“ギャグ漫画の王様”が描いた不滅のオトメ心
「テクマクマヤコン テクマクマヤコン」――。女子の必須アイテムであるコンパクトを手に魔法の呪文を唱えると、なりたいものに変身できるという、すべての女子の永遠の夢を具現化した『ひみつのアッコちゃん』。1962年に故・赤塚不二夫が連載開始したマンガに始まり、1969年、1988年、1998年と3度に渡るアニメ化を経て、いつの時代も女子のハートを掴んで離さなかった本作が、連載から50年を迎えた今年9月1日、綾瀬はるか主演映画として遂に実写化された。
映画は不滅のオトメ心に現代的な視点を加えた完全オリジナルストーリーなのだが、マンガからアニメへ、そして映画へと、今日に至る50年もの間には知られざるエピソードが存在し、時代とともにいくつかの変更が加えられてきた。まず、冒頭で述べた「テクマクマヤコン」という呪文は原作には存在せず、1969年のアニメ化の際に追加されたもの。40年以上経った今も“日本人なら誰もが知っている”ヒミツの呪文といっても過言ではなく、アニメ化の功績は大きい。その一方で、左右が逆に映る鏡の特性にちなみ、なりたいものの名前を逆さまに言わなければならないという設定は、アニメ化の際に省略されている。
また、変身に欠かせないコンパクトだが、連載開始当時は大きな鏡だった。その鏡を割ってしまったために、鏡の精から新たに受け取るのが、現在にまで語り継がれる魔法のコンパクトなのだ。アニメでアッコが最初に変身するのは星の王女。映画では変身シーンがどのように映像化されるか注目だが、少女のあつ子(吉田里琴)が光に包まれて22歳の自分(綾瀬はるか)に変身すると、夢中になって次々にフィギュアスケーターやCAへと変身していく姿は必見だ。また、原作では「もとへもどれ」と言うと変身が解けるのだが、アニメで生まれた「ラミパス、ラミパス、ルルルルル」という呪文には、「さようなら」という意味が込められている。
自称“大学生”の加賀美あつ子は、友達と出掛けた遊園地の観覧車で、岡田将生演じる尚人に恋をする。老舗の化粧品会社「赤塚」の企画開発室に勤める尚人から、アルバイトとしてスカウトされたアッコは、時に尚人の尊敬する中村前社長(大杉蓮)などにも変身して彼を励ましつつ、小学生ならではのフレッシュな発想で新商品の開発に奔走。一方、原作でアッコが淡い恋心を抱く初恋の相手は、家の2階に下宿する小林という年上の男性で、二人が遊園地で親しくなる所は映画とも共通している。
また、黒スーツにソフト帽、夜にも関わらずサングラスと、スパイのような出で立ちでアッコの前に現れる“鏡の精”を演じるのは香川照之だが、アニメでは女性へと変更されている。その他にも、親友のモコや飼い猫シッポナなど、アニメで毎話アッコと共に様々な事件を解決するキャラクターたちも映画の重要な役割を担っているので、こちらにも注目してもらいたい。
アニメ、そして実写映画化されるマンガは後を絶たないが、なぜ今『ひみつのアッコちゃん』なのだろうか? プロデューサーの山口氏は「ひとりの女の子が、岐路に立ち迷っている大人たちの社会に対して、小学生ならではの問いかけをする。それが現代の日本にアッコちゃんをよみがえらせる意味なんじゃないかと、10年以上前にこの企画が頭に浮かんだときからずっと考えていました。子供が大人の世界に飛び込むことで、大人の側にも子供の側にも、見えてくることがある。派閥抗争とかポスト争いとか大人たちがやっていることはほとんど内向きで、学級会の子供のケンカの延長のようなもの。そんな大人の営みの不毛さ、馬鹿馬鹿しさも意識しながら脚本作りを進めていきました。」と回答。アニメが放送された時代に子供だった人も、今では子を持つ親の立場となり、親子一緒に本作を楽しむのもまた良いだろう。
赤塚不二夫と言えば、『おそ松くん』『天才バカボン』など“ギャグ漫画の王様”として知られるが、意外にもデビュー作は『嵐をこえて』という哀しい少女マンガ。本心ではギャグマンガを描きたかった彼にとって、オトメ心を描くストーリーを考えるのは至難の業で、そんな時に彼を助けたのが、当時のアシスタントで後に最初の結婚相手となる登茂子さんだったという。
“ギャグ漫画の王様”が最愛の人と共に生み出した、いつの時代も決して色褪せることのない不滅のオトメ心。それはきっと、大人たちがいつの間にか忘れてしまった大切なもの、子供の頃になりたかった自分を思い出させてくれるに違いない。アッコが魔法のコンパクトを手にすることができたのは、母親に買ってもらった鏡を大事にしていたからだ。頭でっかちに考えたり、難しいことは抜きにして、是非素直な心で楽しんでもらいたい。
