W選挙となった大阪市長&府知事選は、橋下徹氏ら「大阪維新の会」が圧勝。橋下氏はさっそく、公約のひとつである「公務員の改革」を掲げ、給料体系の大幅な見直しなどを迫っている。

 かつては「安定」の代名詞であった公務員も、国民の支持を得た「改革」の前には頭を垂れるしかないようだ。だが実は、すでに公務員の給料はここ10年で下がっていたという。公立中学校副校長の52歳男性がこう明かす。

「公務員なので、基本の給料はほとんど変わっていません。でも、年々ボーナスが減っている。10年前は年間4ヵ月分くらいは出ていたけど、今は3ヵ月分くらいですかね。しかも、ボランティア活動や体験学習といった社会活動に力を入れる学校が増えたため、最近じゃ教師も土日が潰れてしまうことが多いし準備も大変。あと、なんといっても近年はモンスターペアレンツへの対応が課題であり、恐怖です。給料が増える見込みはほとんどないのに仕事量は増えるばかりなので、特に若い先生たちは将来的にも大変だと思いますよ」

 また、地方公務員の32歳男性はこう語る。

「ムダな公共事業の乱発によって、この10年で市はすっかり財政難。その影響で、3年前から毎年、基本給(月約20万円)とボーナス(年約40万円)から0.5%カットされ続けています。微々たる削減と思われるかもしれませんが、3年間で約5万円も削られたんですよ! 薄給の地方公務員にとって、5万円ダウンはデカイっしょ! 給与カットだ、リストラだと不況で民間企業も大変なんでしょうが、ボクたちも同じなんです。もう金輪際、ボクたちのことを“税金ドロボー”なんて呼ばないでもらいたいもんですね」

 民間企業に比べたら微々たる減少っぷりだが、その反面、人員削減などにより個々人の仕事量が上がって「割りに合わない」というのが本音のようだ。また、ここ10年で実際に「国営から民間企業」になった郵便局員の35歳男性はこんなエピソードを語る。

「給料的には、郵政民営化(2007年)の前と後で大きな変化はありません。ただ、この1年くらいで状況は厳しくなっています。というのは、昨年のお中元時期に起きたゆうパックの遅配問題がひとつの引き金だと思うんですが、ボーナスが30%カットになったんです。実は、ボーナスカットって民営化前後を含めて初めてのことです……」

 企業のミスにより社員のボーナスが下がるのは、民間企業ならよくある話。「改革」が進む大阪には、こうしたエピソードがあふれるようになるかもしれない。

(取材/頓所直人、興山英雄、小山田裕哉、河合桃子)

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