「休むという選択肢は正直なかった」元バレー日本代表・大山加奈が語る現役時代の苦悩…大谷翔平の負傷者リスト入りで考える“痛みを我慢する美学”

ドジャースの大谷翔平選手が、コンディション不良を理由に負傷者リスト入りした。ネット上では「無理に出すより休ませるのは当然」「もっと早く故障リストに入ればよかった」「長く選手でいてほしいから休んでほしい」などの声が相次いだ。
周囲からの期待や自身のコンディションと、アスリートはどう向き合うべきか。『ABEMA Prime』では、元バレーボール日本代表の大山加奈氏とともに、痛みを抱えながら競技を続けることや休養のあり方について考えた。
■「自主練しないと『サボってる』」現役アスリート時代

大山氏は、度重なるケガに悩まされ現役を引退した経験を持つ。大谷選手のニュースを受け、自身の現役時代について「休むという選択肢は正直なかった。そういう時代でプレーをしてきた」と振り返る。
「痛みがあろうと、我慢して耐えて、乗り越えてコートに立つ。それでやっと『頑張ってるね』と認められる風潮があった。私自身も小中学生の頃から、腰に痛みを抱えてプレーをしていたが、『ちょっと休みます』とは言えなかった。自主練習をやらないと『サボっている』『甘い』と捉えられてしまう。エースやキャプテンを背負う中で、休めない環境があった」と語った。
こうした状況から、当時は「痛みを乗り越えてこそ一人前」という価値観に縛られていたといい、「『休むことは悪、してはならないこと』という考え方だった」と明かした。
野球選手に対しては「よく『足に違和感を感じたので試合を休む』というニュースを見る。大谷選手レベルの選手が痛みを我慢して試合に出るのか、と正直感じた。どういう背景があったのか気になる」と述べた。
■「休養しないとパフォーマンスが出せない」変化するスポーツの現場

指導者やサポート側に回った現在は、選手のケアについて「私も中高はしっかり休みを取る学校だった。成長期なので寝ることが最優先で、体を大きくすることやリカバリーを重要視しているチームだった。小学生の頃から腰痛があってもプレーを続けてこられたのは、そういう環境だったから」と語る。
日本リカバリー協会主席研究員の春木完堂氏は、スポーツ現場での意識の変化について、「まだまだ休むことに不安を感じる人もいるが、大学や高校でトップチームを指揮する人々には、『休養でコンディショニングを整えないとパフォーマンスが出せない』という認識が広がっている」と指摘する。
その上で、重要となるのが“発想の転換”だ。「休養を『権利だ』と思うと、行使するのも放棄するのも自分の判断になり、結果的に放棄してしまう。『義務だ』と言葉を変えると、しっかり取ってからハードワークしようという意識になる」と語った。
大山氏は現役時代を「『競技に人生のすべてをかけろ』と言われていたし、そうしなければ目指すところに到達できないと思い込んでいた。今は競技は人生の一部に過ぎないと思える」と振り返った。
(『ABEMA Prime』より)
