露崎春女
 前作「13years」から2年半、4月20日にニューアルバム「Now Playing」を発売した露崎春女。彼女が多感な時期を過ごした80’sのサウンドをベースにしつつも、個性溢れる全12曲を見事なまでの歌唱力と音域豊かな歌声で表現した同作について、恋愛観から結婚観、そして今だからこそ実感する、何気ない日常の大切さなど話を聞いた。

――前作から2年半ぶりのアルバムとなりますが、先にテーマありきで新曲を作り始めていったのか、今までに作り溜めていた曲の中から、テーマに合った曲を選んでいったのか、どちらが近いですか?

露崎春女(以降、露崎):どちらかというと前者ですね。昔に書き溜めていた曲もあるんですけど、基本は新しいクリエーターの人達と1から作っていこう、という感じですね。

――歌詞のテーマや音の方向性についてリクエストされたことはありますか?

露崎:全部の曲が「こういう曲、こういうトラックが欲しい」というリクエストから始まって。私が書く曲には元々80’sのサウンドのフレーバーがあったんですけど、アルバム全体で明確に、私が一番多感だった80年代から90年代初めの音楽を前面に出したいとオーダーしましたね。「80’sのあの時こういうのがあって、かなり面白かったよね」とか「キャッチーだったよね」とか「これにときめいたよね」みたいなことを散々スタッフと話して。それは楽しい打ち合わせだったんですけど、「あの時、俺はこうだったなぁ…」みたいな昔話になっちゃって、全然先に進んでないみたいな(笑)。そんな打ち合わせを経て固まってきて、それを軸に色んな人に頼んでいきました。

――おそらく収録に漏れた候補曲もあったかとは思いますが、選曲基準は80’sというテーマの他にもありましたか?

露崎:曖昧ですけど、「これがいい」とか「これ、やりやすそう!」とか、よりインスピレーションの働く方という基準で(笑)。あとは「これは今までに無いから」とか、今までやってたことに捕らわれずに。「えー!これやるの?」と一瞬思っても「それ、いいかもしれないよ」とか「敢えて、それをやろう」という所はあったかもしれないですね。

――作曲家やアレンジャーから音が上がって来た時に、予想外の仕上がりだった曲はありましたか?

露崎:予想外のものもありましたね。「EMERGENCY !」は、最初もっと4つ打ちのトラックみたいな感じで、それに私がメロディを乗っけて返したんですよね。そしたら、今のような形のトラックが返ってきて、今まであまりやったことのない感じの新しいサウンドだったので、ビックリしましたね(笑)。歌詞もスゴイですからね。「『少女マンガの乙女みたい』って、私が歌うの?」ってビックリしたけど、歌うとバッチリはまるという。

――他の人の歌詞によって、自分との共通部分や違いを感じたり、改めて自分自身のキャラクターを実感するようなことはありましたか?

露崎:特に「こういう世界観で」とか言わなかった割には、書いて頂いたものに関して「自分と全く違う」みたいなことが無かったので。「少女マンガの乙女」も普段、自分では書かない言葉ですけど、何歳になっても恋をすれば誰でも経験するような気持ちだし。「Bye Bye Gloom」も「露崎さんが歌詞を書いたと思った」と言われるぐらい、すごくフィットした歌詞が上がってきて。「ライブでみんなで盛り上がって一つになれるような曲で、ロックンロールR&Bがやりたい」とリクエストして、Nao’ymtくんが歌詞も曲も書いてくれたんですけど。私が「こうしたい、こういう曲が欲しい」と思ってオーダーしたら、本当にその全てを叶えて、それ以上にして返してくれた感じの曲で。本当に皆さん優秀なんです(笑)。

――「Bye Bye Gloom」は、すごくポジティブで前向きな歌詞ですが、露崎さんは周りの人からどのようなキャラクターだと言われますか?

露崎:表面的なキャラはよく、姉御だとかサバサバした性格だとか言われるんですけど、たまには悩みますよ(笑)。でも最終的には、やっぱり前を向いて生きていかないと。「同じ人生なら、明るい方がいいじゃない」と思うタイプなので。