出会い系サイトのマリーナ・クチェラクの画像(ロシアのSNSテレグラムから)

写真拡大

 ロシア人の男3人が、出会い系サイトで知り合った〝美女スパイ〟とのバーチャル恋愛にのめり込み、一度も会ったことがないにもかかわらず、ロシア軍の防空システムなどの軍事情報を提供したとして拘束された。ロシアメディア「ザフトラ」が9日、報じた。

 ロシア連邦保安局(FSB)によると、拘束されたのは1988年、1994年、1995年生まれのクリミア在住の男3人。人気のオンライン出会い系サイトを通じ、ウクライナ国防省情報総局(GUR)の職員とされるマリーナ・クチェラクと知り合った。

 クチェラクは複数の偽名を使ってプロフィルを作成。「クリミア出身だが、やむを得ずウクライナへ移住した女性」という設定で男たちに接近したという。

 ザフトラによると、クチェラクは男たちと「いいね」を送り合い、〝優しさ〟に満ちたメッセージを交わしながら、ロシア軍の配置場所などについて具体的な質問を重ねていった。

 画面の向こうにいる女性との〝バーチャル恋愛〟に心を奪われた男たちは、ただ甘い言葉を交わすだけでは終わらなかった。

 FSBによると、男らはクチェラクがウクライナ情報機関のために軍事情報を集めていることを知った後も協力。防空システムや石油貯蔵施設、ロシア軍向け燃料・潤滑油の保管・積み込み施設などを撮影し、写真や動画、位置情報を送った。さらに軍用車両の駐車場所や移動ルートに関する情報まで提供したという。

 ザフトラは、一度も直接会ったことがない女性から届く「わずかなオンライン上のメッセージ」のために、重要な軍事情報が流出したと強調。まさに〝バーチャルな愛〟と軍事機密を交換した格好だ。

 ザフトラに対し、臨床心理学者マリアンナ・アブラビトワ氏は「出会い系サイトを利用した諜報活動では、標的に優しい言葉や褒め言葉を浴びせ、2人の将来を想像させるなどして恋愛感情を抱かせ、徐々に要求をエスカレートさせる手口が考えられる」と解説。一般的な手口の例として、「軍事施設の写真を送ってくれたら、私のヌード写真や動画を送ると性的な〝ご褒美〟を提示するケースもあり得る」と指摘した。

 ただし、今回クチェラクが実際にヌード写真などを男3人に送ったとする事実は、FSBの公式発表にはない。

 FSBは3人を国家反逆容疑で立件し、裁判所は勾留を認めた。有罪となれば最高で終身刑が科される可能性がある。