マーク・ヘンリーからのアドバイスを、どのように消化し自らのスタイルに取り入れているか、打撃の間合いも楽しみな日沖発のリカルド・ラマス戦だ

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22日(金・現地時間)、ニュージャージー州アトランティックシティ、レベルカジノで開催される「UFC on FX04」。今大会では日本の日沖発がUFC3連勝をかけて、リカルド・ラマスと対戦する。

4月末に米国でトレーニングを積んだ日沖。そのトレーニング期間中に、フランク・エドガーのボクシング・トレーナー=マーク・ヘンリーから、レスラー対策の打撃という部分でも手解きを受けている。

UFCではここまでジョージ・ループ、バート・パラゼウスキーに勝利し、世界タイトル戦の打診もあったとされる日沖だが、今回は自ら「もっと経験を積みたい」という意思を主催者に伝え、タイトル挑戦は白紙の状態に戻っている。

UFCでも過去に殆ど例を見ないタイトル挑戦を固辞するという行為を経て、戦うこととなったラマス戦は、日沖の「経験を積みたい」という言葉にうってつけの相手だ。UFCデビュー戦で対戦したループは日沖を上背・リーチで上回り、ポイントメイキングに長けた勝ちを拾う巧さを感じさせる曲者で、2戦目の相手パラゼウスキーはパンチで打ち合う展開を好み、そこに勝機を見出す好戦的なスタイルだった。

そして今回対戦するラマスは、レスリングがバックボーンというキャリアこそあるものの、パンチと蹴りをバランスよく使い、テイクダウン後もギロチンといった絞め技でフィニッシュも狙える選手。現在の米国人MMAファイターを象徴するようなスタイルで、ループやパラゼウスキーとは違うタイプに分類されるファイターだ。

リーチというアドバンテージを奪われて相性が悪かったループ戦では、テイクダウン&トップキープで差をつけてスプリットの判定勝利を収めた日沖。一本勝ちの可能性とKO負けのリスクが隣り合わせだったパラゼウスキー戦では、パラゼウスキーの得意な距離を外した間合いから打撃で削り、グラウンドで優勢に試合を進めた。すでに日沖はUFCにおいてループやパラゼウスキーのようなタイプと戦う場合の攻略法を見せたといってもいい。

ではオールランダーで、どの局面においても技術的にレベルが高く穴がなく、11勝2敗という高い勝率を誇るラマスを相手に、日沖はどんな攻略法で挑むのか?

ラマス攻略に求められるもの、それはすなわち過去2戦にはなかった日沖のオクタゴンでの戦い方における新たな引き出しと、これまで積み重ねてきたスタイルの融合である。

何よりも間合いを大切にする日沖の理想のスタイルは、打撃を自分の距離で戦い、テイクダウンから寝技で削る。そして相手のミスに生じて一本を奪うもの。そこに、UFCの戦いで必要なヒジを落とす位置と、立たせない抑え込みの融合や、優秀なレスラーが多いなかで倒された場合のバリエーションも、これまでより増やす必要がある。

3試合すべてが異なるスタイルの選手との試合、ラマスのようなレスリング・ベースのオールラウンダーから勝利を収めれば、日沖のUFCフェザー級における地位はより盤石なものになり、確実に世界戦への階段をステップアップすることになるだろう。
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