400食に長蛇の列! 気仙沼「戻りかつお祭り」で旬の“藁焼きカツオ”を食べてみた‐水揚げ日本一へ返り咲けるか?
タタキや刺身などで親しまれる赤身魚、カツオ。鰹節をはじめ、日本の食文化とも深く結びついた魚だ。その生鮮カツオの水揚げで、長年日本一を誇ってきたのが三陸の港町、宮城県気仙沼市だ。

“カツオのまち”気仙沼では、刺身やタタキなど多彩なカツオ料理が楽しめる
気仙沼港は2024年まで28年連続で、生鮮カツオの水揚げ量日本一を記録。2025年は不漁により首位を逃したが、2026年は6月26日時点で再び水揚げ量トップに立った。そんな「カツオのまち」で9月19日、「戻りかつお祭り」が開催された。

戻りかつお祭りで供された「藁焼きカツオ」
当日は限定400食の『藁焼きカツオ』を求めて、長蛇の列ができるほどの大盛況。会場で、阿部長商店の生田目さんにお話を聞きながら、気仙沼のカツオ文化とその魅力に触れた。
○350年の歴史あるカツオ漁、水揚げ量は日本2位の4倍!
気仙沼のカツオ漁は、江戸時代の1675年(延宝3年)に始まったとされる。長い歴史の中で一本釣り漁が根付き、現在では鮮度管理や加工、物流まで、街全体でカツオ漁を支えている。

気仙沼港の漁船
2025年の不漁を経て、2026年は6月26日時点で水揚げ量日本一に返り咲いた。9月時点では2万4,000トンを超え、好調な水揚げが続いている。そんな気仙沼のカツオをPRするのが、「戻りかつお祭り」だ。
○豪快な「藁焼きカツオ」に舌鼓!

気仙沼「海の市」
イベント会場は、気仙沼漁港近くの商業施設「気仙沼『海の市』」西側駐車場。開始直後の午前10時頃には、すでに多くの来場客で大混雑。カツオを求める行列は駐車場から屋外階段をつたい、施設の2階まで長く伸びていた。

カツオを求めて多くの人々が訪れた

屋外階段を使って長く伸びる行列
「『戻りかつお祭り』は今回が2回目で、前回はカツオの藁焼きを300食提供しました。好評だったため、今回は400食に増やしています。行列が会場施設の2階まで伸びたのは初めてですね。メディアでも取り上げられ、イベントの認知が広がってきた手応えがあります」(生田目さん)

焼き台へカツオのサクをかざす前の様子
行列の先では、ドラム缶のような焼き台に藁が詰められ、炎が燃え盛る。新鮮なカツオのサクが網に乗せられ、スタッフが炎にかざして豪快に焼き上げていく。カツオに火が通り、表面がほんのり焼き上がっていく様子に食欲をかきたてられる。来場客が自ら棒を持って、この豪快な調理を体験する場面もあった。

藁の炎によってカツオが美味しそうに色づいていく

藁焼きの体験も
「これは高知県発祥の焼き方です。高知や勝浦などカツオの名産地が集う『全国カツオまつりサミット』の第1回目が気仙沼で開催された時に、高知県の方々から教わった藁焼きを再現しています。こうしたカツオに関する食文化がもっと広まると嬉しいですね」(生田目さん)

大量のカツオが次から次へと手渡されていく

カウンター裏ではスタッフが調理に大忙しだ
藁焼きカツオはスタッフの手で一口サイズに切られ、薬味やポン酢とともに小皿に盛り付けられて、お振舞いのカウンターへ並べられる。大量のカツオが次々と来場者へ手渡されていき、多くの人々が立ちながら、あるいは縁石などに座って旬のカツオを頬張っていた。