映画公開に合わせて、「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」では9月1日より、1969年に初めてアニメ化された『ひみつのアッコちゃん』を配信中なので、アニメを観てから映画を観ると楽しみが倍増するだろう。ラミパス、ラミパス、ルルルルル…。
・「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」特集ページ
・映画『ひみつのアッコちゃん』公式サイト
・参照:赤塚不二夫公認サイト「これでいいのだ!!」
また、変身に欠かせないコンパクトだが、連載開始当時は大きな鏡だった。その鏡を割ってしまったために、鏡の精から新たに受け取るのが、現在にまで語り継がれる魔法のコンパクトなのだ。アニメでアッコが最初に変身するのは星の王女。映画では変身シーンがどのように映像化されるか注目だが、少女のあつ子(吉田里琴)が光に包まれて22歳の自分(綾瀬はるか)に変身すると、夢中になって次々にフィギュアスケーターやCAへと変身していく姿は必見だ。また、原作では「もとへもどれ」と言うと変身が解けるのだが、アニメで生まれた「ラミパス、ラミパス、ルルルルル」という呪文には、「さようなら」という意味が込められている。
自称“大学生”の加賀美あつ子は、友達と出掛けた遊園地の観覧車で、岡田将生演じる尚人に恋をする。老舗の化粧品会社「赤塚」の企画開発室に勤める尚人から、アルバイトとしてスカウトされたアッコは、時に尚人の尊敬する中村前社長(大杉蓮)などにも変身して彼を励ましつつ、小学生ならではのフレッシュな発想で新商品の開発に奔走。一方、原作でアッコが淡い恋心を抱く初恋の相手は、家の2階に下宿する小林という年上の男性で、二人が遊園地で親しくなる所は映画とも共通している。
また、黒スーツにソフト帽、夜にも関わらずサングラスと、スパイのような出で立ちでアッコの前に現れる“鏡の精”を演じるのは香川照之だが、アニメでは女性へと変更されている。その他にも、親友のモコや飼い猫シッポナなど、アニメで毎話アッコと共に様々な事件を解決するキャラクターたちも映画の重要な役割を担っているので、こちらにも注目してもらいたい。
アニメ、そして実写映画化されるマンガは後を絶たないが、なぜ今『ひみつのアッコちゃん』なのだろうか? プロデューサーの山口氏は「ひとりの女の子が、岐路に立ち迷っている大人たちの社会に対して、小学生ならではの問いかけをする。それが現代の日本にアッコちゃんをよみがえらせる意味なんじゃないかと、10年以上前にこの企画が頭に浮かんだときからずっと考えていました。子供が大人の世界に飛び込むことで、大人の側にも子供の側にも、見えてくることがある。派閥抗争とかポスト争いとか大人たちがやっていることはほとんど内向きで、学級会の子供のケンカの延長のようなもの。そんな大人の営みの不毛さ、馬鹿馬鹿しさも意識しながら脚本作りを進めていきました。」と回答。アニメが放送された時代に子供だった人も、今では子を持つ親の立場となり、親子一緒に本作を楽しむのもまた良いだろう。
赤塚不二夫と言えば、『おそ松くん』『天才バカボン』など“ギャグ漫画の王様”として知られるが、意外にもデビュー作は『嵐をこえて』という哀しい少女マンガ。本心ではギャグマンガを描きたかった彼にとって、オトメ心を描くストーリーを考えるのは至難の業で、そんな時に彼を助けたのが、当時のアシスタントで後に最初の結婚相手となる登茂子さんだったという。
“ギャグ漫画の王様”が最愛の人と共に生み出した、いつの時代も決して色褪せることのない不滅のオトメ心。それはきっと、大人たちがいつの間にか忘れてしまった大切なもの、子供の頃になりたかった自分を思い出させてくれるに違いない。アッコが魔法のコンパクトを手にすることができたのは、母親に買ってもらった鏡を大事にしていたからだ。頭でっかちに考えたり、難しいことは抜きにして、是非素直な心で楽しんでもらいたい。
映画公開に合わせて、「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」では9月1日より、1969年に初めてアニメ化された『ひみつのアッコちゃん』を配信中なので、アニメを観てから映画を観ると楽しみが倍増するだろう。ラミパス、ラミパス、ルルルルル…。
・「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」特集ページ
・映画『ひみつのアッコちゃん』公式サイト
・参照:赤塚不二夫公認サイト「これでいいのだ!!」
[PR記事]