名物P・ズラサン、「ニコ動で復活」の道のり
オードリー、スザンヌ、鳥居みゆきといった大スターを生み出した伝説のインターネット生放送無料トーク番組『ギャオジョッキー』が2009年8月末で突如終了。それとともに、同番組のプロデューサーであり、しばしば番組内でMCとして出演していた人気者、「ズラサン」の愛称で知られる神戸敏行氏も姿を消した。それが今年7月、ニコニコチャンネルのバラエティページで、ギャオジョッキーの当時のスタッフが中心となって制作する生番組『ニコジョッキー』として生まれ変わり再スタート。その中で、神戸氏がまたMCとしてマイクを取っている。いったいこれまでに何が起り、どのような経緯で復活を遂げたのか、取材してみた。
実は今から3年前、「ギャオの名物P・ズラサンが番組に出演するワケ」でギャオジョッキーと神戸氏を紹介した。そのときは、番組制作会社電子公園の社長として、プロデューサーとして、またMCとして意気揚々としていた。ところが、ギャオジョッキー終了のあと、消息不明、激やせしたなど「いったいズラサンはどうしたのか」という噂話がタレントの会話の中で飛び交うようになったのだ。
「あのときは本当にしんどかった」
と本人は回想する。何があったのか。
「ギャオジョッキーが終わってしまったあと、緊張の糸がプッツリ切れたような感じになり、コンテンツづくりの意欲が萎えてしまいました」
さらに、ギャオジョッキー終了のショックに追い討ちをかけるように、電子公園共同経営者との経営スタンスの相違が生じ、2010年8月末で同社代表を退任した。
「タレントのカンニング竹山氏に、『もう俺は終わりかもしれん』とぼやいたこともありました」
そんな絶望の中、捨てる神あれば拾う神あり。ある強力な支援者を得て、番組制作会社コンテンツタワーを新たに設立。同社代表としてまたコンテンツ制作に踏み出したというわけ。だが、もう今のギャオではできない。どこで番組を配信すればいいのか。メディア探しが始まったわけだが、なかなかこれというところが見当たらない。そのとき、たまたまふとしたつながりでネットコンテンツ会社のドワンゴの関係者と知り合う。
「番組をつくるといっても今のご時世、スポンサーを見つけるのはしんどい。とはいえ、なんとかギャオジョッキーのような番組をまた作りたいと思い昨年5月、インターネットを使って当時のギャオユーザーに有料でも番組を観てくれるかどうかアンケート調査した。すると、3500通の回答があり、そのうち約7割の人が『有料でも観たい』と言ってくれました」
この結果を見て「これはいける」と思ったそうだ。
有料で番組を配信する仕組みを持った有力なメディアとして、ニコニコ動画が最適だと分かった。同サイトでは当時「都度課金」という番組のバラ売りシステムを新たに導入しようとしていた。そこへ、ギャオジョッキーのような日替わりの生番組ラインアップがピタリと合致したのだという。このように両者の利益が一致したおかげで、7月5日、2時間の無料オープニング生番組を配信。来場者数は5万人を超えた。
そんな経緯で復活したニコジョッキーとはどんな番組なのか。
「一言で表わすなら、タレントによる客イジリ番組です」と神戸氏。
番組内に送られるチャットを出演タレントが読むことで、タレントとユーザーの双方向番組が実現する。
「このようなやりとりを始めた番組は、ギャオジョッキーが最初だったと思う」
このやり方をニコジョッキーが踏襲し、神戸氏もズラサンとして日々懸命にユーザーをイジクリ倒している。
だが、中には「荒らし」のようなたちの悪い書き込みもあるのでは。
「ギャオ当時から荒らしはいました。ですがあえてタレントが彼らをイジル中で、だんだん心を開いてくれます」
「たちの悪いユーザーを排除したりバッシングするのは簡単。でも、それでは対立しか残らないから」
というスタンスが番組制作の方針。
また、ユーザーの番組センスの高さをこう指摘する。
「4名の女の子が出演する番組内で『この4人の中で誰と付き合いたいか』というアンケートをしてみました。すると、1回目、2回目とも同じ女の子がゼロパーセントという結果に。これってへこむと同時にタレントとしてはおいしいですよね。ところが3回目は意表をついてなんとその女の子が1位になりました。で、4回目はまたゼロパーセント。この流れはたぶんユーザーが空気を読んで番組をおもしろくするためにわざとやっていると思いました。ユーザーが番組を構成しているというわけですよ」
そんな寛大な考えを持った神戸氏の冠番組「ズラサンミーティング」は、どんな内容か。
書き込み「(ズラサンと)タレントの小明の愛人説」
ズラサン「一切ございません」
書き込み「小林アナとの不倫関係は?」
ズラサン「それも一切ございません」
書き込み「ジャニーズの●●くんのハゲ具合が酷い」
ズラサン「これ読んでいいんでしょうか。やっぱりこれ、なかったことにします」
書き込み「紳助呼べないか」
ズラサン「呼べません」
ズラサン「『失恋レストランの……』ちょっと待って、前科持ちジョッキーってなんや。読みたくないのに読みたくなるような書き込みやめてもらえる?」
書き込み「稲川淳二で『こわくない話』を」
ズラサン「それって打ち合わせが難しそうですね」
書き込み「おりりん(折原みか)の番組は?」
ズラサン「11月にはなんとか出てくれそうよ。ほかにもやりたい企画いっぱいあるんですけど、カメの歩みみたいですいませんね」
書き込み「ニコジョッキーは赤字?」
