キン肉マン31年目に、その集大成とも言うべき第37巻を発売する作者=ゆでたまご 嶋田隆司先生(撮影:野原誠治)

2010年1月29日(金)に迎える、日本記念日協会が制定した“キン肉マンの日”まであと僅かとなった。

“キン肉マンの日”とは、同作品の生誕29周年(ニク)で大きな盛り上がりをみせた2008年の2月29日(金)を最初の記念日とした「29日の金曜日」のこと。キン肉マンフリーク必見のメモリアルデーというわけだ。

最初の記念日では、作者&キン肉マンを愛してやまないタレント達が大挙参加をした「キン肉マン映画祭」が開催されるとチケットは即日完売。同年10月29日(金)には、すき家やなか卯でお馴染み、牛丼を中心とした外食チェーン「ゼンショー」との大々的なコラボレーションを発表、同社が手がけるCMにはキン肉マンが登場した。

また、キン肉マン生誕30周年となった昨年の5月29日(金)には、東京JCBホールでリアルイベント=「キン肉マニア2009」を開催、作者の悲願であったキン肉マンやロビンマスクといった人気超人達が本物のリングで試合を行い、随所に施された様々な演出も見事に調和し、感動的かつ伝説の一夜となった。

そして、2010年1月29日(金)

4度目の“キン肉マンの日”は、なんと集英社ジャンプ・コミックスから、元祖「キン肉マン」22年振りの最新刊として、コミックス37巻が発売されることになった。

同日には作者ゆでたまご・嶋田隆司先生&中井義則先生が初のサイン会を実施(すでに受付終了)、その他にも、人気アパレルブランド=ユナイテッドアローズ「BEAUTY&YOUTH」とキン肉マンによるコラボレーションTシャツが販売開始となるなど、今年の“キン肉マンの日”もファン必見のラインナップとなりそうだ。

そんな記念日を目前に、年初から多忙なスタートとなった嶋田先生にさっそく話を伺ってきた。アフター30周年、その先のキン肉マンとは――。

――昨年大晦日のDynamite!!は観に行かれたんですよね。

「やっぱり、美濃輪選手(ミノワマン)注目していたんですけど、今回はあのソクジュが相手でしたから、どう自分でシュミレーションしても(勝つのは)無理かなって。ただ、何が起こるか分からないので。前の2試合もそうでしたから。だから、まあ本当にドキドキしながら観てました。それがまさかのKO勝ちですから、彼らしいなと思いました」

――青木真也選手はいかがでしたか?あの悪行超人ぶりが話題というか問題になっていましたが。

「僕は好きなんですけどね。相手の腕を折りましたが、対抗戦らしいピリピリしたムードも、あの試合だけにはあったなって思いますし。ただ、アレ(試合後のパフォーマンス)さえなければ(苦笑)」

――さて、一昨年はキン肉マン生誕29周年、昨年は30周年と記念イヤーが続きました。その間、日本記念日協会から認定された「キン肉マンの日」も3度ありましたね。本連載と並行して、様々なプロジェクトに携わり、例年に比べ、多忙を極める2年間だったのではないですか?

「2008年2月29日、あの日に記念日協会さんから『キン肉マンの日』というのを作って頂きまして、最初は一年に一回くらいかなと思っていたのですが、その年から2回ありました。29周年、30周年というのも大事だったのですが、記念日に何かやらなければならないというのもプレッシャーで(笑)」

――なるほど。今年も10月29日には、5度目のキン肉マンの日がありますよね。

「最初の映画祭をやったときには、“今年中にキン肉マンをプロレスのリングに上げます”って言ったらできなくて。でも、翌年にはなんとか実現しましたけど、とにかく準備が大変ですよね」

――その頃、本誌(週刊プレイボーイ)の方では、キン肉マン×キン肉万太郎の親子対決をしており、先生は「プレッシャーが凄い」と話してくれたこともありましたよね。肉体的にも、精神的にも、限界のところで踏ん張られていたのでは?

「そうですね。ただ、親子対決はプレッシャーもありましたけど、描いていて楽しかったですよね。キン肉マンII世は本連載ですから、疲れて、倒れるぐらいアイデア搾り出してやってましたから。でも、平行して『キン肉マンの結婚式』とか『ウォーズマンビギンズ』とか、読み切りなんかもやっていたら忙しいのに不思議とリフレッシュできましたよね」

――仕事のリフレッシュを別の仕事でした?

「万太郎は本連載ですから、苦しむのは当たり前なんですけど、その合間にやった読み切りが万太郎の方にもいい感じで返ってきましたよね」

――とくに昨年はキン肉マニア2009(2009年5月29日)の開催がファンを狂喜乱舞させましたよね。改めて、キン肉マニア2009とはどんなイベントでしたか?

