大会4日目を迎えたW杯。第2試合では日本とカメルーンが対戦する。欧州の主要リーグやトルコでプレーする選手が揃うカメルーンは、選手個々のレベルに関しては、強豪国にひけをとらない。カギを握るのは、采配をふるうポール・ルグエン監督とも言えそうだ。

 1年前にカメルーンの監督に就任したフランス人のルグエン監督は代表監督の経験はこれが初めて。これまで、リーグ・アンのレンヌ、リヨン、パリ・サンジェルマンを率い、つねに冷静で明晰な指揮官としての評判を確立してきた。唯一国外で指揮をとったグラスゴー・レンジャーズでは、クラブとの対立もあって半年間の短命に終わった。

 リヨンでは3度のリーグ優勝を成し遂げ、チャンピオンズリーグでも2度のベスト8進出を果した。ただしこれ以外は目立った結果はなし。国内では、「当時のリヨンなら、誰が監督をやっていても勝てたはず」などとルグエン監督の手腕をそこまで高く評価しない声もある。

 カメルーン代表という個性の強い集団をまとめあげるのがむずかしいのは、今年1月のアフリカネーションズ杯の結果にも表われた。ただし準々決勝でカメルーンが敗れた相手のエジプトはその後も勝ち進み、同大会で優勝している。ルグエン監督がW杯を見据えて若手を試すことに主眼を置いたとも言われる。

 監督は前日の記者会見で、日本戦のメンバーに“サプライズ”があることを仄めかした。そのひとつはキャップ数50を超える守護神カメニ(エスパニョール)に代えて、これまでセカンドGKに甘んじてきたベテランのスレイマヌ(カイセルスポル=トルコ)を起用すること。もうひとつはチームの主軸、アレクサンドル・ソング(アーセナル)をベンチに置き、ランドリー・エングエモ(セルティック)をスタメンで起用する可能性があることだ。

 ソングのベンチスタートが、残る2試合に備えた“温存策”なのかは定かでない。ルグエン監督は「私にはとるべき選択があり、チームの戦闘力を最大限に高めるよう努める」と語っており、W杯初戦の重要性を考えると、エングエモの抜擢に、より積極的な考えが秘められている可能性もある。