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【2026年上半期 ネット炎上事件簿】#6

前山剛久は「自分の身内に対してもしょうがないと言えるのか」と糾弾された

 炎上させるために、文脈を無視して切り取られた情報だとわかっていても、見過ごせない、許せないということもある。義憤や正義感から居ても立ってもいられなくなるのだろうが、やり過ぎるとかえってハラスメントとなりかねないから注意も必要だ。

 徹底的な排除の炎上となるのが、かねがね気に入らないと思っていて、いつか叩いてやろうと手ぐすね引いて待っていたところ、格好のネタが降ってきたというケース。2024年夏のフワちゃん炎上騒動は、これにあたるだろう。

 5月に起きたタレントあのの炎上も、程度の差はあれ、気に入らないからと叩かれてしまったパターンの一つに数えられる。自身の冠番組内で嫌いな芸能人の名前を言わされたあの。これをネットニュースが報じるとともに、切り取られたショート動画も投稿されて拡散した。

 あの本人はもちろん、名指しされた芸能人、ネットユーザーが三つ巴となり炎上が拡大、特にフォーカスされたのが、名指しされた当人による投稿だ。

「嫌いで結構」「あんたが損する」とつづりつつ、「当たり屋みたいな事」は「信頼関係がある相手とのプロレスの時」しか許されないのではないかと見解を述べると、ネットユーザーからも同調の声が寄せられ、あのへのバッシングが起きた。

 さらに「普通にいじめ」と書いた部分が切り取られ、いじめられた経験があるのに先輩をなじり、公に謝りもしないあの叩きの燃料となる。あのの毒舌や空気を読まないキャラクターを、以前から良しとしない層が食いついた格好だ。

 そこへ、あの本人からも、スタッフ側へ実名は消すよう「頼んでいたのにカット」された、他人を傷つけるような企画はやりたくないと申し出ていたとのコメントがSNSに投稿される。すると「出演者を守らない」と番組サイドへの非難が一気にヒートアップ、制作側を責める声が激化した。

 一方、あのは名前を出したタレントへも「先に嫌なことをした」とは考えないのかとも書いており、きちんとした謝罪をしないままであることへの批判も大きくなっていく。

 三つ巴が交錯しこじれた末、ついに番組制作側が双方への謝罪を公表。あのが降板を宣言したことで番組は打ち切られ、後味の悪い結末となった。

 切り取りから炎上の「祭り会場」まで爆速で展開し、それが報じられてさらに拡大する。昨今の炎上の裏にはAIとロボットプログラム(bot)の存在も見え隠れしており、閲覧や視聴回数を意図的に上げて収益を稼ぐビジネスが暗躍する温床となっていると囁く声もある。

 感情を刺激してユーザーを大量動員することそのものがカネになる。炎上の陰に隠れる計算高い一面を知り、泰然自若としていることが無用な炎上を防ぐのだ。(おわり)

(井上トシユキ/ITジャーナリスト)