シルク・スペクター
 1952年に初開催され、現在では世界80カ国以上の代表が参加する美の祭典、ミス・ユニバース。2006年の世界大会では知花くららが第2位に選ばれ、そして翌年のミス・ユニバース2007で森理世が世界の頂点に立ったことは記憶に新しい。

 歴史上、“世界三大美人”と称されるクレオパトラ、楊貴妃、ヘレネ(日本では小野小町とも言われる)。クレオパトラは古代エジプト時代にローマの独裁官ジュリアス・シーザーをその美貌で魅了し、“傾国の美女”と呼ばれた楊貴妃は中国の玄宗皇帝に寵愛され過ぎたために安史の乱を、ギリシア神話に登場するヘレネは“トロイの木馬”で知られるトロイ戦争を引き起こした原因とされている。「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら歴史が変わっていた」という言葉はあまりにも有名だが、いつの時代も世界はミステリアスな絶世の美女に振り回されてきたと言えるだろう。

 それは、ジョン・F・ケネディ暗殺事件、ベトナム戦争、キューバ危機等、数々の実在事件が描かれる映画「ウォッチメン」(3月28日より丸の内ルーブル他で全国公開)の中でも同じだ。かつて、世界を揺るがした歴史的事件の陰に暗躍していた“ウォッチメン”と呼ばれるヒーローたち。ロングヘアーでタイトなボディスーツに身を包む紅一点のヒーロー“シルク・スペクター”は、その美貌はアメリカ市民のみならず、同じヒーローである“ウォッチメン”までをも魅了していた。

「ヒーロー教育をした母に青春を奪われた」と語り、ヒーロー行為を禁止するキーン条例後すぐに引退したものの、当時の行為を楽しげに語る様子から、そのスリルをゲーム的に楽しんでいた節も感じさせる“シルク・スペクター”。そんな人間くさい彼女は引退後、政府のために働くヒーロー“DR.マンハッタン”の恋人として暮らすようになる。米ソ核問題の鍵を握ると噂される超人的なヒーローであり、徐々に人間性を失っていく“DR.マンハッタン”に「地球上で、私の関心の対象は、君だけだった」と言わしめた彼女。実は彼女が世界の運命を握っていたといってもおかしくない。

そんな、世界の動向の鍵を握る “ウォッチメン” の一人が暗殺されたことから本作のすべての謎が始まる。殺害現場に残された血のついたスマイルバッジ。その事件をかぎ回りはじめた“顔のない謎の男”。事件を追いかける先々で、なぜか次々とかつてのヒーローが消されていく。なぜ、彼らが狙われるのか? やがて、歴史的事件に関わってきた“ウォッチメン”の隠された真実が明らかになるにつれて、想像を絶する巨大な陰謀が動き始める…。

「ウォッチメン」特集 - livedoor
映画『ウォッチメン』オフィシャル・サイト