23日のリーグ・アン第37節で、リヨンはカーンと対戦し3―1で勝利、今季のホーム最終戦を白星で飾るとともに、3位の座を確保して来季のチャンピオンズリーグ出場枠に食い込んだ。

 リヨンの先制点をあげたのは主将のジュニーニョ・ペルナンブカーノ(34)。相手のペナルティーエリア内でボールをキープして巧みにファウルを誘い、自ら冷静にペナルティーキックを決めた。

 2001年にリヨン入りしてから通算100ゴール(リーグ通算75ゴール)。試合当日の地元紙ル・プログレが一面に「メルシー(ありがとう)、ジュニ」と見出しを掲げるなど、試合前からジュニーニョのリヨンでの“ラストゲーム”の雰囲気が高まっていただけに、ゴールをあげてスタンド前に駆け寄ったジュニーニョに、リヨン・サポーターがなだれ込むようにして祝福した。この日ばかりは、ジェルラン・スタジアムの警備スタッフも寛容な姿勢に終始した。

 数人のサポーターにもみくちゃにされながらピッチに戻るジュニーニョに、なおもひとりのサポーターがしがみつく。リヨン退団を「ほぼ」決めているとされるジュニーニョに「残ってくれ」と懇願しているようすだった。

 79分に交代でピッチを去るときも“ジュニーニョ祭”の様相はつづいた。満場の観客がスタンディング・オベーションでリヨン7連覇の栄光を象徴するヒーローを見送った。

 試合後は今季のホーム最終戦のセレモニーとともに、ジュニーニョの100ゴールを記念するトロフィーの授与が行なわれた。トロフィーを掲げて場内を1周する姿はさながら引退試合を思わせるシーンだった。スタジアムのスピーカーからは、サポーター団のスポークスマンの「何も50のお願いをしようというわけじゃない。我々が望むのはただひとつ。あと1年リヨンに残って8つ目のタイトルを制してほしい」との声が響き渡った。

 肝心の去就についてだが、本人の口からは「流れとしては“出る”方向」という言葉が繰り返されるのみで、まだ正式な決定には至っていない。確実なのは、ジュニーニョにとって、これが“今季の最終戦”(最終節のトゥールーズ戦は出場停止)だったというだけだ。

 セレモニーのあとジュニーニョはレキップ紙に「出るのはそう簡単な話じゃない。会長や監督との話し合いが残っている。おそらく僕には正式に発表する勇気が欠けているんだと思う。まだ契約の最後の1年を満了するチャンスは、ごくわずかだがある」と語った。まるでサポーターに別れを告げたような“セレモニー”についても、「悔いを残さないようにこの機会を利用しただけ」と話しており、他のクラブから満足のいくオファーがない場合に、“逆転残留”という選択肢を残していることをうかがわせる。