噛みしめるとカツオの旨味があふれだす!
筆者も出来たての藁焼きカツオをいただいた。肉厚にカットされた身は鮮やかなワインレッド。口に運ぶと藁焼きならではの香ばしさとカツオの濃いうま味が広がり、もちもちとした弾力のある食感にも驚かされた。水揚げ港・気仙沼まで足を運んだ甲斐があったと思える味わいだ。
○「戻りかつお祭り」来年はさらに広がる? 他会場との連動も検討
会場ではほかにもさまざまな催しが行われ、藁焼きカツオの配布完了後も、客足はしばらく続いていた。

磯草虎舞保存会が太鼓を奏でる
開会時には地域文化を伝承する団体・磯草虎舞(とらまい)保存会が、勇壮な太鼓とともに虎舞を披露。カツオ漁船の出入船儀式として100年以上の歴史を持つ伝統芸能であり、2011年3月の東日本大震災では道具類や拠点(磯草会館)を喪失するも、住民の努力により復活を遂げたものだ。

両手に扇子を持った子どもの先導で練り歩く虎舞

気仙沼を拠点とする高校生シンガー・結春(ゆうは)さんの歌謡ショー

気仙沼PRキャラクター「海の子 ホヤぼーや」と、気仙沼住みます芸人こと「けせんぬまペイ!」さんのじゃんけん大会
このほか筆者が注目したのは、カツオの一本釣り体験コーナー。一見するとよくある子供向けの出し物だが、生田目さんいわく、使用している竿は実際のカツオ一本釣り漁と全く同じもの。竿の先に釣ってあるものも、カツオのぬいぐるみだけでなく、本物のカツオのサイズと重量(2~3kg)を再現したものが混ざっているのだ。

カツオ一本釣り体験
「カツオ一本釣り竿の針には『かえし(逆棘)』がありません。カツオが針に食いついた瞬間に竿を引いて、遠心力だけで一気に船上へ釣り上げた後は、ブライン凍結(冷却した不凍液による瞬間凍結技術)などで、鮮度を保ったまま気仙沼港へ運びます。カツオの一本釣りは『カツオにも自然にも優しい漁』と言われていますし、こうした催し物からも港町・気仙沼の水産業を身近に感じてほしいです」(生田目さん)
来年以降の「戻りかつお祭り」は別会場との連動企画や、他のカツオ関連業者にも協力を仰ぎ、さらにスケールアップを検討しているとのこと。藁焼きの炎と長い行列を目の当たりにすると、気仙沼にとってカツオが単なる「名物」ではなく、街ぐるみで育ててきた文化であることがよく分かる。
「9月の気仙沼で戻りカツオを食べる」。そんな旅の目的が、もっと広く知られていきそうだ。

デヤブロウ 東京都在住のフリーライター兼イラストレーター。長年の趣味である東京都内の散策好きが高じ、都内のグルメ・観光・住環境など地域情報記事を主に執筆するほか、人物や企業のインタビュー取材記事や生活ハウツー系記事でも活動中。「東京シティガイド検定」取得済。街歩き後の銭湯&居酒屋巡りが大好き。 この著者の記事一覧はこちら

気仙沼港は2024年まで28年連続で、生鮮カツオの水揚げ量日本一を記録。2025年は不漁により首位を逃したが、2026年は6月26日時点で再び水揚げ量トップに立った。そんな「カツオのまち」で9月19日、「戻りかつお祭り」が開催された。

当日は限定400食の『藁焼きカツオ』を求めて、長蛇の列ができるほどの大盛況。会場で、阿部長商店の生田目さんにお話を聞きながら、気仙沼のカツオ文化とその魅力に触れた。
○350年の歴史あるカツオ漁、水揚げ量は日本2位の4倍!
気仙沼のカツオ漁は、江戸時代の1675年(延宝3年)に始まったとされる。長い歴史の中で一本釣り漁が根付き、現在では鮮度管理や加工、物流まで、街全体でカツオ漁を支えている。

2025年の不漁を経て、2026年は6月26日時点で水揚げ量日本一に返り咲いた。9月時点では2万4,000トンを超え、好調な水揚げが続いている。そんな気仙沼のカツオをPRするのが、「戻りかつお祭り」だ。
○豪快な「藁焼きカツオ」に舌鼓!