「あんな楽しい日はなかったですね。観に来てくれてるファンも楽しんでましたけど、それ以上に作っている私たちが底抜けに楽しかったですから」

――レスラーの方々の振り幅の広さや、投下されるアイデア一つ一つと、本当に素晴らしいイベントでした。

「佐藤大輔さん(映像クリエイター)にしても、マッスル坂井にしても、キン肉マンが好きな人たちと作り上げていった。彼らもキン肉マン世代ですし、僕も彼らをリスペクトしてましたから、そういう人たちと作れたっていうのは嬉しかったですね」

――ただ、準備期間がない中でも、妥協せず、すごいこだわりがあったと聞きました。

「期間がない中では、本当によくできたなぁって思いますよね。マスクなんて、一ヵ月前でもできてなかったですから。キン肉マンとかロビンマスク、アトランティスができてきて、チェックして良かったんですけど、他のマスクが良くなかったりしたんです。そしたら、マッスル坂井に“リングに上がったら栄えますから”って言われて、本当にリングに上がったら、すごく良くて、さすがに餅は餅屋だなって勉強になりましたよね」

――キン肉マニアには第2弾開催の噂もありますよね。実際のところはいかがでしょう。

「やりたいですね。関わったチームの人達は、またやりたいって言ってくれます。ただ、ハードルが高いですよね。あれ以上のものを生み出せるのか。一回目からあれですから。ジェームズ・キャメロンがタイタニックから、なかなか続編を撮れなかったみたいに、多分、間隔をあけるのか、すぐにできるのかは分からないですよね」

――確かに、あのイベントを超えるイベントを生み出すのは至難の業ですね。

「ファンの方にも助けられましたよね。あれだけ入ってくれて、グッズ売り場にも並んでくれて。聞いたら、前日から並んでくれた方もいらっしゃったみたいで。雨降ってたんですよね。僕はおにぎり作って配ればよかったですよ。UWFばりに」

――個人的にはミノワマンさんにちょっと嫉妬しました。羨ましいなって。でも、その信念の深さや去年の活躍をみれば「超人界105人の神も認めざるを得ない」と納得しました。

「そうですよね(笑)」

――なんでも、ミノワマンさんに超人強度を与えたと伺いました。

「40万パワーです。ミートくんが50万パワーですから、10万パワー低いんですけど(笑)」

――さて、今月1月29日(金)には4度目の「キン肉マンの日」がやってきますね。なんと、22年振りにキン肉マン最新刊=37巻が発売されると聞きました。本企画が立案された経緯というのは?

「30周年やりましたから、次は35周年が普通なんですが、せっかくキン肉マンの日を制定頂きましたので、なんかやっていこうと考えた時に、去年、相棒の中井君(中井義則先生)が、万太郎の連載中に描き溜めていたキン肉マンの(スピンオフ)原稿を時間軸通りに並べると、立派な36巻の続きになるよって言ったんですね。

で、僕も見てみたら、本当やなって思って、集英社の方に聞いたら“キン肉マンの日に出しましょうよ”って言ってくれたんです。どこから情報が漏れたのか、ネットを見ると楽しみにしてくれている読者の方も多いようですよ」

――「肉萬〜キン肉マン萬之書〜」(生誕29周年記念出版)に載ったスピンオフ作品「ウォーズマンビギンズ」をはじめ、ジャンプ40周年企画で復活したキン肉マン読み切りなど、幻のエピソードが掲載されるわけですが、今巻だけに描き下ろしたページも加わるそうですね。

「超人オリンピック・ザ・ビッグファイト決勝戦のキン肉マンとの戦いを前にしたウォーズマンが過去を回想する場面を加筆しました」

――それは、楽しみですね。例えば、ジャンプの40周年企画で復活した「キン肉マンの結婚式」も、当初はこれほどまで作りこむ予定ではなかったそうですね?

「そう。だって“ジャンプの40周年で読み切り描いて下さい。ページはお任せです”って言われたんですよ。でも、最初はキン肉マンII世やってるし、無理だなって思ったんですよ。

ただ、週刊少年ジャンプにはこだわりがありますからね。二度と執筆するチャンスはないと思ってました。でもスケジュールのことを考えると、いくら私がやる気あっても中井君がノーって言うかなと。でも、中井君もやる気満々で“今の若い漫画家と勝負しようよ”って言ってくれたんです。で、描き始めたら止まらなくなって、中井君も気合い入って・・・」