■降雪地の現状を考えるとデメリットが多い
 これら試合、練習施設について犬飼会長は、11月9日に札幌市内のホテルで行なわれた「9地域訪問会議」後、totoの収入を優先的に寒冷地の施設充実に投入する意向があること、そして芝生養生の問題も考え、必要であれば人工芝での公式戦開催を認める姿勢も持っていることを示唆した。
 
 そこで触れたいのが、冒頭で記した降雪地での生活のハードさだ。北海道の冬場は雪が多くなると鉄道に遅れが出ることも頻繁で、道に積もった雪の影響で2車線の道路がほぼ1車線になる場所も少なくなく、渋滞も突如として増える。
 さらに筆者が生まれた地域では雪が積もると各家庭、家族総出で大きなソリに雪を積み、近所にある川まで捨てに行くという除雪作業を繰り返す。僅かな休日を除雪に割かれてしまうという人も多いだろう。そして翌朝目が覚めるとまた、前日以上に雪が積もっていたりするのだ。
 
 こうした状況でサッカー観戦に時間や力を割くというのは、なかなか大変だ。ヒマだったらサッカーを観に行ってもいいかな、という程度のファンが試合観戦を取りやめるというのならばまだいい。だが、試合はすごく観たいけど、雪の影響で物理的に行けないというファンを生んでしまったならば、それは非常に残念なことである。
 前出の矢萩社長も「コンサドーレは北海道全域に根付くことを目標としているクラブ。現在でも道内の遠くから試合に通ってくださるファンの方もいる。そういう方々の観戦が厳しくなるような状況には絶対にしたくない」と話す。
 
 前述したように、スケジュールを欧州に合わせることによるメリットは確かにある。だが、降雪地帯に住む人間の感覚としては、どうしても1月、2月にホームゲームを観に行くことに対してリアルな感覚を持てない。デメリットの方が大きいのでは、というのが正直な感想だ。
 
 ただし、筆者としては犬飼会長の次のコメントに着目したい。
「2010年というタイミングにはこだわっていない。こういうことは目標時期を設定しなければ、動かない」
 確かにそうだ。犬飼会長が就任し、「2010年から秋春制」というプランが出されてからは、多くの関係者が大きなテーマとして受け止めた。これがもし「近い将来に」という抽象的なプランだったならば、ひとまずは受け流されたかもしれない。こだわらないながらも、「2010」という具体的な数字が打ち出されたからこそ、多くの人がより具体的に議論を交わすようになったのだと思う。
 多くの人がサッカーの強化や環境などについて真剣に考えたというだけでも、とりあえずは「秋春制移行」のプランに意義があったと言っていいだろう。(了)
 
斉藤宏則(さいとう ひろのり)
1978年北海道生まれ。北海道札幌市を拠点に取材活動を行なうスポーツライター。ワールドカップ、五輪、大陸選手権などの国際大会も精力的に取材している。