代金を払った後に、中身がゴミや石ころだったと気づくことも。ご注意を(写真はイメージです)。

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最近、マンションや町内の掲示板、下町の飲食店内などで、気になるポスターを何度か見かけた。
それは、「代引詐欺(代金引換詐欺)」に関するもの。

「代金引換詐欺」とは、注文していない品物などを勝手に送りつけ、届け先から代金をとるという詐欺らしい。「振り込め詐欺」の被害もまだなくならないが、新たにこんな手口も出ていたとは。

実際に被害は増えているのだろうか。東京都消費生活総合センターに聞いたところ、こんな回答があった。
「代引配達のトラブルはたくさんありますが、商品の不備があったとか、他の物が届いたという相談が多いですね」
「代引詐欺」という言葉での登録はないそうで、「代引配達のトラブル」もしくは「ネガティブオプション(注文していない商品を勝手に送り付け、断らなければ買ったものとみなして、代金を一方的に請求する商法)」の中に、「代引詐欺」も含まれている可能性があるという話だった。

ちなみに、上記の相談件数の推移は、以下の通り。

●代引配達のトラブル
2008年度 632件
2009年度 804件
2010年度 749件
2011年度(4〜7月分) 347件

●ネガティブオプション
2008年度 320件
2009年度 293件
2010年度 365件
2011年度(4〜7月分) 77件

では、警察への被害届などはどのような状況になっているのだろうか。警視庁広報課に聞いたところ、
「『代引詐欺』とは、具体的にどういう内容でしょうか」と逆に問われた。調べてくれたが、やはり「ネガティブオプション」など「詐欺」の中に含まれている可能性があり、現時点では発生件数などは把握されていないとのこと。
「おそらく『代引詐欺』などのように言葉がまだ統一されていないのだと思います」

新手の手口だけに、まだあまり知られていないのだろうか。だが、調べてみると、数年前からネット上では様々な被害報告が見られた。また、商店街や町内会などで警告が出ているところも、けっこうあるようだ。

また、ある宅配便業者はこんな話をしてくれた。
「代金引換郵便が届いたとき、注文していなくとも、在宅中の家族が『誰か注文したのだろうか』と思い、お金を支払ってしまうケースが多いんです」
代金引換郵便の場合、一度代金を支払ってしまうと、制度上郵便局から返金してもらうことはできないそうだ。

ほかにも、「宅配便業者」を装った詐欺もいるという。
「年配層が多く住む古いマンションなど、隣近所付き合いがありそうなところを狙って、留守宅の隣の家に代引の荷物を届けるケースもけっこうあるんですよ。『お隣さんが留守だから』と言われて、好意で代金を立て替えてしまい、本人が帰宅後に荷物を開封すると、石やゴミが出てくる……というパターンです」
本人が身に覚えのない商品を受け取らないことはもちろんだが、無防備な好意にも注意が必要とは……。

新しい手口が次々に登場するいまの世の中、「代金引換」も「いつ、誰が、どこに注文したか」を確かめ、一度は疑ってみるくらいの用心があっても良いのかもしれません。
(田幸和歌子)