サカナAIの伊藤錬社長(C)共同通信社

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【経済ニュースの核心】

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 住友商事と人工知能(AI)開発の「サカナAI」が提携し、国産生成AIの導入支援を始める。

 住商と、子会社でシステム開発を手掛けるSCSK、AI導入支援の実績を持つサカナAIの3社が業務提携し、「住商グループの10万社の顧客網を生かし、大企業から中小企業までAI導入を支援する」(関係者)という内容だ。

 サカナAIが、AIモデルの開発・設計、アプリケーションの開発を手掛け、SCSKが顧客企業のデータ整備や既存システムとの統合を担う。住商は国内外の顧客紹介のほか、自社事業として街づくりなどの社会インフラ事業へのAI活用を目指すという。

 サカナAIは、2023年7月に設立された。創業から1年以内に企業価値が10億ドルを超えた、日本史上最速のユニコーン企業として注目されている。社名の「サカナ」は「魚」を意味しており、魚の群れなど自然界の生物に着想を得た人工知能を開発したい、との思いが込められている。

「小さな魚が集まって一匹の大魚のように泳ぐ物語『スイミー』に似た発想の新技術」とされる。

 創業者は、香港生まれカナダ育ちのデイビッド・ハ氏だ。

「トロント大学で工学科学および応用数学の学士号および修士号を取得し、Google Brainに研究員として所属していた。研究対象は、表現学習、人工的な創造性、進化的コンピューティング。Google入社以前は、ゴールドマン・サックスでマネージングディレクターとして勤務し、日本での債券取引ビジネスに携わっていた」(金融関係者)という。

 このハ氏と同じGoogle出身のライオン・オーウェン・ジョーンズ氏に、元外務官僚の伊藤錬氏が共同出資で設立した。

ライバル商社も気が気ではない?

 すでにサカナAIは、日本を代表する多数の大企業とAI分野で協働している。三菱UFJフィナンシャル・グループとタッグで開発する「AI融資エキスパート」は、その代表格で、顧客の資金ニーズの確認段階から案件相談、稟議書作成までをAIが支援するシステムだ。

 また、三井住友フィナンシャルグループとは、法人顧客向け提案書の作成へのAI導入で協働している。

 さらに、政府のAI戦略にも関与している。今年3月には、防衛装備庁の防衛イノベーション科学技術研究所と委託研究契約を締結した。陸・海・空のドローンなどから得られる膨大なデータを、複数のAIを組み合わせて高速処理・情報統合する技術を用い、指揮統制システム(C2システム)を高度化する実証実験を開始している。

「これまで、サカナAIの導入企業は金融機関などが中心だった。そこに住商が中小企業へのAI普及という新たな協業で入ってきた。他の商社も気が気でないだろう」(メガバンク幹部)とみられている。

 サカナAIには、筆頭株主のNTTほか、NECや富士通、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ、SBIグループ、第一生命、日本生命、野村ホールディングス、ソニーグループ、KDDI、ANAなど錚々たる企業が出資者となっている。

 これら出資企業はサカナAIの将来性を高く評価しており、住友商事のような新たな協業が期待される。とくに「伊藤忠商事はサカナAIに出資しており、自社の強みを生かした協働プロジェクトを仕掛けてくるんじゃないだろうか」(市場関係者)と、はやくも住友商事の次が取りざたされ始めている。

(森岡英樹/経済ジャーナリスト)