W杯欧州予選グループ7のフランス対ルーマニア戦が5日に行なわれ、1―1の引き分けに終わった。7試合を終えたフランスの勝ち点は14となり、グループ首位セルビアとの差は4ポイントに開いた。

 両者は9日に直接対決を迎えるが、フランスは勝ってもセルビアに追いつくことができないため、最低でも2位を確保してプレーオフを戦う覚悟も必要になってきた。

 この試合は、全員で守りを固めてくるルーマニアに対し、フランスが圧倒的に優位な展開を見せた。ボール支配率70%、シュート16本、うちゴール枠内に飛んだシュートが8本という数字(レキップ紙)が明確に物語っている。

 フランスのドメネク監督は試合後の会見で、「ゲームを組み立てられて、チャンスもつくった。ただ成功につながらなかった。これを不運といわず、何と呼んでいいのかわからない。これ以上何ができるというのだろう」と語り、マイナス材料については一切言及しなかった。

 しかし選手すべてが最高の力を出し切ったわけではない。元レキップ紙記者のピエール・メネス氏の試合評を見ると、オウンゴールを犯したDFエスキュデ、パスのミスを連発したMFトゥララン、得点のチャンスにあまりからめなかったFWジニャックに対する評価が厳しい。

 この3人は前回のフェロー諸島戦にも先発した。ジニャックこそ唯一の得点をあげた殊勲者だったが、エスキュデとトゥラランはこの試合でも低い評価を受けていた。グループ最下位の相手に1点しか取れずに終わったにもかかわらず、それとほぼ同じスタメン(マルダとアンリを入れ替えたのみ)でルーマニア戦に臨んだことが、「成功につながらなかった」要因と見てもよいのではなかろうか。

 同点に追いつかれたあとの選手交代にも疑問は残る。ドメネク監督は、ジニャックに代えてリベリ(57分)、グルキュフに代えてベンゼマ(73分)を投入した。ル・パリジャン紙は、これを「妥当」と評しつつも、2人目の交代が遅すぎたとしている。

 一方、メネス氏は、グルキュフでなくトゥラランをベンチに下げて、守備のリスクを冒してでも攻撃を厚くすべきだったと指摘する。また、グルキュフに代わって入ったベンゼマについては「歩きながらプレーしているように見えた。レアルの一員となった以上、メディアは厳しくチェックしてほしい。ベンゼマはスタメンを要求する前に、それに値するプレーをすべきだ」と手厳しい。

 いずれにせよ、「これ以上できること」はつねにあるのであって、「不運」の一言で片付けるのでなく、改善策を見出さなければならないのは明らかだ。監督が試合後の記者会見ですべてを包み隠さず話す必要はもちろんないが、仮にドメネク監督が語った内容が本心だとしたら、フランスがグループ2位でプレーオフに進むことすら危うくなるといっても過言ではなかろう。