「日差しを避けること」が逆に老化につながる? 「日本人の98%」に足りていない「ビタミンD」との付き合い方

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骨を強くし、がんや糖尿病も防ぐ「ビタミンD」

「昨年に発表されたアメリカの大規模臨床研究では、ビタミンDを毎日摂取した人は、テロメアが短くなるスピードが抑えられることがわかりました。

細胞の染色体の末端に位置する『テロメア』は加齢とともに短くなり、その長さは老化の指標の一つと考えられています。つまり、ビタミンDが細胞の老化を遅らせる可能性が最新研究で示されたのです」(『医者が教える「最高の栄養」』の著者で、満尾クリニック院長の満尾正氏)

ビタミンDがカルシウムの吸収を促し、骨の強さを保つことは以前から知られており、不足すると骨軟化症や骨粗鬆症を招く。だがそれに加えて、ビタミンDは長寿の源でもあることがわかってきたのである。

「さらに注目されているのが免疫機能を調整する作用です。がんや感染症、糖尿病、自己免疫疾患などとの関連も研究されています。

私の恩師で「ドクター・ビタミンD」と呼ばれる、ボストン大学教授のマイケル・ホーリック氏は、'20年、ビタミンDの濃度が高い人ほど、新型コロナウイルスの陽性率が低かったと報告しました。

また、秋から冬に増えるうつ症状と、ビタミンDの低下との関連を指摘する研究もあります。ビタミンDが全身に作用するのは、体内で変換されてホルモンのように働くからです」(満尾氏)

身体の調子や機能を整える情報伝達物質、ホルモンと同じく作用するビタミンも存在するのだ-。

ビタミンは何種類あるのか?

普段私たちは、何気なく「ビタミンを摂取しよう」と意識している。しかし、それには一体どんな種類があり、どんな働きをするのかを知らない人は多い。しかも、じつは近年、ビタミンについて新たに判明した事実もたくさんあるのだ。最新研究でわかったビタミンの効果を見ていくことにしよう。

そもそもビタミンの歴史は、1910年に農芸化学者の鈴木梅太郎が、米糠から脚気を予防する微量物質を抽出したことにさかのぼる。2年後、ポーランドの学者がその成分を、生命(vita)に必須のアミン化合物(amine)という意味を込めて「ビタミン」と名付けた。

その後、ビタミンは脂に溶けやすい物質(A)と水に溶けやすい物質(B)に大別された。そこからさらに脂溶性のD、E、K、水溶性のCが次々と発見され、現在は13種類に分けられている。

日本人ほぼ全員が「ビタミンD」不足

先述したビタミンDの話に戻ろう。

じつは、日本人のほぼ全員が、深刻なビタミンD不足に陥っている。東京慈恵会医科大学教授の越智小枝氏らが'23年に発表した論文によると、日本人のなんと98%がビタミンD不足であるというのだ。

『ビタミンが大切な本当の理由』の著書がある、四谷メディカルキューブ理事長の安田聖栄氏が語る。

「日本人のビタミンD不足は、私たちが考えている以上に深刻なレベルに達しています。当院で実施している人間ドックのデータでも、75%が不足状態に該当するという衝撃的な結果が出ています。

軽度の不足では明確な自覚症状が現れにくいために放置してしまいがちですが、不足が長期化すると様々な健康障害の原因となるので、大変危険です」

では、どのようにビタミンDを摂ればよいのか。

まずは、プランクトン由来のビタミンDを蓄積したサケやサンマ、イワシなどの魚類を食べること。ビタミンDは脂溶性のために排出されにくく、体内に蓄積されるため、サケなら週2切れを食べれば十分補える。キノコ類にも豊富に含まれるが、意外にも野菜や果物にはほとんど含まれていないので注意が必要だ。

ビタミンDのユニークさは、単なる栄養素を超えてホルモンのような働きをすることだけではない。日光(紫外線)を浴びると、皮膚で合成できるのだ。

「効率的にビタミンDの体内合成を促すコツとしては、日中の時間帯に週2回程度、5~30分ほど、腕や脚に日光を当てること。顔の日焼けが気になる人は、顔だけに日焼け止めを塗って浴びても問題ありません」(安田氏)

日焼けを嫌って日射しを過度に避け続けることが、ビタミンD不足の主たる原因なのだ。日光に当たる時間が減る秋から冬にかけてはとくに気をつけたい。

動脈硬化が進むのを抑える「E」

以前から、ビタミンA(β-カロテン)、C、Eは「ACE」と呼ばれ、抗酸化作用を高めて老いを防ぐには、その3種類が欠かせないとされてきた。

レバーなどの動物性食品に多く含まれているのがビタミンAだ。

「レバーはビタミンAの濃度が高いために、月1回程度、レバニラ炒めや焼き肉などを食べるだけで十分に補給できます。ビタミンAが足りているときにニンジンを摂ると、体内でビタミンAに変換されなくなるので、β-カロテンの抗酸化作用も発揮されます」(安田氏)

動脈硬化が進むのを抑え、「若返りビタミン」と称されるビタミンEも、体内に貯めておける。ナッツやひまわり油に含まれるため、おつまみや炒め物などで無理なく摂りたい。

また、ビタミンKは骨にカルシウムが沈着するのを促すだけでなく、心臓病の発症率や冠動脈石灰化スコアを低下させることが示されている。

脂溶性ビタミンの機能と多く含む代表的食品については、上図表も参照してほしい。

【後編を読む】94歳の栄養学者が「日本人に必要な栄養」と指摘する「ビタミンB9」の効能

「週刊現代」2026年9月14日号より

【後編を読む】94歳の栄養学者が「日本人に必要な栄養」と指摘する「ビタミンB9」の効能