パレルモ会長マウリツィオ・ザンパリーニ(66)の辞書に「辛抱」とか「忍耐」という類の言葉はないにちがいない。短気かつ敵を作ることを怖れないキャラクター。ビッグクラブを敵に回しても歯に衣着せない。求心力と政治力で“俺がボスだ”的ムードを撒き散らし、監督には一切の容赦も慈悲もない。

 20年も前、セリエC2(4部)のヴェネツィアで会長の椅子に座り、6年前からはシチリア州都クラブの盟主となった。その間自分のチームに呼んだ監督の数は計33人、うち26人を解雇してきた。彼の下でフルシーズンを戦うことを許された指揮官はたった6人しかいない。

 最悪だったのは1994-95年シーズンだ。5回も監督の首を飛ばした。今をときめくスパレッティ(現ローマ)も、1999-2000年のヴェネツィア時代に開幕から9試合指揮していったんクビになり、12節に呼び戻されたが、9試合やったらまた解雇された。今でこそ名将の呼び名も高いプランデッリ(現フィオレンティーナ)ですら、2001-02年に開幕から6試合かぎりで解雇されている。
出戻りも多い。パレルモの現監督グイドリンは4回目だ。

 せめて適切な助言ができるお目付け役なりアドバイザーなりがいればいいのだが、パレルモGMもまた同じ性格を持つ“活火山”で、手がつけられない。

 日曜にユーべを撃破し、ザンパリーニの鼻息はますます荒くなっただろう。ボスを止められる者はいないのだ。