アンキロサウルス「しっぽの威力」をCTスキャンで実証

写真拡大

Hadley Leggett


アンキロサウルスはしっぽでティラノサウルス・レックスを殺すことはできなかっただろうが、かかとを砕くことはできたかもしれない。イラスト:Matthew Finbow/University of Alberta

全身が装甲で覆われた恐竜アンキロサウルス[中生代白亜紀後期(約7400万〜6700万年前)の北米大陸に生息した植物食恐竜属]は、先端がハンマーのように太くなったしっぽを持ち、これを振り回して武器にしていたと推定されている。しかし現在まで、このハンマーが生物学的に現実性のある武器なのかという点を研究したものはいなかった。

カナダの研究チームがこのたび、さまざまな大きさのアンキロサウルスの尾の化石をCTスキャンで調査した。しっぽをどれぐらいの強さで打ちつけていたかを割り出すのが狙いだ。

CTのデータと3Dコンピューターモデルのプログラムを使って、研究チームは、アンキロサウルスの系統の恐竜が持つ、さまざまなサイズの尾のハンマーについて、重さや大きさ、衝撃速度を計算した。

得られた画像データを恐竜の背骨の測定値に結びつけることによって、アンキロサウルスは、しっぽを水平100度の開きの弧を描いて振ることができ、先端のハンマーは骨を砕くほどの威力を持っていただろう、と科学者たちは推定している。

「小型の場合でも、ボウリングの球をたたきつけるようなものだっただろう」と、オンラインの科学ジャーナル『Public Library of Science ONE』(PLoS ONE)に8月25日(米国時間)に掲載された論文の執筆者で、カナダのアルバータ大学で恐竜を研究するVictoria Arbour氏は語る。


最大と最小の「アンキロサウルスのハンマー」を示すVictoria Arbour氏。写真:Robin Sissons/University of Alberta

研究チームは、ハンマー状の尾は、垂直方向の動きは限られているものの水平方向には自由に振ることができたと考えている。Arbour氏は、最大サイズのハンマーは364〜718メガパスカルの衝撃応力を生むと推定している。骨を砕くのには十分すぎる強さだ。

「曲げるにせよ、切断するにせよ、骨を砕くには約100メガパスカル以上の力が必要だ」と、Arbour氏は説明する。


CTスキャンと3Dレンダリング。Image:PLOS

Arbour氏はさらに次のように述べている。「じつは、子どものアンキロサウルスにはしっぽの先端の骨塊がない。生まれたときには塊はなく、成長に従って装甲が、頭からしっぽへとゆっくりとできていく。しっぽの先端のハンマーができあがるのは、おそらく性的に成熟する時期になってからか、そうでなくても体が非常に大きくなってからだろう」

恐竜が敵にやられる危険性は赤ん坊のときがもっとも高いのだから、有効な武器になるしっぽのハンマーが大人にならないとできないというのは奇妙に思える。このことは、アンキロサウルスのしっぽの先端にできる骨塊には別の用途があることを示すものかもしれないと、Arbour氏は考えている。

「体の構造というものは機能が1つだけではない場合がよくあることを忘れてはいけない。キリンのような現在の動物を見ると、雄同士が戦うときに首や頭を打ちつけせる。私は、アンキロサウルスもこれと同じで、しっぽで雄同士が戦った可能性があると考えている」

参考論文:“Estimating Impact Forces of Tail Club Strikes by Ankylosaurid Dinosaurs.” By Victoria Megan Arbour. Public Library of Science ONE, August 25, 2009.


WIRED NEWS 原文(English)

  • X線CTで化石の内部構造を見る:画像ギャラリー2008年3月7日
  • 恐竜の心臓化石をCT検査、温血動物説の確証か2000年4月24日
  • 恐竜の化石で発見されたタンパク質:前回の疑念を払拭2009年6月3日
  • 恐竜復元図の傑作6選2009年4月23日
  • ティラノサウルスの化石標本がオークションに:落札価格は10億円?2009年8月20日
  • 羽の前身は実用より装飾? 長い尾羽のある恐竜の復元図2008年10月23日
  • 新説「ティラノサウルスは殺し屋ではなく掃除屋」2003年8月5日