キャリアで唯一のピンク作品『性戯の達人 女体壺さぐり』で、園子温が監督だけでなく俳優としても登場/[c]OP

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海外のハードなポルノ映画とは一線を画す、日本ならではの情緒ある艶技で見るものの目を引く成人映画、通称“ピンク映画”。AVと何が違うの?何て思われる方に是非入門編として見ていただきたいのが、オデッサ・エンタテインメントより9月から4ヶ月連続でリリースされるDVDシリーズ「平成ピンク映画傑作選」だ。

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本シリーズは平成のピンク映画を代表する傑作ばかりを集め、DVD化を実現させたもの。そもそもピンク映画は、35mmフィルムで撮影し、映倫の審査を経て劇場公開されるれっきとした映画であり、AVとは一線を画している。むしろ、低予算かつ撮影期間も3日程度という制約されたスケジュールのなかで、女優との絡みシーンはもちろん、約60分のストーリーを完結させるために様々な苦心を強いられ、そこから生み出される先鋭的な作品や表現は、世界的に注目も集めているのだ。1962年の『肉体の市場』以来、約50年も続く成人映画の歴史において、アカデミー賞外国語映画賞に輝いた『おくりびと』(08)の滝田洋二郎や、『Shall we ダンス?』(96)の周防正行など、今や日本映画界を背負って立つ存在となった数々の映画人を輩出したことでも語りぐさとなっている。

今回発売となるタイトルは、AVの爆発的な普及により、苦境に立たされている現在も成人映画界を支え続けている業界最大手・大蔵映画の作品となる。そのラインナップは、2001年に亡くなるまで400本もの作品を撮り続けたピンク映画界の巨匠・小林悟監督の作品をメインに、現在のピンク映画界を支える加藤義一監督作など。さらに監督最新作『恋の罪』(11月12日公開)や『ヒミズ』(2012年春公開)も控える日本映画界の鬼才・園子温が唯一手がけた幻の未ソフト化作品『性戯の達人 女体壺さぐり』(00)も含まれており、映画ファンにはきっとたまらないはずだ。

一方、出演する女優陣も小林ひとみ、イヴ、川奈まり子といった懐かしい名前に加え、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が実写作品として初めてプロデュースを担当した話題作『監督失格』(公開中)の“真”の主人公である林由美香が出演した作品(『牝監房 汚された人妻』)も含まれている。いろんな意味で興味深いシリーズとなっているので、是非一度、その世界をのぞいてみてほしい。【トライワークス】

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