しおラーメンの「忘れられない一杯」 TRY審査員が福島・群馬・和歌山で出合った3杯
ラーメンを食べ歩いていると、なぜか忘れられない一杯に出合うことがある。旅先で偶然入った店、地元で長く愛されてきた食堂--。有名店や行列店とはまた違う、その土地でしか出合えない味だ。全国各地のそんな一杯を食べ歩いてきたのが、「TRYラーメン大賞」の審査員たち。2026年版の『TRYラーメン大賞全国版』では、彼らの「心に残る最高の一杯」に注目している。
今回は、その中から「しおラーメン」をピックアップ。福島、群馬、和歌山で出合った3杯を紹介する。わざわざ足を運んででも食べたい一杯には、どんな魅力があるのか。審査員の言葉とともに見ていこう。
「塩ダレと出汁が呼吸を揃え、重層的な『旨み』の世界観を構築」福島県・喜多方市『喜多方 満喜』
まずは、審査員・田中さんがセレクトした、福島県・喜多方市の『喜多方 満喜』をご紹介。
田中さんは「塩ダレの上質な旨みの傘の下に動物系のコクと魚介の滋味を睦まじく寄り添わせ、重奏感のある味わいを演出。時が経つにつれて塩ダレが出汁と呼吸を揃え、豊潤の極みへと舞い上がる」と賛辞を贈る。

福島県・喜多方市『喜多方 満喜』
喜多方を代表するラーメン店『喜一』店主の息子である吉田一史さんが、10年間の修業を経てオープンさせた人気店。喜多方ラーメンの伝統を踏襲しながら、自らの味を追求している。
(※当初 『喜一』 の店名を誤って表記しておりました。お詫びして訂正いたします。2026年9月24日16時 おとなの週末Web編集部)
「味はもちろんですが、大切にしているのはお客さんが最初にラーメンと接する“見た目”。塩ラーメンはとくに、クリアなスープとキレイな盛り付けを意識しています」(吉田店主)。

「塩ラーメン」(900円)/喜多方の清らかな水を使い、ホタテの貝柱と昆布でとるクリアなスープが美味。モチモチ食感の中太ちぢれ麺が、旨みたっぷりのスープによく絡む
ホタテの貝柱と昆布、水のみでとるスープは、シンプルかつ深い味わい。煮豚を炙ったトロトロのチャーシューも美味。
■『喜多方 満喜』
[住所]福島県喜多方市字西四ツ谷59
[電話]なし
[営業時間]7時~14時、日曜9時~14時(材料なくなり次第終了)
[休日]月
[交通]JR磐越西線喜多方駅より車で5分
「丁寧な人柄と仕事が詰め込まれた水鏡のような『しお』の理想郷」群馬県・太田市『塩らーめん 千茶屋』
続いては、審査員・かずまさんセレクトのお店をご紹介。群馬県・太田市の『塩らーめん 千茶屋』だ。
かずまさんは「香味油を別添えにすることで、あっさり系の出汁の旨みに、グッとコクを感じるスープの二段構え。丁寧な接客にも好感が持てる、群馬でも指折りの名店だろう」とコメント。

群馬県・太田市『塩らーめん 千茶屋』
中華料理店で腕を磨いた店主が、特注のアゴ節を用いて渾身の一杯を提供する行列店。根強いファンをもつ「担々麺」も捨て難いが、アゴ節スープが堪能できる「アゴ節塩らーめん」がオススメ。
トビウオに節加工を施したアゴ節を厨房で炙り、スープに薫香と深い旨みを加えている。比内地鶏や上州地鶏からとるスープを合わせた、淡麗かつ芳醇な一杯だ。

「アゴ節塩らーめん」(1300円)/美しく盛られた平打ちの自家製麺が、旨みたっぷりのアゴ節スープに泳ぐ秀作。紫タマネギと九条ネギ、ユズが効いた清涼感ある一杯だ
炭火で焼いた豚バラと、吊るし焼きのリブロースチャーシューもとろける旨さ。アゴ節からとる油をかけて、味変も楽しもう。
■『塩らーめん 千茶屋』
[住所]群馬県太田市大島町127-1
[電話]0276-55-0620
[営業時間]11時~15時(14時45分LO)※材料なくなり次第終了
[休日]月、火
[交通]東武伊勢崎線太田駅より車で5分
「澄み切った一杯が濃厚王国の景色を変える。和歌山に吹く、新たな風」和歌山県・紀の川市『麺屋 夢風』
最後は審査員・尾瀬さんが推薦する、和歌山県・紀の川市の『麺屋 夢風』をご紹介。
尾瀬さんは「澄み渡るスープは、鶏や魚介などの素材を巧みに調和させ、実に深い味わいを形成。派手さとは無縁でありながら、次第に意識は一杯だけに向かい、終盤には忘我の境地にすら至る」と称賛の声を挙げる。

和歌山県・紀の川市『麺屋 夢風』
大阪・高槻の名門グループの創業者が、自身が求めるラーメンを追求するため、故郷の地で2024年1月に開業。今もなお、理想の一杯を日々更新している。
3種の地鶏や合鴨、煮干しなどを独自の製法で炊き上げるスープは、クリアな見た目ながら奥深い味わい。やわらかな魚節の香りに、鶏や魚介の力強くもまるみのある旨みが重なり、のど越しの良い自家製麺との一体感も見事。

「内モンゴル 塩らぁめん」(1100円)/味つけは天然塩のみ。ひと口ごとに、魚介の滋味深いエキスがじんわり広がる。食感と味付けが異なるチャーシューの食べ比べも楽しい
定番のほか、桃や柿など、和歌山ならではの豊かな実りをいかした限定メニューにも注目だ。
■『麺屋 夢風』
[住所]和歌山県紀の川市名手西野382
[電話]なし
[営業時間]10時半~13時半LO(売り切れ次第閉店)
[休日]月、火、水
[交通]JR和歌山線名手駅より徒歩7分

