高市政権1年 対中強硬論の先には悲劇しかない【小沢一郎が吠える!】#4
【小沢一郎が吠える!】#4
やっぱりか? 自民・村井国対委員長が高市首相「国会逃避作戦」画策…予算委出席「原則不要」案をリポスト
初の女性総理ということで国民の関心も高く、その勢いで1年やってきた。だが、いくつも懸念材料がある。中でも深刻なのは日中問題だ。中国側の態度は変わらず非常に硬い。政治的な問題以上に経済的な悪影響が出てきている。典型的なのがレアアースで、今月中にも在庫がなくなるというし、中国以外から買うといってもコストが高い。
米国が招いた中東の石油危機も深刻だ。高市首相は中国との関係悪化もあり、トランプ大統領にすり寄っているが、その米国がイランを攻撃した。戦争が長引き、原油の先物価格は再び1バレル=100ドルを超えてきた。ホルムズ海峡を経由しない代替調達ルートも使えなくなれば、さらに原油価格は高騰する恐れがある。高市政権は節約を呼びかけていないから、備蓄を放出したり、補助金を出したりしてこれまで通りの消費を促している。ここからさらに補助金を出し続けるのか。備蓄だってなくなる。どうするのか。
さらにイラン問題では今後、トランプから「派兵」を迫られる可能性がある。最近、韓国軍がホルムズ海峡への派兵を検討していることが明らかになった。既に先遣部隊が現地調査に行っているし、韓国の派兵はいずれ実行されるのではないか。韓国には北朝鮮の現実的な脅威があるから、米国から「3万9000人の在韓米軍で守ってやっているんだ」と脅されると従わざるを得ない。石油危機に端を発した経済面での問題だけでなく、政治的、軍事的にも米国の圧力に屈せざるを得なくなるわけだ。
■トランプから「派兵」の圧力、韓国の次は日本だ
そうすると、次は日本だよ。韓国は派兵するのに、日本はなぜ出さない、となりかねない。トランプから迫られたら、高市首相は「存立危機事態」を宣言して自衛隊をホルムズ海峡に派兵するのか。トランプのイラン戦争は国連の平和維持活動などではなく、勝手に始めた戦争だ。憲法上も法律上も、海外派兵は筋が通らない。それでも政府は押し切るのか。無謀で危険な道だ。これを国民は許すのかどうかが問われることになる。
高市内閣の支持率は依然高い。本人は対中強硬路線が受けていると思っているため強硬論を取り続けるだろうが、そうした対中意識は日本人の心の中にあるアジア蔑視からきている。非常に良くないことなんだ。白人にはペコペコしてトランプに抱きつく一方で、自分たちと同じアジアの隣国には人種差別的。習近平国家主席や共産主義の是非とは別次元でね。こうした差別意識を直さないと、日本人はこの先、生存できなくなる。アジアの人々に腹の中で軽蔑されているよ。
強硬論の先には悲劇しかない。自分自身の生活が困窮するだけだということを国民が分かるのかどうか。今は国民も惑わされているけれど、結末は酷い目に遭う。覚悟した方がいい。高市首相を支持するということはそういうことだ。
(小沢一郎/前衆議院議員 取材・構成=小塚かおる/日刊ゲンダイ)
