【産科廃止と新規開院】全国的に分娩対応施設減少傾向の一方で新たに開院した産婦人科クリニックも…なぜ?(静岡市)
9月、静岡市は清水病院が2027年度から分娩の取り扱いを行わないことを発表しました。一方で清水区内では、2026年4月に開院した産婦人科クリニックがあります。静岡県内でも分娩の取り扱い終了が相次ぐ中、なぜ新たに開業?できたのでしょうか。
(静岡市 難波市長)
「分娩については取り扱いをやめることにいたします」
9月2日、静岡市の清水病院について2027年4月から産科を廃止し「分娩の取り扱いをやめる」と発表した静岡市。
(静岡市 難波市長)
「それなりのお産の数がないと(医師を)派遣してもらえませんので、そこが確保できないとので、これはあきらめざるを得ないと いうことになった」
分娩件数の減少です。
清水病院での分娩件数は10年前は379件でしたが、2020年度に200件を割り込み、2025年度は189件。この10年で半減しています。
全国的に見ても分娩件数は減少していて、の影響もあり、分娩を取り扱う施設も減っています。
「日本産婦人科医会」によると、分娩を取り扱う施設は2006年には3098施設ありましたが、この20年で4割減少。全国約1700の市町村のうち、約6割の市町村には産科施設がゼロの状態になっているのです。
静岡県内でも、お産の取り扱いを終了する診療所や病院が相次いでいます。
下田市の臼井医院は、分娩件数の減少や人手不足などを背景に2025年1月「お産」の対応を終了。また、菊川市立総合病院でも慢性的な赤字や分娩数の減少から、2026年3月をもって分娩の受け入れを終了。御殿場市は、市内で唯一の分娩施設が2027年3月で閉院することを受け、小山町と協力し、御殿場市の市有地に「公設民営方式」で新たな産婦人科クリニックの整備を進めています。
静岡県によりますと、病院や診療所、助産所などの分娩を取り扱う施設は5年前の2021年には89施設ありましたが、2026年は77にまで減少。
地域別にみると、静岡市全体で22、志太榛原で7磐田市や掛川市などからなる「中東遠地域」で14となっていて南伊豆の「賀茂地域」ではお産ができる施設はゼロとなっています。
こうした中、静岡市清水区に2026年4月に開院した「清水バースクリニック」。
運営法人は2025年10月、閉院が決まっていたクリニックを事業承継し、約5000万円かけて内装を一新。24時間365日分娩に対応できるクリニックとして開院しました。
(清水区民)
「第1子もここで取り上げてもらって、その時に助産師さんたちがすごく優しくて…実家からも近かったのでここが再開してくれたのが良かった」
(清水区民)
「清水区だとクリニックがここか一番近いと草薙になるので、新しくなったということもあり、ここに来てみようかなと思った…施設もきれいだし、先生も優しくてスタッフの人も親切でとてもよかった」
分娩の取り扱いをやめる医療機関が増える中、なぜ開院したのでしょうか?クリニックを運営する理事長は…。
(医療法人社団 美作会 美馬 康幸 理事長)
「地域に1つはかかることができる産院を残していくべきじゃないかなということで、採算を一切考えずにスタートした」
このクリニックを運営する医療法人は、後継者不足などで分娩の取り扱いが難しいクリニックの経営を引き継ぐかたちで焼津市と富士市にも相次いでクリニックを開院。資材費や建設費が高騰する中でも、機材やスタッフが確保できたことで、新規開業よりもコストは抑えられているといいます。その経営状況はというと…。
(医療法人社団 美作会 美馬 康幸 理事長)
「焼津は、お産が年間800~900あるので黒字。『清水バースクリニック』も…分娩数でいうと、今やっと20を月あたり超えてきたところで、12月ぐらいからはもう月30超えてくるので、25~30ぐらいが大体損益分岐点になるので、その辺からは黒字に乗せられると思う」
安全なお産を支えるため、24時間、助産師や看護師が常駐するなど人件費の負担は重くなりますが、それでも経営を成り立たせるためにしているという工夫は…。
(医療法人社団 美作会 美馬 康幸 理事長)
「クリニック3つ所有してるので、 足りない人員をほかのクリニックで補填するだとか…医療機器だとか薬剤もすごく最近高騰してるので、その辺は、やっぱり法人で複数所有することで材料費を抑えたりだとか、 あるいはロスをちょっとなくしたりとかして工夫して、 何とか経営を回してるような状態です」
3つのクリニックを合わせて100人を超えるスタッフがいるため、緊急時には応援に行ける態勢が整っているといいます。さらに2027年度以降は清水病院との連携も検討していくということです。
(医療法人社団 美作会 美馬 康幸 理事長)
「小児の入院中の患者の診察や1か月検診は、週に1~2回、 清水病院から小児科の先生を派遣していただいて、小児科として診察をしていただくというので、今のところ,ちょっと話を進めて いるところです」
医療法人は、「地域で一番」のクリニックを目指し、10年間で10院の開院を目指していくということです。

