13日のウディネーゼ戦で、ローマの主将トッティがリッツォーリ主審に暴言を吐き、イエローカードを受け、1000ユーロの罰金を科された。問題の場面で、トッティは同主審に詰めより「Vaffanculo!(=イタリア語でFuck you)」と3度くり返している。試合後トッティは過ちを認めたが、この場合主審の判定も間違っていた。トッティは退場処分とならなければならなかった。これは筆者の見解ではない。

 セリエAのプレー規約17条によれば、『審判を攻撃かつ侮辱、冒涜する行為もしくは発言をした選手は、退場処分とならなければならない』とされている。トッティが暴言を3度も吐いたのは、公式戦という公の場である。件の言葉は、現地メディアでは書くことも言うことも自粛されるほど社会的に汚い言葉とされている。友人同士の他愛ない会話や街角の喧嘩とはわけがちがう。トッティが犯した罪は、イエローカード+罰金1000ユーロ程度では“甘すぎる”というわけだ。

 ここで一つの疑問がわく。トッティは、審判が判定に手心を加えたくなるほど偉大な選手たりえるのか?という疑問だ。
 アンタッチャブル。そういう選手は歴史上何人か存在している。かつて、オフサイドトラップのラインコントロールに失敗したが、さも成功したかのように欺こうとしたミランの主将バレージや、「あなたが裁く試合ではいつも負ける」と言い放ったもののイエローだけで済んだユベントス時代のプラティニがそうだ。いずれにしても、遠い昔の牧歌的な話だ。

 トッティは卑しくも“主将”である。チームの自制心を保つ義務がある。彼の才能とプレー能力に疑いはない。だがキャプテンとしての器を考えた場合、もっと評価されるべき主将たちは弱小チームにもたくさんいる。プレイヤーにとってピッチは最大の公の場である。そこでのふるまいを考えられない者は主将失格だ。

 またローマは、欧州の真のビッグクラブと比較した場合、これといった実績があるわけでもなく潤沢な資金があるわけでもないのに、内外に対して居丈高にふるまう“小山の大将”の顔を持っている。偉ぶるのなら、責任は果たさなければならない。だから、なおのこと今回の処分は甘すぎる。誤審問題の一つともいえる今回の一件だが、非は完全にトッティにある。
 ちなみにそのキャリアにおいて、トッティはこれまでに13回の退場処分と117回の警告を受けている。出場停止処分で欠場した試合数は28試合にのぼる。“長いキャリアを送っていればそんなこともあるさ”? 28試合とは、ほぼリーグ戦1シーズンに値する数字である。

フランチェスコ・トッティフランチェスコ・トッティ(Francesco Totti)


生年月日:1976/09/27
所属   :ローマ
国籍   :イタリア
ポジション:FW