ズラサン「なんとかギリギリです。『トントンですか』って、もう書き込みが生々しいは!」
こんなやりとりを続けられるのも、好きなことだから。
「仕事ではなく楽しいこと、好きなことをやっているという感覚です」
最後に今後の目標を聞いた。
「ギャオジョッキーのようにいつでも何回でも観られるアーカイブページをつくりたいですね。あとは、無料コンテンツを増やし、有料コンテンツの値段を今より安くできるよう頑張ります!」
ユーザーのひとりとして、これからも破天荒で楽しい番組を期待する。
(羽石竜示)
「あのときは本当にしんどかった」
と本人は回想する。何があったのか。
「ギャオジョッキーが終わってしまったあと、緊張の糸がプッツリ切れたような感じになり、コンテンツづくりの意欲が萎えてしまいました」
さらに、ギャオジョッキー終了のショックに追い討ちをかけるように、電子公園共同経営者との経営スタンスの相違が生じ、2010年8月末で同社代表を退任した。
「タレントのカンニング竹山氏に、『もう俺は終わりかもしれん』とぼやいたこともありました」
そんな絶望の中、捨てる神あれば拾う神あり。ある強力な支援者を得て、番組制作会社コンテンツタワーを新たに設立。同社代表としてまたコンテンツ制作に踏み出したというわけ。だが、もう今のギャオではできない。どこで番組を配信すればいいのか。メディア探しが始まったわけだが、なかなかこれというところが見当たらない。そのとき、たまたまふとしたつながりでネットコンテンツ会社のドワンゴの関係者と知り合う。
「番組をつくるといっても今のご時世、スポンサーを見つけるのはしんどい。とはいえ、なんとかギャオジョッキーのような番組をまた作りたいと思い昨年5月、インターネットを使って当時のギャオユーザーに有料でも番組を観てくれるかどうかアンケート調査した。すると、3500通の回答があり、そのうち約7割の人が『有料でも観たい』と言ってくれました」
この結果を見て「これはいける」と思ったそうだ。
有料で番組を配信する仕組みを持った有力なメディアとして、ニコニコ動画が最適だと分かった。同サイトでは当時「都度課金」という番組のバラ売りシステムを新たに導入しようとしていた。そこへ、ギャオジョッキーのような日替わりの生番組ラインアップがピタリと合致したのだという。このように両者の利益が一致したおかげで、7月5日、2時間の無料オープニング生番組を配信。来場者数は5万人を超えた。
そんな経緯で復活したニコジョッキーとはどんな番組なのか。
「一言で表わすなら、タレントによる客イジリ番組です」と神戸氏。
番組内に送られるチャットを出演タレントが読むことで、タレントとユーザーの双方向番組が実現する。
「このようなやりとりを始めた番組は、ギャオジョッキーが最初だったと思う」
このやり方をニコジョッキーが踏襲し、神戸氏もズラサンとして日々懸命にユーザーをイジクリ倒している。
だが、中には「荒らし」のようなたちの悪い書き込みもあるのでは。
「ギャオ当時から荒らしはいました。ですがあえてタレントが彼らをイジル中で、だんだん心を開いてくれます」
「たちの悪いユーザーを排除したりバッシングするのは簡単。でも、それでは対立しか残らないから」
というスタンスが番組制作の方針。
また、ユーザーの番組センスの高さをこう指摘する。
「4名の女の子が出演する番組内で『この4人の中で誰と付き合いたいか』というアンケートをしてみました。すると、1回目、2回目とも同じ女の子がゼロパーセントという結果に。これってへこむと同時にタレントとしてはおいしいですよね。ところが3回目は意表をついてなんとその女の子が1位になりました。で、4回目はまたゼロパーセント。この流れはたぶんユーザーが空気を読んで番組をおもしろくするためにわざとやっていると思いました。ユーザーが番組を構成しているというわけですよ」
そんな寛大な考えを持った神戸氏の冠番組「ズラサンミーティング」は、どんな内容か。
書き込み「(ズラサンと)タレントの小明の愛人説」
ズラサン「一切ございません」
書き込み「小林アナとの不倫関係は?」
ズラサン「それも一切ございません」
書き込み「ジャニーズの●●くんのハゲ具合が酷い」
ズラサン「これ読んでいいんでしょうか。やっぱりこれ、なかったことにします」
書き込み「紳助呼べないか」
ズラサン「呼べません」
ズラサン「『失恋レストランの……』ちょっと待って、前科持ちジョッキーってなんや。読みたくないのに読みたくなるような書き込みやめてもらえる?」
書き込み「稲川淳二で『こわくない話』を」
ズラサン「それって打ち合わせが難しそうですね」
書き込み「おりりん(折原みか)の番組は?」
ズラサン「11月にはなんとか出てくれそうよ。ほかにもやりたい企画いっぱいあるんですけど、カメの歩みみたいですいませんね」
書き込み「ニコジョッキーは赤字?」
ズラサン「なんとかギリギリです。『トントンですか』って、もう書き込みが生々しいは!」
こんなやりとりを続けられるのも、好きなことだから。
「仕事ではなく楽しいこと、好きなことをやっているという感覚です」
最後に今後の目標を聞いた。
「ギャオジョッキーのようにいつでも何回でも観られるアーカイブページをつくりたいですね。あとは、無料コンテンツを増やし、有料コンテンツの値段を今より安くできるよう頑張ります!」
ユーザーのひとりとして、これからも破天荒で楽しい番組を期待する。
(羽石竜示)