「日本人女性は外国人からすると“割安商品”」 日本人男性は「立ちんぼ」との交渉でも断られ… なぜ日本は「オワコン」化したのか
【前後編の後編/前編からの続き】
テレビをつけてもスマホを眺めても、飛び込んでくるのは気の滅入るニュースばかり。嘆かわしいちまたに目をやれば、つい「昔はよかった」などと口にしたくなるのが本音ではあるまいか。あらゆるほころびが隠し切れないほどに露呈した“日本沈没”の諸相に迫る。
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【写真を見る】「中には10代も」 色白美女と中年男性がホテルへ… ずらりと並ぶ「立ちんぼ」
前編では、スマホや家電などで日本が“敗北”した理由や、政治分野で「改革が起きない理由」について報じた。
高齢化が進む街がある一方、若者がひっきりなしに流入する街がある。筆頭が“眠らない街”新宿の歌舞伎町だろう。
ある週末、歌舞伎町のホテル街にはいつものように「立ちんぼ」の女性たちがたたずんでいる。海外でも“TACHINBO”として知られる彼女たちの中に、ひときわ目を引く美貌の持ち主がいた。肩を出したワンピース姿で、厚底のスニーカーを履いている。

次々と日本人男性が交渉を試みるが、なかなか“商談”が成立しない。さては、彼女はお安くないのかもしれない。
すごすごと日本男児が引き下がる中、ある東南アジア系とおぼしき男性が果敢にアタック。流暢(りゅうちょう)とは言い難い英語とスマホを駆使する男性は「3万円払うよ。ペイペイでね」と言い放ち、ようやく交渉成立。意気揚々とホテルに向かう男性に記者が声をかけると、「今から彼女を連れて行くんだ!」と、興奮を隠せない様子だった。
作家の橘玲氏によれば、
「少し前なら日本人男性が東南アジアなどへ買春をしに行っていましたが、いまやその関係は逆転しています。日本人にしてみれば2万~3万円は高額ですが、ドル建ての外国人にとっては“割安商品”になってしまうのです。女の子にとっても、外国人は“警察のおとり捜査ではない”という理由で安心感があり、むしろ歓迎されています」
そして、日本円をここまで安くしたのは安倍晋三元首相による「アベノミクス」政策だと続ける。
「リフレ派の理論に基づいていたアベノミクスは、日本経済に対する実効性に乏しかった上、低金利によって円安の流れが加速しました。安倍さんは“強い日本を取り戻す”と言いながら、実現したのは“安いニッポン”だったのです」
若者がヤクザではなくトクリュウを選ぶ理由
少女たちが売春に手を染める中、少年たちをのみ込むのは、“トクリュウ”が手配する闇バイトである。古典的なオレオレ詐欺だけでなく、老人たちに対する強盗殺人さえ辞さない凶暴性で、連日テレビを騒がせているのはご存知の通りだ。
「暴力団排除条例によって、ヤクザは生存権が奪われるほど警察からの締め付けが厳しくなりました。こうして暴力団が衰退していく中で、不良の新たな稼ぎ方としてトクリュウが誕生したのだと思います」
そう語るのは、ジャーナリストの溝口敦氏。
「法的にトクリュウは堅気と同じです。さらに、トクリュウには下積み生活も杯事(さかずきごと)もない。自由で経済的に恵まれているということで、若者はヤクザではなくトクリュウを選ぶのかもしれません」(同)
「“バカでも注目さえ浴びればお金を稼げる”という社会」
今年の上半期だけで、特殊詐欺の被害額は1日10億円に上るともいわれるが、
「トクリュウの中枢部はSNSを使い、闇バイトの応募者を使い捨ての実行犯として割り当てます。逮捕されるのは実行犯で、中枢部は無傷のまま利益を得る構造を作ったわけです」(溝口氏)
あまりに無分別な若者の行動を理解するのは難しい。
「極端なコストパフォーマンス重視の世代が生まれているのではないでしょうか」
と指摘するのは、評論家の古谷経衡氏である。
「道徳心や恥の感覚が経済的な困窮によって押し流されてしまったといえます。リスクをまともに計算できず、動物的な考えをする人が増えたと感じます」(同)
では、なぜここまで動物的な人々が増えたのか。
ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、
「“バカでも注目さえ浴びればお金を稼げる”という社会を、ネットが作った。これが原因だと思います」
そう断じるのだ。
「バカなことをして注目され、動画が再生されれば収益になる。この〈アテンション・エコノミー〉の回路が完成したのは決定的でした。“バズれば人生が変わる”という話ばかり目に入ってくれば、地道に働いて稼ぐよりも、闇バイトや立ちんぼのような“犯罪”によって短期間でお金を得ることに魅力を感じる人が当然出てきます。ネットが若者の時間を奪い過ぎているのも問題でしょう」(同)
「現在50歳前後の人たちは、70~80歳になっても働き続けないといけない」
そして、ネットを見ている時間の一部でも、読書に振り分けようと提言する。とはいえ本屋も減少の一途をたどり、4分の1の自治体に書店がないのが現実だ。
「若者たちは実は“活字離れ”しておらず、“有名人がタトゥーを披露した”といったくだらない記事は読んでいます。でも、そんな記事を何十本読むより新書を1冊読んだ方がいい。1000円程度で、専門家の知識を数時間で吸収できるわけですから。むしろ本屋がなくなり、読書人口が減っている時代にこそ、本を読むこと自体が貴重な武器になるはずです」(中川氏)
見てきたように〈貧すれば鈍す〉を地で行く日本は、この先どうなるのだろうか。
橘氏は「2040年の敗戦」として、こう警告する。
「人口動態に基づくシミュレーションによれば、40年には就職氷河期世代が年金受給世代に突入します。この世代の人たちは正社員になるのが遅れてしまったぶん、納めた年金保険料の総額は少なくなります」
すると、どうなるか。
「彼らの多くが“年金では足りない”と生活保護を要求したら、生活保護のシステムが崩壊するかもしれません。現在50歳前後の人たちは、70~80歳になっても働き続けないといけない未来が現実的なのです」(同)
それだけではない。
「そもそも40年代になればさらに若手の人材が不足しているので、今のように社会や経済が回っていきません。書店どころか、病院がなくなる可能性もある。認知症になる人の割合はある程度決まっているので、その患者数はおおよそ予測できます。データを考慮すると、今後、すべての認知症患者を施設に収容するのは難しいという問題も浮上するのです」(同)
橘氏は悲観的である。
「合理性を憎む日本人は、こういう話をすると不愉快だと耳をふさいでしまいがちです。決定的な危機が迫っていながら現実を直視しようとせず、現状に甘んじ続ける姿勢は、戦前から変わっていないのではないでしょうか」(同)
果たして今から軌道修正できるだろうか。
前編では、スマホや家電などで日本が“敗北”した理由や、政治分野で「改革が起きない理由」について報じている。
「週刊新潮」2026年9月17日号 掲載
