「先生、バナナはおやつに入りますか?」

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行楽シーズンで、遠足も増える頃。
ところで、遠足といえば「おやつ」。一般的には「おやつ」といえば、「300円以内」のきまりや、「バナナはおやつに入りますか」の質問(ギャグ?)が、昔は定番だった。

ちなみに、子どもの頃、自分の学校では遠足はおやつ全面禁止だっただけに、「バナナが入るか」という定番ギャグを聞くたび「遠足におやつ持ってくの?」と不思議に思ったこともある。
そのため、修学旅行などの宿泊行事の際に初めておやつが許可され、「上限金額」が言い渡されたときには、かっぱえびせんやカールなどの袋物でなるべく嵩を増やし、リュックをパンパンにするのが喜びだった記憶がある。
女子は袋菓子など「みんなで分かち合う菓子」や「交換できる菓子」を多く選んでいたが、男子は、うまい棒・ベビースターなどの駄菓子系を、完全な「プライベート菓子」として上限めいっぱいまで買い込んでいた子が多かったようにも思う。
なかには、上限を大幅に超えていそうな子もいて、「家にあったのをプラスしただけ」「安売りだったから」などの言い訳もあったけど……。

では、今の遠足のおやつは、どうなっているのだろうか。
友人・知人などに聞いてみると、意外だったのは、自分の子どもの頃と同じく「遠足のおやつはない」という学校がけっこうあったこと。
都内のある小学校教諭は言う。
「地域・学校にもよりますが、今は遠足のときにおやつなしのところがけっこう多いと思いますよ。管理上の問題もありますが、スケジュール的にタイトなので、おやつを食べる時間がほとんどないこともありますし、お弁当でお腹がいっぱいになるからということもあると思います」
また、「家庭の事情」などを考慮したうえで、「統一の菓子を学校で支給」というところもあるよう。

さらに驚いたのは、遠足のおやつOKの学校でも、今は「上限がない」ところが多いらしいこと。
「今は具体的な金額の上限は決めず、『自分で食べ切れるだけの量を持参』という学校が多いのではないでしょうか。自分で考えることが大切、ということもあります」(関東の小学校教諭)
実際には、上限を決めておいても守らない子がいたり、あまり意味がない……という判断もあるのかも。

ちなみに、遠足のおやつのチョイスで驚いたのは、小学生高学年女子たちのこんなコメントだ。
「男子は駄菓子をたくさん買ってるけど、女子はあんまり……。みんな買ってるのはグミとか飴とか、あとはやっぱり梅系が人気」
「梅系」とは、「ねり梅」や「梅タブレット」「梅のど飴」「干し梅」「スッパイマン」などのこと。
昔は、梅菓子は今のように種類がなかったと思うが、遠足のおやつの定番が「梅系」とは、なかなかシブいではないか。
ちなみに、学校によって「チョコや飴、ガム等、口の中に長時間残る物は禁止」など、細かい規則があるところもあるらしい。

自分がかつてそうだったように、「ない」ことが当たり前になっていると、子どもも不満を抱くことはないけれど、「ある」ことが当たり前だった経験をしている大人たちには、「遠足で行った場所は一つも覚えてないけど、おやつ選びのワクワクだけは覚えている」という声もあり、いろいろ議論もありそうな「遠足のおやつ」問題。
学校でのルールも、好みも、時代とともにいろいろ変わっているようです。
(田幸和歌子)