監督にとって映画は“巨大な質問状を叩きつける装置”だと語る。また「そこで起きていることを認識して映画にすることで見えてくるものがいくつもあるのかもしれない。センセーショナルなものとして描きたくはなかった」という思いもあり、前向きな作品ではなく、あえて“日常”を見せることで意味のある作品となった。また、原発事故を題材にしていることもあり、資金調達がこれまで以上に大変だったという。結果的に、イギリスと台湾の製作会社から出資を得て、日本・イギリス・台湾の共同製作作品として公開される。これは、園監督の才能あってこそだからできることだろう。
果たして、本作は観る者にどんな衝撃を与えるのだろうか。本作が完成した時、まだこれで終わりにはできないと思った園監督は「いつ撮るのかは分からないが、テーマとして今後も抱え続けていくだろう」と、次回作の製作を匂わす発言をしている。これからも園監督は、決して忘れてはならない現実、問題を“映画”という形で観るものに問いかけていくだろう。
映画『希望の国』は、10月20日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。
・『希望の国』 - 作品情報
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『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『恋の罪』など、これまで現実の事件を題材にした作品で数々のタブーに挑み続けてきた園子温監督の最新作『希望の国』が10月20日より公開される。
本作の舞台となるのは、20XX年の長島県大原町。小野泰彦は、妻・智恵子と息子・陽一、その妻・いずみと酪農を営んでいる。隣に住む鈴木家は、恋人・ヨーコと遊び呆ける息子・ミツルとその両親がおり、どちらの家族も仲良く暮らしていた。彼らが住む大原町の隣に位置する大葉町は、原子力発電所のある“原発の町”として知られていた。ある日、大震災が発生。それに続き原発事故も発生し、彼らの生活が一変する。鈴木家は警戒区域に指定され、小野家は道路一つ隔てただけで区域外とされた。そんな中、いずみの妊娠が発覚。最初は、一時的に逃れた町へ避難し、安全だと言っていた洋一だったが、次第に放射能への恐怖を募らせていく。
染谷将太と二階堂ふみが第68回ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人賞を受賞したことも記憶に新しい前作『ヒミズ』では、“3.11以降”の世界が描かれている。本作でもまたを同じ題材にした作品に仕上がっている。園監督は「次は真正面から“3.11以降”の映画を撮ろうと思った。前作では津波と原発事故のショックを受けて作ったが、時間を置くとそれは別問題。今回は原発に関する映画が撮りたかった」と本作を手掛けることになった経緯を語った。これまで“性”や“暴力”を題材にした衝撃作を生み出してきた園監督が、本作で原発事故に翻弄される“どこにでもいる家族”を描き、メディアが報じながらも伝えきれなかった人間の心に迫る。
実際に被災地で取材を重ね、少しずつシナリオを書き始めていったという園監督。「空想して勝手に書いた嘘は薄っぺらいだけ。セリフもシーンも取材した通りに書こうと思った」と、自分が目にした事実をもとに描く本作は、フィクションでありながらも今の日本が抱えている問題を鋭く切り取っている。
園監督にとって映画は“巨大な質問状を叩きつける装置”だと語る。また「そこで起きていることを認識して映画にすることで見えてくるものがいくつもあるのかもしれない。センセーショナルなものとして描きたくはなかった」という思いもあり、前向きな作品ではなく、あえて“日常”を見せることで意味のある作品となった。また、原発事故を題材にしていることもあり、資金調達がこれまで以上に大変だったという。結果的に、イギリスと台湾の製作会社から出資を得て、日本・イギリス・台湾の共同製作作品として公開される。これは、園監督の才能あってこそだからできることだろう。
果たして、本作は観る者にどんな衝撃を与えるのだろうか。本作が完成した時、まだこれで終わりにはできないと思った園監督は「いつ撮るのかは分からないが、テーマとして今後も抱え続けていくだろう」と、次回作の製作を匂わす発言をしている。これからも園監督は、決して忘れてはならない現実、問題を“映画”という形で観るものに問いかけていくだろう。
映画『希望の国』は、10月20日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。
・『希望の国』 - 作品情報
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