8回2死一塁、西村を二ゴロに抑えた田中瑛(カメラ・小林 泰斗)

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◆JERAセ・リーグ 巨人3-2ヤクルト(20日・東京ドーム)

 こんな日が来るとは、想像すらしていなかった。巨人の田中瑛斗投手(27)は今季初のお立ち台で大歓声を浴びながら、長い野球人生を思い返した。「まさかこうなるとは。でも、一つひとつ積み重ねてきた結果だと思うので、嬉しいです」。リーグ単独1位の42ホールドポイント(HP=救援勝利3+39ホールド)に到達し、他選手が上回る可能性が消滅して「最優秀中継ぎ投手賞」が確定。現役ドラフト組初のタイトルをつかんだのは9年目の苦労人。これまでの努力が報われた。

 出番は8回。登板直前、チームが逆転する姿に奮い立った。「死ぬ気で抑えるつもりで」。先頭に安打を許しても、自慢のシュートで後続斬り。優勝争いへ、のしかかるプレッシャーすら喜びに変えた。「毎回しびれる。けど、この状況になってくると幸せだなって」。今季は58登板、防御率1・60とフル回転。求められるのが嬉しかった。

 決死の覚悟でこの地にやってきた。24年、現役ドラフトで日本ハムから移籍。阿部前監督から期待され、第2の人生を踏み出した。古巣で担ったのは主に先発。7年間で一度もホールドを挙げたことはなかった。「なんとかチームに食らいついていこうという気持ちで」。加入1年目の昨季から救援に本格転向し62登板。才能は一気に開花した。

 マウンドを降りればやんちゃボーイ。トレーナー室ではゴキブリのおもちゃをこっそり置いて仲間が驚くのを待った。「驚いた顔を見るのが好き!」。底抜けの明るさは周囲を笑顔にした。野球では自主性を重視。「自分が納得できる練習を。せっかくやるなら楽しい方がいい!」。柳ケ浦時代、当時の定岡智秋監督からたたき込まれた教えだった。自分で考案したトレーナーとのマンツーマンノックなど、高校時代の教訓は今なお生きる。自ら考えて行動できる強さが、右腕をここまで押し上げた。

 シーズンは残り9試合。橋上監督代行は「感謝しかない。まだまだ目いっぱいやってもらいたい」とさらなる活躍を望んだ。「ここから全試合投げるつもりで準備したい」。エイトの意地はここからだ。(北村 優衣)