【Mr.tsubaking】「くるまやラーメン」はなぜ、50年以上も老若男女に愛されるのか。「淡麗系」とは一線を画す「パンチ」へのこだわり

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郊外の幹線道路を走っていると、よく見かける「くるまやラーメン」の看板。同店は東京都を中心に約140店舗を展開する、創業50年超のラーメンチェーン。味噌ラーメンが主力メニューだが、醤油、塩、とんこつと幅広い商品展開で、老若男女に愛されている。

前編記事『「一蘭」より店舗が多い「くるまやラーメン」の謎。ロードサイドで50年超の歴史』では、約140店舗を展開する同店が、なぜ駅前ではなくロードサイドを中心に店を構えてきたのか、その歴史を聞いた。

観光バスを改造して始めた小さなラーメン店が人気となり、店舗を大きくするために広い土地が必要になった。その結果、現在の「くるまやラーメン」の店舗展開につながっていったのだ。

とはいえ、50年以上にわたって愛され続けてきた背景は、ロードサイドという立地だけでは説明できない。その答えを探るため、本稿では「味」に注目する。

看板メニューの味噌ラーメンをはじめ、同店が半世紀以上にわたって守り続けてきた味の秘密とは。

「味噌は日本人に親しみがある」。50年以上変わらない看板の味

「くるまやラーメン」の看板メニューといえば「味噌ラーメン」。

1970年(昭和45年)に、観光バスを改装した店舗で創業した当時から、基本的には変わらぬ味・変わらぬ信念で提供されていると、株式会社くるまやラーメンの商品開発室長の長尾氏は言う。

「まず、ラーメンは中華のメニューというイメージかと思いますが、味噌は日本人が古くから親しんできた食材です。なので、くるまやラーメンの味噌ラーメンは中華でもあり和食でもあると考えています」(くるまやラーメン・長尾氏、以下同じ)

スープは、とんこつや鶏ガラの他に、和食にもよく用いられる昆布もふんだんに使っている。主役となる味噌は、札幌の味噌ラーメンの元祖を思わせる味わいの味噌を50年以上変わらず使っているとのことだ。

「もともと、トラックドライバーをしていた創業者が札幌ラーメンを食べて『この味を絶対に広めたい!』と思ったところから始まっています。そこから研究を重ねてできた味を、50年以上変わらずに守り続けているという部分にはこだわりがあります」

一時的なインプレッションを稼ぐために奇抜なチャレンジをするのではなく、自らの価値をブレずに粛々と提供し続けている。

変わらないことは、美しくも見えるが、移り変わりの激しい現代にあって、こうした姿勢を貫くのは容易ではない。

特にここ数年は、「淡麗系」と呼ばれるすっきりした味わいのラーメンも流行しているが、それに対し、「くるまやラーメン」は、ガツンとパンチのある一杯。どんな材料が、この味わいを特徴づけているのか。

「何が入っているかは企業秘密」ガツンとした味を生む意外な工夫

前出の長尾氏は言う。

「まずは、香辛醤油ですね。複数の香辛料と醤油をブレンドして味噌に混ぜています。詳しく、何が入っているかまでは、社内でも知っている者が数人しかいない企業秘密なので、お伝えはできません」

筆者も「何種類入っているかだけでも」と粘ってはみたが叶わず。それだけ、「味そのもの」が大事な資産として取り扱われていることが伝わってきた。

「ただ、ガツンとした味はニンニクが入っていることと、あとは炊き方です。本部では、委託工場の圧力釜で臭みを抑えながら美味しさとインパクトのあるスープを作っています」

取材をしていると、繰り返し語られる「変わらない」という信念。しかし、主にロードサイドの駐車場の広い店舗を展開する同店は、ファミリー層の利用も多い。

しかし、ガツンとした味わいのラーメンは、女性や子どもには敬遠されそうにも思える。

味は変えないが…女性客にも広がった「くるまやラーメン」

味においては、どのようにして女性や子どもを取り込んだのか。長尾氏は続ける。

「女性やお子さまを狙って、何かをしたということはありません。くるまやラーメンの『目指す味を常に出し続ける』の理念を貫いた中で、当店の味を気に入ってくださった方がいたということだと考えます。大変ありがたいですね」

ここでも、ブレない信念が通底していた。「変わらないために変わり続ける」というのはよく知られる経営哲学だが、どこか変化している部分はないのだろうか。

「味はもちろん、丼も創業から変わっていません。ただ、どんな方でも食べやすいように、直営店では丼をトレーに載せて提供したり、丼の下に滑り止めを敷くようにはなりました。また、男女共用だったトイレも男女別にして、女性専用トイレを設けています」

「くるまやラーメン」の味の根底にあるのは、札幌ラーメンに魅せられた創業者の「この味を広めたい」という思いだった。

1970年の創業以来、看板メニュー「味噌ラーメン」は、味を変えずに提供し続けてきた。

一方で、誰もが利用しやすい店づくりには変化を加えている。

50年以上にわたって愛されてきた理由は、何もかもを変えないことではない。守るものを守りながら、変えるべきところは変えてきたことにあるのかもしれない。

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