イベント会場は、気仙沼漁港近くの商業施設「気仙沼『海の市』」西側駐車場。開始直後の午前10時頃には、すでに多くの来場客で大混雑。カツオを求める行列は駐車場から屋外階段をつたい、施設の2階まで長く伸びていた。


「『戻りかつお祭り』は今回が2回目で、前回はカツオの藁焼きを300食提供しました。好評だったため、今回は400食に増やしています。行列が会場施設の2階まで伸びたのは初めてですね。メディアでも取り上げられ、イベントの認知が広がってきた手応えがあります」(生田目さん)

行列の先では、ドラム缶のような焼き台に藁が詰められ、炎が燃え盛る。新鮮なカツオのサクが網に乗せられ、スタッフが炎にかざして豪快に焼き上げていく。カツオに火が通り、表面がほんのり焼き上がっていく様子に食欲をかきたてられる。来場客が自ら棒を持って、この豪快な調理を体験する場面もあった。


「これは高知県発祥の焼き方です。高知や勝浦などカツオの名産地が集う『全国カツオまつりサミット』の第1回目が気仙沼で開催された時に、高知県の方々から教わった藁焼きを再現しています。こうしたカツオに関する食文化がもっと広まると嬉しいですね」(生田目さん)


藁焼きカツオはスタッフの手で一口サイズに切られ、薬味やポン酢とともに小皿に盛り付けられて、お振舞いのカウンターへ並べられる。大量のカツオが次々と来場者へ手渡されていき、多くの人々が立ちながら、あるいは縁石などに座って旬のカツオを頬張っていた。


筆者も出来たての藁焼きカツオをいただいた。肉厚にカットされた身は鮮やかなワインレッド。口に運ぶと藁焼きならではの香ばしさとカツオの濃いうま味が広がり、もちもちとした弾力のある食感にも驚かされた。水揚げ港・気仙沼まで足を運んだ甲斐があったと思える味わいだ。
○「戻りかつお祭り」来年はさらに広がる? 他会場との連動も検討
会場ではほかにもさまざまな催しが行われ、藁焼きカツオの配布完了後も、客足はしばらく続いていた。

開会時には地域文化を伝承する団体・磯草虎舞(とらまい)保存会が、勇壮な太鼓とともに虎舞を披露。カツオ漁船の出入船儀式として100年以上の歴史を持つ伝統芸能であり、2011年3月の東日本大震災では道具類や拠点(磯草会館)を喪失するも、住民の努力により復活を遂げたものだ。



このほか筆者が注目したのは、カツオの一本釣り体験コーナー。一見するとよくある子供向けの出し物だが、生田目さんいわく、使用している竿は実際のカツオ一本釣り漁と全く同じもの。竿の先に釣ってあるものも、カツオのぬいぐるみだけでなく、本物のカツオのサイズと重量(2~3kg)を再現したものが混ざっているのだ。

「カツオ一本釣り竿の針には『かえし(逆棘)』がありません。カツオが針に食いついた瞬間に竿を引いて、遠心力だけで一気に船上へ釣り上げた後は、ブライン凍結(冷却した不凍液による瞬間凍結技術)などで、鮮度を保ったまま気仙沼港へ運びます。カツオの一本釣りは『カツオにも自然にも優しい漁』と言われていますし、こうした催し物からも港町・気仙沼の水産業を身近に感じてほしいです」(生田目さん)
来年以降の「戻りかつお祭り」は別会場との連動企画や、他のカツオ関連業者にも協力を仰ぎ、さらにスケールアップを検討しているとのこと。藁焼きの炎と長い行列を目の当たりにすると、気仙沼にとってカツオが単なる「名物」ではなく、街ぐるみで育ててきた文化であることがよく分かる。
「9月の気仙沼で戻りカツオを食べる」。そんな旅の目的が、もっと広く知られていきそうだ。

