「大学受験の準備は、高3になってから本格的に始めればいい」。そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし推薦入試では、高1・高2の成績だけでなく、それまでに重ねてきた経験も評価材料になります。では、いつから何を意識すればいいのでしょうか。

『総合型選抜・学校推薦型選抜の新しい教科書』(孫辰洋 著、中山芳一 監修/SBクリエイティブ)から抜粋して紹介します。

○推薦入試対策は、いつから始めればいい?

「推薦入試を受けるとしても、高3になってから本格的に考えればいいのでは?」

こう思っている人は、かなり多いと思います。

実際、一般入試の感覚で考えると、その気持ちはよくわかります。受験勉強は高3で本格化するもの、というイメージが強いからです。しかし、推薦入試に関して言えば、この考え方はかなり危険です。

もちろん、ここで誤解してほしくないのは、「高3からではもう無理です」と言いたいわけではない、ということです。高3からでもできることはありますし、逆転合格の例もたくさんあります。

ただし、「高3から始めれば十分」と言い切ることはできません。なぜなら、推薦入試では高1・高2の積み重ねそのものが評価材料になるからです。

その理由の1つが、まず評定平均です。

学校推薦型選抜では、出願条件として評定平均が設定されている場合が多いのです。

そしてこの評定平均は、当然ですが、高3だけで突然つくれるものではありません。

秋の出願時点で使えるのは、多くの場合、高1・高2の年間成績と、高3の1学期までの成績です。つまり、受験直前に少し頑張っただけでは、条件そのものを満たせない場合があるのです。

けっして「評定が高いと有利」という単純な話ではありません。評定が高いことで、そもそも受けられる大学・学部の選択肢が増える、ということです。逆に言えば、高1・高2の段階で定期テストや提出物を軽く見てしまうと、後になって「受けたいのに出願できない」という事態が起こりえます。

しかし、推薦入試が高3からでは遅くなりやすい理由は、評定だけではありません。

「なぜ、この大学に行きたいのか?」

「なぜ、この学部で学びたいのか?」

「将来どういうことをしたいのか?」

推薦入試では、このような問いに答える必要があるのです。

ここで考えてみてください。

高3の夏に「よし、推薦を受けよう」と思い立ったとして、その時点で急に新しい経験を大量に積むことはできるでしょうか。ボランティアも、探究活動も、資格取得も、読書も、調べ学習も、短期間でゼロから厚みを出すのは簡単ではありません。

もちろん、高3から新しく始めることにも意味はあります。

しかし、推薦入試に強い人は、高1・高2の頃からの経験が少しずつ積み重なっていて、その流れの中で「自分はこういうことに関心がある」と語れる人です。つまり、選考で見られているのは、高3という"瞬間"だけではなく、そこに至るまでの時間なのです。

ですから、高1・高2の人に伝えたいのは、「今やっていることは、全部あとでつながる」ということです。部活でも、委員会でも、読んだ本でも、日々見ているニュースでも、友達との議論でも、それらはすべて、将来の志望理由書の素材になりえます。

高3の人に伝えたいのは、「今からでも整理はできる」ということです。新しい経験をたくさん積み足す時間がなくても、これまでの経験を丁寧に振り返り、意味づけし直すことはできます。推薦入試では、経験の量だけではなく、その経験をどう理解しているかも問われるからです。



○『総合型選抜・学校推薦型選抜の新しい教科書』(孫辰洋 (著), 中山 芳一 (監修)/SBクリエイティブ)

近年、大学入試において、推薦合格者の割合が半数を超えています。しかも、今後、推薦合格者の割合は7割になるともいわれています。そこで本書では、大学の推薦入試(総合型選抜もしくは学校推薦型選抜)を検討している高校生を対象に、推薦合格者5000人分のデータを分析して導き出した推薦合格のためのロードマップを解説します。「自己理解」「社会読解」「自己展開」の3つを軸にしながら、人生年表の作成や100の自問自答ワークを通して推薦入試で求められる力を養い、志望理由書・小論文・面接の各対策につなげます。