農村や漁村の「暮らしを楽しむ」旅行

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先日、友人たちと「どんな旅行が好きか」という話になったところ、「忙しく動いて、色々なものを見聞きする旅をしたい」派もいれば、「何もせず、ただのんびり過ごしに行きたい」派も少なくありませんでした。一言に「旅行が好き、趣味だ」といっても、旅の志向は全く違っていることも、しばしば。他にも、とにかく買い物がしたいという人、遺跡などが見たいという人、グルメに興じたいという人……。海外にも何度も行く人が多い時代、旅に求めるものは細分化してきているようです。

■農村や漁村の「暮らしを楽しむ」旅行

さて、そんななかで近年、「グリーン・ツーリズム」という旅のスタイルが生まれています。定義で言うと、「農山漁村で自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動(国土交通省)」ということになります(農業体験を主体としたものを「アグリ・ツーリズム」、漁業体験を主にしたものを「ブルー・ツーリズム」と呼ぶこともあります)。
旅行業界では既に知られた言葉になっていますが、一般の旅行者たちに、「この言葉を知っているか?」というアンケート(2008年、男女300人に実施)を行ったところ、知っていると回答した人は4割弱。約3分の2の人が知らない状況ですので、まだまだ認知度は低いと言えそうです。

さらに「グリーン・ツーリズムの名前を知っている」と答えた人のなかで、実際に参加したことがある人は約2割。しかし、これから参加してみたい、という人は7割近くに上っています。「エコ」「ロハス」などの浸透や、さらに原発事故以来、自分たちが口にする「食」への関心が高くなり、社会的にも農業そのものへの関心が高まっていますので、今後はさらにこういったスタイルの旅行も多くなってくると推測できます。

■あくまで「都会の人が行きたい」旅行!?

「農業体験」と言っても、別に農家に住んで毎日働く、というわけではありません。様々なスタイルがありますが、基本的には旅館や民宿、ロッヂやコテージに泊まって、日中の行動として農業を体験する、というものが多いようです。「いつかのために、田舎暮らしを体験してみたい」なんて人にとっては、非常におすすめの滞在型旅行と言えそう。地方自治体で「グリーン・ツーリズム」を支援しているところも多く、現地のお祭りに参加できたり、現地の人々との交流を楽しめたりするものも。もしも興味のある「田舎」があれば、ぜひ一度、こんな形の旅行をしてみるのも良いのではないでしょうか。

さて、前項のアンケートでは「グリーン・ツーリズム」に参加してみたい理由、参加したくない理由として、以下のようなものが挙っています。

(参加してみたい理由)
・ 自分が食べる食品を作ってみたい
・ 家族で参加して、食育の意味でも子供に体験させてあげたい
・物見遊山の旅行に飽きてきた。旅行先の「暮らし」を体験してみるのは面白そう

(参加したくない理由)
・ 今住んでいるところが田舎なので、あえて旅行で体験したいとは思わない
・ 現地の人との交流が煩わしい気がする
・歳をとっているのっで、自宅の庭で農業はやってみたいとは思うが、わざわざ出向いてまでは億劫。

……等々。これを読むと、「グリーン・ツーリズム」という形の旅行に向いている人、向かない人が何となく見えてきますね。旅行に求めるものは人それぞれですが、興味を持たれた方は、専門サイトなどもありますので、ぜひチェックしてみて下さいね。
(ゆひら)