室内に置けるこんな水琴窟もあるみたいです(ティーズ・コーポレーションより)。
水琴窟をご存じだろうか。

やけに風流な字面だが、「すいきんくつ」と読む。これは日本庭園で良く見る、つくばいの下に埋められた甕のこと。
つくばいの水が甕の中に水滴となって落ちる。その水滴が甕の中で鳴り響く。
排水しながら水の共鳴音、反射音を楽しめる日本古来の音響装置なのだ。

甕の底に溜まった水の深さにより音の質が変わるそうだが、琴、もしくは澄んだ鐘の音のような美しい音が鳴り響く。

かつては日本庭園に置かれ、江戸時代から多くの風流人に愛されてきたこの水琴窟だが、時代の流れによってすっかり廃れた。昭和頃になると、もう数えるほどしか残っていなかったそうだ。
水琴窟が廃れた理由は置くスペースが無い、そもそもマンション住まいで設置できないなどの住居環境のせい。
しかし新聞などに取りあげられたことにより、じわじわ人気が復活。今では水琴窟の音源CDの販売、水琴窟×楽器の異種コンサートなども開かれるように。

さらに水琴窟をプロデュースするティーズ・コーポレーションさんが水琴窟を使ったシステムを開発し、愛好者も増えてきているそう。
もともと水琴窟は 小さく囁くような音が特徴。それを現代の室内、住環境でも味わえるように研究を重ねて生まれたのがこのシステムだ。

JR名古屋駅ツインタワービルや四条河原町日新河原町ビル、西日本テレビ本社ビル1Fなどの公共スペースで実際にその音を聞くことができる。
イタリアの世界遺産、聖フランチェスコ大聖堂にも寄贈されたそう。

ちなみに水琴窟を個人宅で設置する場合、30センチ角から80センチ角のスペースが必要で、工事料は20万円から。本格的な作庭も入れると、120万円ほどかかるため、手軽に……と言うわけにはいかない。
そこで植木鉢をひっくり返し、その中に水を溜めて上から水を落とす。と、言う簡単な水琴窟を作るファンの人も居るそうだ。
これは原理的には水琴窟に近いので似た音は出せるが、小さな音なので、静かな場所でなければ聞き取れない。

しかし季節は空気の澄む秋。最近は家で過ごす人も増えている。

環境音楽を探している人は、こんな日本古来の環境音楽に注目してみては。
(のなかなおみ)