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 今年もまた節電の夏がやってきた。ひと時の涼を求めて、冷房の効いた映画館でホラー映画を観るのもオススメだが、ヒヤリとするような恐怖体験は、何もホラー映画だけに限ったものではない。現実世界で人間が恐怖を感じる対象は様々だが、最も有名な恐怖症の一つが“高所恐怖症”である。

 先月22日に開業から一ヵ月を迎えた高さ634メートルの東京スカイツリーには、当初の予想を上回る581万人が殺到。7月10日まで完全予約制となる地上350メートルの天望デッキからの景色を体験できたのは、その内の約40万人だけだ。高所恐怖症でなくても、生命の危機を感じるような景色が眼下に広がる高所で恐怖を感じるのは、人間の本能として当然の反応。にも関わらず、人はなぜ高所に憧れを覚えるのだろうか。

 いよいよ明日7日から公開となる映画『崖っぷちの男』では、5,000以上もの高層ビルが林立するニューヨークの摩天楼に実在するルーズベルト・ホテル21階、地上60メートル×幅35センチの客室窓外に、一人の男が足を踏み入れる。その姿はすぐに通行人によって発見され、地上は瞬く間に野次馬たちで溢れ返る。不謹慎にも彼らが見逃すまいと期待するのは、まさに“崖っぷちの男”が飛び降りる瞬間。しかし、その騒動の裏側では“ある計画”が秘かに進められていたのだった…。

 先月2日には、ニューヨークと並ぶ大都会である東京・六本木の8階建てビル屋上で“崖っぷちの女”による飛び降り自殺騒動が発生し、約3時間後に警察の説得により無事保護された。現実世界で“崖っぷち”に立つことは決してオススメしないが、人生において、後が無いという意味での“崖っぷち”に立たされた経験は、誰しも一度はあるのではないだろうか。

崖っぷち度100%:元警官ニックの場合

 善良な警官だったニックは濡れ衣を着せられ、30億円のダイヤモンドを横領した罪で刑務所に収監された。かつて自分や仲間が逮捕した犯罪者達と同じ空間に身を置かなければならない苦痛は相当なものだったろう。25年の刑期途中で脱獄に成功し、消息を絶っていた彼は再び人前に姿を現し、自分の無実を証明するために“崖っぷち”に立つのだった。

 主人公の“崖っぷちの男”ニックを演じるのは、『アバター』で主演を務めブレイクした、サム・ワーシントン。日本では今年すでに5本も彼の出演作が公開され、今や名実ともにハリウッドのトップスターの仲間入りを果たした彼だが、観客の立場になり「自分が16ドル払って観に行くか?」が出演作を決める判断基準だという。実はサム・ワーシントン自身は高所恐怖症なのだが、インタビュー映像では、彼が“崖っぷち”に立つ緊張感を観客に伝えるために行った努力などを明かしているので、まずは以下の動画を観てもらいたい。



崖っぷち度50%:交渉人リディアの場合

 内閣府の発表によれば、日本での昨年一年間の自殺者数は30,651人で、実に17分間に一人が自殺している計算になる。その手段は様々だが、過半数が首つり、そして次に多いのが飛び降り自殺だ。昨年には中国で、飛び降り自殺を図ろうとしていた少年に、通りすがりの少女がキスをして自殺を思いとどまらせるというドラマのようなニュースが報じられたが、大抵の場合は引き止める間もなく、ジャンパー(飛び降り自殺志願者)はすぐに飛び降りてしまうという。

 ジャンパーである“崖っぷちの男”ニックは、現場に駆けつけた刑事に対し、自らの要求を伝える交渉相手として、女性刑事リディア・マーサーを指名。なぜ自分が選ばれたのかも分からぬまま交渉を開始するリディアだが、彼女は前の任務で飛び降り自殺しようとした若い警官の説得に失敗したことで、心に深い傷を負っていた。任務の失敗は、すなわち交渉相手の死を意味することから、リディアは安全な場所に身を置きながらも、常に“崖っぷち”に立たされているとも言える。本来は仲間であるハズの同僚の警官に裏切られ、誰を信じればいいのか分からなくなってしまったという点において、ニックとリディアには共通点があり、それが交渉相手に彼女を選んだニックの狙いでもあったのだ。

崖っぷち度0%:峰不二子ボディの美女アンジーの場合

 “崖っぷちの男”に群衆の注目が集まる一方で、秘かに進められる“ある計画”。あくまで首謀者はニックだが、実行するのは彼の弟ジョーイと、その彼女であるアンジーの二人だ。アンジーにとって、本来この計画は自分と無関係なハズだが、勝ち気で好奇心旺盛な性格が災いして首を突っ込んでしまい、その結果として計画の中で彼女もまた“崖っぷち”に立たされる。

 アンジー役を演じるのは、本作で映画デビューを果たしたジェネシス・ロドリゲス。お約束のお色気シーンだが、セクシーなピンクのランジェリー姿を披露して、タイトなボディスーツへと着替える場面があるので、男性諸君は決して見逃さないように。その抜群のスタイルは、バスト99.9cm・ウェスト55.5cm・ヒップ88.8cmのダイナマイトボディをもつ峰不二子に勝るとも劣らない。予告編では一瞬だが、そのシーンが映し出されているので、特集ページ上部の動画をチェックしてみよう。

 

 その他にも、ニックを取り巻く者たちは“ある計画”が進むにつれ、否応無しに次々に“崖っぷち”へと立たされていく。裏切りと陰謀が渦巻くスリリングな展開の中、日常生活ではなかなか味わえない死と隣り合わせの生と、目のくらむような高さが生み出す恐怖を体験できるだろう。ひょっとしたら我々が何気なく過ごしている日常にも、普段は気が付かないだけで、意外な“崖っぷち”が潜んでいるのかもしれない。

 物語の舞台となる地上60メートルという高さは、不安感をかき立てるには十分の高さでありながら、地上の人々や物が豆粒にしか見えなくなるほどまでは高くないという、ドキュメンタリーを撮り続けてきたアスガー・レス監督がこだわり抜いた高さ。明日7月7日、安心・安全な350メートルのスカイツリー展望台では決して体験できないリアルな緊張と興奮が、映画館であなたを待っている。

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『崖っぷちの男』特集