OTC類似薬保険外しに反対署名11万筆超 「負担増1.6倍」に患者悲鳴も国は塩対応
誰も得しない天下の愚策が導入されようとしている。政府が来年3月からの実施を目指す「OTC類似薬の一部保険適用除外」だ。高市政権は「現役世代の保険料負担軽減のため」という決まり文句で正当化しているが、負担軽減効果は年400円ぽっち。むしろ窓口負担増は必至だ。導入反対を掲げる全国保険医団体連合会が17日、参院議員会館で開いた会見に日刊ゲンダイは足を運んだ。
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「『この人は配慮するが、この人は配慮しない』という発想は医療倫理としてあり得ない」「配慮ではなく排除だ」──。保団連政策部長の中村洋一医師は、厚労省保険局医療課の担当者に、そんな厳しい言葉をぶつけた。中村医師が憤ったのは、OTC類似薬の保険外しに伴い厚労省が検討している「配慮」の線引きだ。
政府は来年3月から77成分1042品目を対象に、薬剤費の4分の1を「特別料金」として患者に追加負担を求める方針。がん・難病患者や子どもなどに「特別料金」を課さないことを「配慮措置」と恩着せがましく言っているのだが、配慮とは名ばかりに過ぎない。
内服薬の場合、年間50週以上処方される患者が配慮対象になる。その割合は患者全体の5%に過ぎず、95%は配慮の網から漏れる。配慮対象のはずの低所得者はいつの間にか「生活保護受給者」に限定され、住民税非課税世帯で区切る考え方は除外された。ゆえに「配慮ではなく排除」(中村医師)なのだ。
湿布や塗り薬などの外用薬は基本的に、アトピー患者が長期使用している保湿剤を除いて追加負担の対象となる。腰痛などの慢性的な痛みを抱えていたとしても、配慮の対象外。関節リウマチを抱えながら建築タイル工事業を営む渡辺義久氏(東京土建一般労組中央副執行委員長)は「湿布薬(ロキソニンテープ)は仕事を続け、生活を維持するために必要な薬」と訴え、こう続けた。
「負担増1.6倍」「仕事困難」
「ロキソニンテープ1袋7枚入りの窓口負担は3割負担の患者で38円ほど。それが(OTC類似薬の保険外しで)60円となり、自己負担は約1.6倍になります。私の場合、リウマチの治療薬や疼痛を抑える薬など、さまざまな薬が処方され、年間の医療費は(足元で)40万円から50万円に上る。今でさえ軽くない負担に、さらに新たな負担を加えないでいただきたい」
介護福祉士の70代女性も、脊柱管狭窄症や両足首の変形性関節症を抱えながら社会福祉施設の非常勤職員として働いているといい、「痛み止めを飲まないで仕事するのは困難」「ケア労働者として痛み止めは今まで通り保険適用を続けて欲しい」と強調。運輸関係の組合員は「腰痛が悪化して運転姿勢を保てない状態や強い頭痛を我慢しながらの長時間運転は安全運行に直結するリスク。医師の診断の下で適切な薬を適切なタイミングで使えるようにしておくことは単なる個人の健康問題ではなく、公共の安全性の観点からも極めて重要だと考えます」と主張した。
建設や介護、運送などの社会インフラに欠かせない労働者らの切実な声に、厚労省の担当者は時折、うなずきながら話を聞いていた。しかし、なぜ配慮対象を絞るのかとの問いには「線引きの妥当性は今後も検証する」と繰り返し、追加負担を引き上げる可能性についても「施行してから見ていく」と官僚答弁に終始。負担増に不安を訴える当事者と、来年3月の制度実施を前提とする厚労省との温度差は歴然だった。
この日、保団連が提出した署名は約11万筆超。厚労省の担当者は「引き続きこうした情報を提供いただけると、とてもありがたい」と言うが、高市政権は追加負担の対象薬剤の拡大と料金引き上げを既定路線に据えている。政府・与党に現場の声を真剣に聞く気があるのか。今後の対応が焦点だ。
(高月太樹/日刊ゲンダイ)
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高市首相は「OTC類似薬の一部保険除外」は現役世代の負担軽減になると自身のXで強調しているが、保険外しによる負担増は働き盛りの世代にモロ直撃だ。関連記事【もっと読む】鼻炎の経済損失は年10兆円! OTC類似薬「保険外し」が現役世代を直撃する…花粉症患者は月1500円の負担増は必読だ。
