北海道在住、新たな警察小説の書き手が大藪春彦賞など三冠達成後に放つ注目作

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 ついに読書の秋が到来! あなたの充実した読書ライフを彩ってくれる、素敵な新刊を紹介いたします。

『誰何』伏尾美紀/光文社/2090円

 都内で孤独死した老女。元道警で、今は児童相談所の臨時職員である新内は、警視庁の刑事の来訪を受ける。一方、新内の後輩砂本は、轢き逃げ事件と石狩放水路に遺棄された遺体との関連を捜査する。二つに共通するのは新内には渡した記憶がない現役時代の名刺。どう繋がる? 架空の県警ではなく実在の道警や警視庁を出し"働く女性達の今"をも映し出すのが著者の強みだ。

『タコ セロリ アボカド』長谷川あかり/文藝春秋/1760円

 子役時代を過ぎオーディションに苦労し始めた思春期に出会ったレシピ本。作ったものを振る舞うと「必要とされる」喜びがあった。栄養学を学んで料理家になった著者の好感度高い初エッセイ。SNSでバズった酒蒸しハンバーグ誕生の背景に夫の示唆的アドバイスがあったとは。翌朝のお好み焼きやパスタなど「ひんやりした小麦粉料理はまずくておいしい」に笑って深く頷く。

『ゆっくり急げ Festina Lente』ヤマザキマリ/中公新書ラクレ/1034円

 連載エッセイの書籍化。副題のラテン語格言「フェスティーナ・レンテ」は日本語の「急がば回れ」。ヤマザキマリ氏の軌跡については十分読んできたつもりなのに、波瀾万丈の思いを新たにする。17歳での渡伊、詩人との同棲や出産、漫画家への転身、14歳下のイタリア人学者との結婚、『テルマエ・ロマエ』の大ヒット、母との別れ、息子の成長。また隅々まで味読してしまった。

『ウバステ』真梨幸子/小学館文庫/935円

 近所の高級老人ホームの入居者から聞いた話をヒントに書き上げた「ウバステ」が大ヒットした作家の世津子。ドラマ化された時の脚本家やプロデューサー、女優らと長年食事会を続ける中、仲間に異変が起こる。離婚、年金、相続、認知症、成年後見制度、終活、遺言書など、おひとり様にまつわる問題がテンコ盛り。生とは死に向かって歩む道。そんな言葉の重みを噛みしめる。

文/温水ゆかり

※女性セブン2026年10月15日号